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【J2:第1節 千葉 vs 栃木】レポート:やるべきことをやり切れずに不完全燃焼の千葉は完敗。栃木は攻守両面でやるべきことを徹底して勝ち切る(14.03.03)

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千葉と栃木にとって明暗がクッキリと分かれた開幕戦となった。やるべきことをやり切れず、不完全燃焼の感が否めなかった千葉に対して、栃木は今、自分たちができること、やるべきことをやり切って開幕戦勝利を得た。

千葉はトップ下でのスタメンが濃厚だった町田也真人が2月28日に負傷。ボールを数多く触りながら動いてリズムを作り、どちらかといえば人に使われるよりも人を使えるタイプの町田が不在の千葉のスタメンには、中盤でタメを作ってパスを出す兵働昭弘や相手選手の間にポジションをとってパスワークに絡む大塚翔平の名前もなかった。兵働も大塚もベンチスタートで、中盤から前には人を使えるパサータイプの選手が不足していた形の鈴木淳監督のスタメン選出には疑問が残る。だが、それならばシンプルに相手の背後を狙ったり、ドリブルでの仕掛けを意図的に多くしたりする工夫があればいい。しかし、いつもと同じようにパスを回そうとして、中村太亮曰く「すごく厳しいプレスだったわけでない」栃木のハイプレスをまともに受けてしまい、選手個々も連係プレーもミスが目についた。

栃木は1トップの瀬沼優司をターゲットにロングボールを入れてセカンドボールを拾い、時には千葉のディフェンスラインの背後を突くロングボールを入れるという攻撃を徹底。また、守備では瀬沼から必死にボールホルダーにプレスを掛け、千葉には自由に攻撃させずに立ち上がりから主導権を握った。それでもラストパスが合わなかったり、千葉の守備陣に最後のところで体を入れられたりすることもあり、思い切ったミドルシュートも枠を捉えられずになかなか決定機を作れない。だが、そんな状況下の32分、千葉の山口慶のバックパスを奪った瀬沼は、千葉のGK岡本昌弘が前に出ていたのを見てループシュート。本来はその場面で瀬沼をマークしていたはずの千葉の大岩一貴は、ポジショニングの問題で瀬沼がシュートを打つのを防げず、栃木が先制点を奪った。

栃木はスタメン11人のうちボランチから前の選手6人全員がシュートを打っていたのに対して、千葉はスタメン11人のうちシュートを打ったのがケンペス(5本)以外は天野貴史と山中亮輔だけ(いずれも1本)とシュートに対する意識が低すぎた。もちろんシュートを打てるようなパスが来なかったり、打とうとしたところで自分のミスや栃木の守備で打てなかったりした場面もあった。だが、例えば27分、ゴール前へボールを運んだ佐藤健太郎はシュートが打てたはずだが、谷澤達也へのパスを選択して栃木にカットされた。相手の守備を崩す工夫ももの足りず、千葉の最初の決定機は39分だが、その時はセンターバックの山口智がケンペスとのワンツーを交えてボールを持って上がり、さらにこの試合では有効だった左サイドの山中と中村が絡んだあとのケンペスのヘディングシュートだった。

後半は時間の経過とともに栃木のプレスの威力が若干弱まり、62分に交代出場した森本貴幸の前への意識の強さもあって千葉が盛り返しはしたが、決定機となったのは中村のアーリークロスからのケンペスと森本のヘディングシュートだけ。依然としてフィニッシュに持ちこむプレー、そしてシュートの精度不足は残ったままだった。
後半のアディショナルタイムには得意のカウンター攻撃から交代出場の湯澤洋介がダメ押しとなる追加点を奪った栃木。攻守両面での細かい課題はまだあるにしても、ピッチに立った選手が自分にできることを惜しみなくやり切ったからこその完勝だった。

千葉は攻守ともにほとんどいいところがなく完敗。昨季から明らかに不足している攻守の連動性の向上ももちろん必要不可欠だが、やはり昨季から必要不可欠な選手個々の意識改革も重要だ。その2つのレベルアップがなければJ1昇格は望めない。

以上

2014.03.03 Reported by 赤沼圭子
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