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【J2:第1節 北九州 vs 京都】プレビュー:ステップアップとリベンジの本城開幕戦。それぞれのステージへ、キックオフ!(14.03.02)

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4年連続でホーム・本城陸上競技場で開幕戦を迎える北九州。振り返れば開幕戦で勝点3を手にしたことはないが、柱谷幸一監督(北九州)は「全てにおいて昨年以上の成績」を掲げる。それは即ち、J2昇格後初の(付け加えればJFL昇格以降初の)開幕戦勝利を手にすることでもあるだろう。迎えるのはバドゥ監督(京都)を指揮官に据えて再スタートを切った京都。上を目指せるチームに真っ向から挑み、J2通算50勝目ともなる白星を手中に収めたい。

対戦相手の京都はバドゥ監督が指揮を執る。開幕1週間前の2月21日、Jリーグ関係者や取材陣が集うキックオフカンファレンスで、チーム状況や北九州に抱いているイメージなどをバドゥ監督に問うた。通訳を交えつつ新指揮官は時に笑みを浮かべながら丁寧に応じていたが、具体的な目標について踏み込んだとき、きっと背筋を伸ばし、そして目を輝かせ、ひとことこう言った。
――「チャンピオン」。

優勝してのJ1昇格を目指し、バドゥ監督は攻撃面での意識付けを急いだ。「3年間上がれなかったということがあり、まずは意識面を変えてきた。その上で加えたのはオフェンシブなところ」と指揮官。京都といえばポゼッションサッカーの印象があるが、優勝のための次なる一手として攻撃面にメスを入れた。有田光希、アレッサンドロなど即戦力も補強。彼らのフィット具合も開幕戦の注目点であり、新生バドゥサンガのアップテンポな攻撃そのものも見どころになる。特にアレッサンドロは開幕戦が32歳の誕生日でもあり、バースデーゴールで勝利を呼び込みたい。

またバドゥ監督は「リベンジだ」とも言った。それは前任者時代の敗戦に対してではなく、「私が長野の監督だった時に、悔しい思いをした」ことから。2008年、バドゥ監督は当時北信越リーグの長野をJFLへと押し上げる役目を担っていたが、秋の地域リーグ決勝大会・一次ラウンドの場が本城陸上競技場だった。監督の言葉のとおり、本城の風は長野には吹かず同ラウンドで敗退。それから5年半。今年は京都のJ1昇格を目指し、その第一歩をリベンジを誓う本城で歩み出すことになる。

北九州の柱谷幸一監督は京都出身で、2005年には監督としてJ2京都を優勝に導いた。「京都は自分が生まれた街。いいチームを作ってほしい」と新体制にエールを送る一方、「開幕からスタートダッシュしたい」と預かったチームへの意気は熱く、北九州の必勝を狙ってタクトを振るう。

着実に上向いてきているというイメージが北九州にはある。キャンプ中はコンビネーションや戦術の深化は道半ばで、練習試合を見ていても完成には時間の掛かりそうな印象を受けた。実際に「迫力がないように感じる」と漏らした選手もおり、黄信号が灯っていたと言っても過言ではない。ただそれは杞憂に終わりそうだ。キャンプを終えてからの追い込みは目覚ましく、2月16日の韓国Kリーグ・仁川とのプレシーズンマッチでは勝てはしなかったものの勝利への執念を見せつけた。「個の強さだけじゃなく、ビルドアップ面も見せていきたい」と話す渡邉将基をはじめ、GK大谷幸輝から前線の池元友樹に至るまで、良いサッカーをしたいという高い意識が伺え、日増しに自信にも変わってきているようだ。

原一樹が京都から北九州に戦いの場を移したことも触媒になった。原自身、「チャレンジ」を誓っての移籍。柱谷監督は浦和のGM時代に原をチームに招き入れたことがあり、原のストロングポイントを知り尽くしている。中盤との関係性がまだ100%にまで持って行けているわけではないが、原が2トップの一翼を担い、北九州の絶対的なエースストライカー・池元友樹と組めば強力な攻撃布陣が完成する。もっとも最前線は原、池元以外にも大島秀夫、渡大生、柿本健太らが競い合い層は厚い。彼ら新型攻撃陣の成長ぶりを確かめたり、追いかけるのも楽しみだ。

こうした中、北九州の新スタジアム建設に向けた動きが本格化。2014年度中には関連工事に着手し、3年後の2017年シーズンは新しいピッチで開幕を迎える。そのときJ1に立っていたいという思いは全ての関係者に共通することだろう。準備期間は3年。長いように見えて、実際にはあっという間のスパンだ。この短期間になすべきは、J1の夢を叶えられる強いチームを作ること。堅固な経営基盤を築くこと。一人でも多くサポーターの輪を広げること。一つたりとも手を抜くことのできない課題に『向き合う』ことから、『実践』へと舞台を移すシーズンが始まる。

3年後のJ1を目指して歩み出す北九州と、悲願のJ1復帰を成し遂げたい京都。ともに攻撃面を中心に昨シーズンとは大きな変化、新しいうねりが生まれている。選手たちの躍動に触れながら、今シーズンを俯瞰する好ゲームになることを期待したい。

以上

2014.02.28 Reported by 上田真之介
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