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【J2:第3節 東京V vs 千葉】レポート:土壇場で追いつく千葉の勝負強さの前に、東京Vはまたしても初勝利ならず。(14.03.17)

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未勝利で2試合を終えた後、田村直也主将は語っていた。「簡単に勝てる試合はないと、これほど思ったことはない。どんなに内容が良くても、勝てない」。そして、第3節のこの試合もまた、言葉通りとなったのだった。
東京Vが見せたサッカーは、1、2節同様、非常に内容の濃いものだったと言えるのではないだろうか。敵将・鈴木淳監督の口からも「ヴェルディの方が非常に良いゲームをしたと思います。プレッシャーも非常に早かったし、展開も早かったし、パスしてランニングしてというところで我々の方が後手を踏むような形になった」と語られていることが何よりの証明だろう。

立ち上がり、押し込まれる場面も何度かあったが、徐々に自分たちのペースで試合を運べるようになっていった。最も効いていたのが、FW平本一樹の存在だろう。これまでは、前線で体を張ったり、中盤の深い位置まで落ちていって受け、ボールを散らして周りを生かすプレーで貢献していた。だが、試合前に語っていた「その場その場で(ドリブルという持ち味を)出してってもいいのかなぁと、最近はちょっと思い始めています」との意識変化からか、膠着状態が続くと、自らドリブルで仕掛け、何度か決定的なシュートシーンを作って相手DFに脅威を与えた。
守備面で言えば、「今日は、相手の中村太亮選手、山中亮輔選手を止めることも役割の1つとして求められていました」(高木大輔)千葉のストロングである左サイド対策として、両ワイドの高木大輔、前田直輝の左右の位置をこれまでと入れ替え、守備力の高い高木を左に据えたのも奏功したようだ。また、チームとしても、高い位置から積極的にプレッシャーをかけ、ボールを奪うという組織的な守備ができていた。特に前2試合連続で立ち上がり早い時間で失点を喫していたセットプレーへの守備も、非常に集中力高く対応できていた。
そして、「まだ、ビハインドの中でしか試合ができていないので、とにかく少なくとも0−0、できればリードして、優位に試合を進めたい」と、田村は語っていたが、3試合目にして、初めてリードを許さず前半を終えると、後半8分だった。今季初先発の安在和樹のFKに、「セットプレーで、ずっとこぼれ球などが僕のところに来てて、決められそうな感じはしていました」吉野恭平が頭で合わせ、東京Vは初めて先制することに成功した。これらはすべて、過去2試合からの成長部分だと見ていいだろう。

ただ、「一難去ってまた一難」とは、よく言ったものだ。初めてリードを奪い、精神的にも優位に試合を進めながらも、やはり肉体疲労は容赦なく訪れた。安在、高木、姜が次々と足を攣り、平本も自己申告で交代を余儀なくされる。ピッチ上での攻防がいかに激しいかを物語っていたと言っても過言ではないだろう。それでも、メンバー交代を織り交ぜながら、千葉が盛り返してきたところをなんとか耐えしのいでいたが、アディショナルタイムに突入する直前の90分、左からの中村のクロスを山口智が頭で押し込み、土壇場で同点に持ち込んだ。それまで、ほぼ完璧とも言えるほど、左サイドの中村、山中を抑えて仕事をさせていなかった高木だったが、最後の最後で、「甘かった。だから、良いボールを入れられてしまった」せっかくの好守も水の泡となってしまった。1、2節の課題をクリアしたが、強豪・千葉から、次なるお題『勝っている試合の終わらせ方』を突き付けられる事となった。

4分間のアディショナルタイムが過ぎ、1−1で試合終了のホイッスルを聞いた瞬間、東京Vはほとんどの選手が疲労困憊でピッチに座り込んだ。その中で、ゴールを決めた吉野は立ち尽くしていた。そして、右手を振り下ろし、強い悔しさを表現した。それでも、「1試合目の松本は、裏にボールを放り込んでくるチーム。2戦目の群馬はしっかりブロックを作ってきた。そして、今日の千葉はボールを大事にしながら崩してこようとしていたと思います。スタイルの違うチームとの3試合で、自分たちのレベルは上がったと思う。その中で今日、1−1で終われたのが大きかったです」次節こその勝利へ向け、しっかりと前を向いた。

なんとか勝点1を手にした形の千葉だったが、「非常に内容的には厳しかったかなと思います」(鈴木監督)。やはり、ストロングとする左サイドを使った攻撃が思うようにいかなかったことは大きな原因の1つかもしれない。本来であれば、山中、町田也真人、森本貴幸がリズミカルにボールを出し入れしながら崩すのがスタイルだが、山中が自由にボールを持てる回数も少なく、また、そこへ配球する山口慶、佐藤健太郎のボランチでもボールは収まらなかった。ただ、後半、東京Vの足が止まった後半25分すぎからは、相手ゴール前でのチャンスが増えた。特に同点に追いつき、アディショナルタイムに入ってからは、逆転の可能性すら強く感じさせるほど激しく攻め立てた。
最後の最後まで諦めず、相手のちょっとした緩みからゴールを奪えるところは、「さすが、プレーオフを戦ったチームだと思いました」と、東京V・高木も改めて強さを感じたという。この勝点1を、ポジティブにするのか、ネガティブにしてしまうのか。今後に注目したい。

以上

2014.03.17 Reported by 上岡真里江
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