均衡を破ったのは、一瞬の隙を突く鮮やかなロングシュートだった。74分、相手陣内でパスを受けた下平匠が、GKの位置を瞬時に見定め、左足を振り抜く。「湘南のGKは前半から前に出てくることが多かったので、チャンスはあるかなと思っていた」と、下平曰く。これが決勝点となり、大宮が2連勝でシーズンを終えた。
前半は、しかし湘南に主導権が傾いていた。前から圧力をかけ、ポゼッションを高めていく。縦への推進力も潔い。そうして攻撃のリズムを手繰り寄せ、決定機も演出した。湘南の前半の攻勢のほどは、7本というシュート数にも表れている。かたや大宮は「湘南のアグレッシブさに圧倒されて攻め込まれた」と小倉勉監督が振り返ったように、守勢に回る時間帯が多く、シュートも2本にとどまった。
ただし、小倉監督はさらにこう続けている。
「失点せずに耐え、後半はうちもアグレッシブに、互角以上に戦えたと思う」
ハーフタイムを挟み、大宮は攻撃をシフトアップさせた。ゴール前に抜け出したズラタンの決定機に始まり、長谷川悠や渡部大輔がゴールに迫るなどクロスやセットプレーからもチャンスを重ねていく。対して湘南も、大野和成を中心に粘り強く対応し、ピンチを凌いだが、セカンドボールで優位に立っていた大宮が、その流れの先でゴールネットを揺らしたのだった。
大野は振り返っている。
「決めるところで決められない、守るところで守り切れないという、今年の自分たちの課題だったところが最終戦にも出て、非常に残念に思っています。大宮は最終ラインがしっかりしているので、手前で回していても、最後のゴール前のところが強くてなかなか侵入できなかった」
1点ビハインドののち、湘南もゴールを目指して攻勢に出た。奪われても何度も奪い返し、攻めに転じていく。ロングボールから、あるいはセットプレーによってゴールに迫りもした。だが、しっかりとブロックを組む大宮の牙城は堅い。フィニッシュに持ち込むことも容易には叶わず、0−1のスコアのまま、最後の長い笛を聴くのだった。
「今季を象徴するような試合になってしまったと思う」キャプテンの永木亮太は言う。
「前節の広島戦もそうでしたが、少し何かが足りないと思わせられた試合でした。もうひとつレベルアップしないと勝てない。個人の力がチームの力になると思うので、そういうところを意識してやっていきたい」
34試合を終え、求める結果には届かなかった。その事実と向き合うからこその言葉が、それぞれの唇にのぼる。
曹貴裁監督は試合後、今季を振り返りつつ、こう語った。
「勝ち切るためにはやはりまだまだ、一歩も二歩も壁を乗り越えていかなければいけない。ただ選手たちは自分たちの目標に向かってしっかり頑張ってくれた。いまの時点では残念な結果に終わりましたが、これを次のサッカー人生に繋げてもらいたいし、3年後5年後10年後、この経験が彼らの人生を豊かにすることに繋がってほしい」
選手たちも、我々自身も、まだまだやらなければいけないことがたくさんある。我々はもっともっと強くなって、来年頑張っていかなければいけないと、指揮官は重ねた。湘南の挑戦は終わらない。
以上
2013.12.08 Reported by 隈元大吾
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