本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第1節 柏 vs F東京】レポート:開幕戦からいきなり大激戦。見応えのある攻防は、互いに勝点1を分け合う結果に(14.03.02)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
前半は開幕戦らしく相手の出方を窺いながら、双方ともリスクを冒さない。F東京は長いボールを新戦力のエドゥーに当て、そのポストプレーに渡邉千真、三田啓貴が絡むが、全体の押し上げが少ないため攻撃に厚みが出ず、一方の柏もレアンドロ ドミンゲスの迫力ある突破と効果的なパスを起点に敵陣深くまで攻め込むも、決定機という場面までは至らない前半だった。

しかし後半に入ると、試合のテンポが上がる。
「前半は相手の出方を見て、相手に走らせるという意図があった。実際にそれがうまくいき、後半すぐによりアグレッシブにいくことでゴールも奪えた」(マッシモ フィッカデンティ監督)。
前半は自陣でリトリートしていたF東京。後半開始直後は全体のラインが高い位置を取り、陣形がよりコンパクトになったうえにサイドバックも攻め上がる。46分、最終ラインからのビルドアップから敵陣に入った左サイドバック太田宏介にパスが渡り、太田は柏の寄せの甘さを突いてアーリークロスをエドゥーに入れる。そしてエドゥーの落としに対し、飛び込んできた三田が柏ディフェンスラインの背後を突いて、GKと1対1へ。一度は菅野孝憲のセーブに阻まれたが、柏のクリアが菅野に当たって三田の目の前にこぼれるという幸運も手伝って、三田がこれを押し込み、F東京が先制点を挙げた。

先制点以降はF東京の時間帯となった。51分には右サイドで渡邉がタメを作り、タイミング良くスペースへ攻め上がった高橋秀人がクロス。武藤嘉紀がフリーの状態で放ったシュートはポスト右に逸れる。さらに54分も左CKから、ファーサイドの森重真人が折り返し、フリーの渡邉が放ったヘッドはポストを直撃。そのこぼれを柏が辛くも掻き出す場面があった。F東京にとってはこの攻勢時に一気に畳みかけ、2−0、3−0と突き放しておきたいところだった。

「後半の失点で流れが変わってしまった。その後バタついてしまった」(近藤直也)。バタついた原因の一つは4バックへの回帰が影響したと見ている。チームにとってはやり慣れた4バックとはいえ、新戦力のハン グギョン、高山薫にとっては、柏加入以降ずっと3バックでやっていたことで4バックに慣れていない、その微妙なズレが生じたゆえのものだろう。
ただ、後半15分が経過すると、その対応に慣れ、次第にチームは落ち着きを取り戻し、さらに狩野健太が入ったことで、レアンドロ ドミンゲス以外にもう1つ収めどころができた柏が押し返していく。

63分、同点ゴールに至る崩しは圧巻だった。まず、レアンドロ ドミンゲスが工藤壮人とのワンツーで抜け、レアンドロに縦パス。その落としに対し3人目の動きでスペースに入った工藤がグラウンダーシュートを放ち、ネットを揺らした。今シーズンの柏の武器になるであろう、“Wレアンドロ”に工藤を加えた脅威のトライアングルが開幕戦で早くも炸裂する。
レアンドロ ドミンゲスがマーカーを1人、2人と引き付けるため、右サイドにはスペースが空くケースが目立っていた。ここをサイドバックがかつての酒井宏樹のような攻め上がりで使えるようになると、幅のある攻撃が可能となり、よりチャンスは増すと思われる。この試合では鈴木大輔、高山と、本職ではない選手が同ポジションを務めたため、多くを求めるのは酷だが、負傷離脱中のキム チャンスが戻れば、そこは解決する問題だと見ている。
80分にはレアンドロのクロスをフリーの狩野がヘッドで狙うもシュートは枠外。さらに85分にも工藤が体を使ってキープをし、放ったシュートはバーを直撃。こぼれ球を拾った狩野のシュートにはGK権田修一が決死のセーブで防いだ。

後半15分以降は、全体的に見ると柏攻勢も、「4−2−2−2のように真ん中に人が多く、ボールを失った後のバランスが良くないという時間帯もあった」(大谷秀和)というように、中央突破に固執し過ぎるあまり、相手の守備に引っ掛かり、F東京のカウンターを浴びてしまう。もちろん攻撃をやり切って終わるということも大事だが、ダブルボランチと最終ラインとの関係性や、サイドバックが攻め上がった時には反対側のサイドバックが残り、中央へ絞るなどといったリスクマネジメントを今後は徹底できるかに尽きる。

また、“柏攻勢”とは書いたが、F東京の高い能力を持つ守備陣だからこそ、耐え抜く力があったのであって、攻められながらも機を見て前線のエドゥーにボールを預け、そこから鋭いカウンターに転じるあたりは、早くもフィッカデンティ監督の戦術が浸透していることを強く印象付け、「今日の試合を終えてみんな手応えを感じている」と振り返った東慶悟の言葉通り、フィッカデンティ体制の初陣で掴んだものは大きかっただろう。

双方とも手応えがあり、同時に開幕戦らしく課題も残った。新シーズンの開幕戦とあって、勝って弾みをつけたかったというのが両チームの本心だと思うが、柏もF東京も幾度となく決定機を作り、互いに勝つ可能性もあれば、負けてもおかしくなかった紙一重の試合だったと考えれば、1−1の引き分けという結果は妥当である。客観的に見ても、見応えのある攻防続きの、非常に面白い一戦だった。

以上

2014.03.02 Reported by 鈴木潤
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/25(木) 12:00 Jリーグ審判レポート(シンレポ!)ホイッスル #5「24‐25 競技規則改正 8月からこう変わる!」