待ちに待ったホーム開幕戦を迎える。
Ｊ１昇格プレーオフ進出圏内となる６位以内を目標に掲げるホームの松本は、前々節は東京Ｖ、前節は熊本に勝利。開幕からのアウェイ２連戦を連勝で飾り、まずは最高の結果を出してアルウィンへと帰還した。今週のトレーニングではサビアがコンディション不良で別メニューとなっていたが、塩沢勝吾も高いモチベーションをキープしており準備は万端。思い出せば昨季はホームゲームでの勝利が遠く、実に開幕から約３か月後の第１６節まで時間を要した。昨季のイメージ払しょくのため、チームのこの試合への意気込みは高らか。スタートダッシュで勢いをつけて上位固めを図るためにも狙うのは３連勝だ。

対するアウェイの長崎は、Ｊリーグ加盟初年度となった昨季は大番狂わせを起こしたチーム。誰もが厳しい戦いを予想するなか、第４節〜１４節まで１１試合負けなしと序盤から加速。そのスピードを一向に落とすことなく、終盤まで戦い抜いた。その結果、昇格プレーオフ進出を果たす６位というサプライズを起こし、サッカーの面白さそして難しさを改めて教えてくれた。その戦い方には今季も大きな変化はない。ボールホルダーへ高い位置から圧力をかけ続け、ボールを奪えばテクニック・パワーのある前線が決定的なチャンスを作る――。幸野志有人・金山隼樹・岩間雄大ら主力選手が昨季限りでチームを離れたものの、三原雅俊・大久保択生・野田紘史・東浩史ら新戦力を招き入れたことにより選手層は厚みを増した。前節こそ湘南に０−３で敗れたものの、本来は昨季Ｊ２最少失点の堅守を誇るチーム。連敗は避けるべく、強い覚悟を秘めて松本へと乗り込んでくる。Ｃ大阪から期限付き移籍を果たした黒木聖仁の起用にも注目が集まる。

開幕からフォーメーションはお互いに３−４−２−１を採用。チームスタイルも似ているだけに、１対１の攻防がクローズアップされるミラーゲームとなる気配が漂う。指揮官も「時間とスペースの少ないゲームになるだろう」と試合展開を予測。ボールホルダーへの寄せが早く、瞬時の判断が勝敗を分ける心身ともに疲弊する一戦となりそうだ。一方で「４バックも有り得る。最初からもあるし、試合途中で変更することもある」と反町監督は話す。事実、チームはキャンプ時から４−３−３にも取り組んでおり、トレーニングマッチでも一定の手ごたえを掴んでいる。膠着した展開で状況打破のために新たな形を敷く可能性も十分有り得る。長崎の高木琢也監督も知将として名高いだけに、試合前・試合中の采配もポイントだ。

最後に、前節に“松本デビュー”を果たした岩間の言葉を紹介したい。「（古巣の長崎との試合は）もちろん意識しているし、楽しみ。ホーム開幕戦ということで多くのサポーターが背中を押してくれるので、自分はチームの勝利第一で黒子役に徹したい」――。

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2014.03.15 Reported by 多岐太宿