2年前の2012年11月24日。日立柏サッカー場に乗り込んだ神戸は、勝てばJ1残留という正念場を迎えていた。だが、37分に田中英雄がこの試合2枚目のイエローカードで退場すると、数的有利な柏にじわじわと主導権を握られる。71分にはジョルジ ワグネルにゴールを許し、そのまま柏に逃げ切られた。神戸は次節の最終節で王者・広島に0−1で敗れ、J2降格を余儀なくされてしまう。あの柏戦に勝っていれば…という苦い記憶が残る結果となった。
2年ぶりとなる柏との対戦。あの時とは両チームともメンバーが異なるが、神戸というクラブにとっては“悪しき記憶を払拭する大切な一戦”という意味合いを持つ。また、本気でタイトルを狙っている以上、柏は叩いておかなければいけないライバルでもある。
とはいえ、2010年のJ2制覇をはじめ、2011年のJ1優勝、2012年の天皇杯奪取、昨年のヤマザキナビスコカップ戴冠と、ここ4シーズンで必ず何かしらのタイトルを手にしてきた柏を倒すのは容易ではない。ジョルジ ワグネルはチームを離れたものの、今季は2007年・2008年シーズンに神戸でプレーしたFWレアンドロが加入。工藤壮人、レアンドロ ドミンゲスとのトライアングルは、開幕戦のF東京戦でも強烈なインパクトを残している。守備もボランチの大谷秀和やCBの増嶋竜也、GK菅野孝憲らを軸に相変わらずの安定感を示した。開幕戦の結果こそドローに終わったものの、試合内容を見る限り、今季も優勝争いに絡んできそうな雰囲気が漂っている。
ただ、インパクトでは神戸の開幕戦の方が上だったと言えるかも知れない。昨季リーグ3位の川崎Fを相手に、CKからシンプリシオが加入後初ゴールとなる先制点を挙げた。一時は逆転されたものの、後半アディショナルタイムに途中出場の松村亮が値千金の同点弾を叩き込み、チームに勢いもある。安達亮監督からも「価値ある勝点1」と及第点が出るほど、アウェイでの開幕戦としては上々の滑り出しとなった。
もちろん、安達監督が言うように「結果的にポゼッションは川崎Fより低かったし、守備はまだまだ時間をかけてやらないといけない」などの課題はあるが、今季のキャンプで0−4(45分×3)と大敗を喫した川崎Fを相手に2−2で引き分けたことは選手たちにとって大きな自信になったのは確かだ。
攻撃の軸である森岡亮太は開幕戦をこう振り返る。「思っていたよりも良かった。キャンプや練習試合に比べれば、連携も良くなったと感じられた」。エースの小川慶治朗も「個人的には全然ダメでしたけど、アウェイでの開幕戦で勝点を取れたことはプラスだと考えている。次のホームではもっといい試合ができると思う」と手応えを口にしている。開幕前は、マルキーニョス、ペドロ ジュニオール、シンプリシオ、チョン ウヨンら新加入選手と既存選手との連携を不安視する声もあったが、川崎F戦を見る限り心配無用と言っていい。むしろ、さらにコンビネーションが熟成へと向かっていくことを想像すると、楽しみで仕方がないくらいだ。
開幕戦のスタメンでは11人中6人が新加入選手だった。スタイルも“堅守速攻+α”というよりは、ポゼッションサッカーへと様変わりしている。新しい神戸を印象付けた開幕戦だったが、安達監督が思う一番の変化は「選手たちから本気でタイトルを取るという雰囲気というか、覚悟を感じること」だと言う。
その雰囲気をチームに浸透させている1人が、Jリーグ外国籍選手最多得点記録を持つマルキーニョスだ。技術、スピード、決定力など、およそストライカーに求められる資質を全て持ち合わせた“レジェンド”は、長いキャリアからホーム開幕戦の意義をこう説いている。
「(柏とは)何度も対戦してきて、マークも強く、リスペクトすべきチームだ。だが、我々がホームで戦う以上、神戸の支配者が誰かを相手に示す必要がある」
ホームで神戸には絶対に勝てない、それを柏に植え付けるだけではなく、他のJ1チームにも示すために、ホーム開幕戦は柏の戦意を喪失させるくらい圧勝することが大切だと考えているようだ。その先にタイトルが待っていることを彼は知っている。
2年前のリベンジ以上に、タイトル奪取への布石を打つ意味合いを持つ神戸のホーム開幕戦。重要なミッションの一つに注目したい。
以上
2014.03.07 Reported by 白井邦彦
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第2節 神戸 vs 柏】プレビュー:2年前のリベンジ以上に重要な一戦。柏を迎える神戸のホーム開幕戦は「誰が神戸(ホーム)の支配者か。それを示す必要がある」(マルキーニョス)(14.03.08)
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- 2024J2昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off