前線のプレッシャーに始まり、連動してボールを奪う。転じれば、縦に縦につけていく。前節同様、湘南は出足鋭く攻守に駆けた。対して札幌は、立ち上がりこそ上原慎也のシュートなどでゴールに迫ったものの、「相手の圧力によってスタートポジションが後ろになってしまった」と砂川誠が振り返ったように、なかなかペースをつくれない。
湘南の攻勢がゴールに結ばれるのは39分のことだった。永木亮太が自陣で奪いパスを繋ぐ間に、重心を一気に前へと傾ける。左サイドの菊池大介を永木が追い越し、さらに追い越した三竿雄斗がすかさずクロスを上げる。ゴール前の攻防に一度は跳ね返されるも、こぼれ球を遠藤航が拾い、クロスの先でウェリントンが力強くヘディングシュートを叩き込んだ。
札幌の財前恵一監督は振り返っている。
「前半から相手の出足に負けたような展開のなかで1失点した。後半も流れをあまり変えることができず、相手のペースのまま終了してしまったと思う。とくに攻撃は何もできなかった印象です。ただGKを含め、ディフェンスラインは頑張った試合でした」
ゴール前を堅く凌いでいた相手から先制点を挙げた湘南は、後半さらに畳みかける。武富孝介のシュートはゴールを掠め、菊池のミドルはポストを叩いた。64分には自陣で奪い、宇佐美宏和がキープする間に再び全体をせり上げていく。大外をオーバーラップした遠藤のシュート性のクロスはGK金山隼樹が弾き返すも、こぼれ球にウェリントンが反応し、最後は大槻周平が詰めた。
2−0としたあとも湘南は攻めた。移籍間もない藤田征也がホーム初ピッチを踏み、終盤には中村祐也がピッチに立った。1年8カ月ぶりの帰還、交代が告げられる前からスタンドに湧いた拍手や「ユウヤ」の呼び声に、ともに共有していた時間が浮かぶ。1トップに入ったその中村に引っ張られるように、やはり湘南は攻め続けた。一方の札幌もアディショナルタイムまでゴールに迫ったがスコアは動かず、勝負は決したのだった。
開幕から3連勝、3試合連続無失点という結果だけを斜め読みし、圧倒的な印象を抱く向きもあるかもしれない。だが当然のごとく完璧はない。「勝ったことに自分の課題が風化しないように」と三竿が語ったように、手にした果実のなかにも次への種を見出す彼らがいる。
曹貴裁監督は言う。
「一歩ずつ前進しているとは思いますが、我々にとってはプロセスのひとつ。成長している部分とまだやらなければいけない部分が混在している。彼らのレベルでいくと、もっともっと上を目指してやっていかなければいけないと思う」
つねに先の開けているその道のりを思う。次は岐阜、松本という難敵とのアウェイ連戦が控えている。この日の記憶を大切に仕舞い、再びホームに帰ってきたときに、また一歩進んだと言える時間をあす以降も過ごしたい。
以上
2014.03.17 Reported by 隈元大吾
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