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【第93回天皇杯 4回戦 川崎F vs 山形】レポート:大久保嘉人の2ゴールにより、川崎Fが苦しい試合を勝利。内容で上回った山形はゴールが遠かった(13.11.21)

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川崎Fは良さを出せなかった。風間八宏監督は、会見の冒頭で「内容はあまり褒められたものではない」と試合内容への反省を表明。その上で「きっちり勝ったというのはチームが少しは進歩しているのかなと思います」と言葉をつなげた。潔く内容の悪さを認めつつも、勝利について一定の進歩ととらえるのが精一杯だった。

この試合を支配していたのは、山形の献身的な運動量と、組織的な守備だった。川崎Fのストロングポイントであるサイド攻撃を封じるべく、左右のサイドバックの中村太亮、キム・ボムヨンが鋭いアプローチを見せて前方への展開をブロック。そうしている間に山形の複数の選手に囲い込まれた川崎Fの選手はサイドラインとの間に挟まれ、ほとんどの選択肢を奪われた。そうなると、試合は難しくなる。山形の守備ブロックに入って行けず、バックパスと横パスでセーフティーにボールを回すだけとなった。そして更に言うと、そうした川崎Fにとってセーフティーであるはずのパスにも山形はプレスを試みており、それによって川崎Fはミスを連発。無難に繋げなければならないパスがずれたり弱かったりと、思うような組み立てが出来なかった。

中澤聡太が試合後に言うには、そうした前半を終えたハーフタイムに風間八宏監督から「真ん中のボランチをもう少し使いなさい」との指示がチームに出ていた。サイドへのパスは山形の思惑どおりの展開であり、それを外すためにも中央をもっと使おうという趣旨の指示が出ていたのである。
ただ、ボランチとして先発出場した大島僚太の試合後の言葉は、その多くが反省に費やされていた。例えば山形からの厳しいプレスについては「相手の力を上手く利用してやりたかった」と話す。これは風間監督の教えのひとつで、前に出てくる相手の勢いを逆手に取り、上手く外すという考え方を示す。大島はこの風間監督の理論を理解し、実現する技術も持っている。しかし現実は「相手のハマる方向方向に行ってしまった(相手の守備をまともに受ける方向にボールを回してしまった)」と悔しさを見せた。
丁寧にパスを繋ぐことで川崎Fは、山形に守備の狙い所を絞りやすくさせ、その結果として主導権を握った山形は中島裕希と萬代宏樹の2トップにボールを繋げるべく宮阪政樹が中央へとポジションを代えてボールを引き出して攻撃を組み立てた。また、ロメロ・フランク、秋葉勝のボランチコンビの攻撃参加にも手こずり、フリーでシュートを打たせる場面を何度か作られてしまった。川崎Fとすれば、非常に危ない試合展開だったのである。

そんな試合展開をたった1つのプレーが変えてしまった。最終ラインを高く維持していた山形は、その裏に広大なスペースを作り出していた。このスペースを使った前半終了間際の44分のプレーである。GK常澤聡からのフィードボールを井川祐輔が弾き返し、これを矢島卓郎がDFを背負いながらキープ。レナトへと繋げると、このタイミングで大久保嘉人が全力疾走を開始する。
「あのレナトからのパスは出てくるだろうと思っていましたし、エスパルス戦(J1リーグ戦第31節)もあのパターンだったので。オフサイドにならないように走りました」と大久保。狙い通りレナトからの絶妙なパスを受けた大久保は、GK常澤聡との1対1について「アイディアが一杯出てきました。ループしようかなとか、GKの股を狙おうかとか」と話しつつ最終的には常澤の姿勢を見極め抜く選択をしたのだと述べる。難しい試合ではあったが、川崎Fが速攻で1点を先制する。

後半に入っても山形のプレスに押される展開が続いたが、そんな61分に風間監督は中村憲剛を投入してテコ入れを図る。ベンチから戦況を見守っていた中村は「(大島)リョウタと(山本)真希が大変そうだったから」と中盤にポジションを下げてパス回しに参加し「自分たちの時間を作りたい」と考えたという。さらには、高い山形の最終ラインを見極め、その裏を狙うダイレクトパスを多用してリズムをつくろうとした。そうして迎えた77分に川崎Fに追加点が決まる。きっかけは中村憲剛のプレスだった。
「前半から見てて、余裕を持ってやっていたというか、相手の最終ラインがね。ボンボン蹴るタイプのセンターバックではないので、行ったら行けるかなと思って」と西河翔吾に対する厳しいプレスを解説。キックしたボールを体に当てて入れ替わるが、このこぼれ球を大久保が西河と競り合いながらキープして2点目のゴールを決めた。

2−0にされた山形は、89分の小林悠のPKがポストに当たって外れる幸運があったが、85分にはキム・ボムヨンがこの日2枚目のイエローカードによって退場しており、この時点で勝負は付いていた。率直に言って試合内容的には山形に軍配が上がるが、それでも川崎Fは大久保の決定力の違いもあり2−0で勝利。準々決勝へとコマを進める事となった。

試合内容的に課題山積の川崎Fだが、その一方で負傷していたレナトが先発。同じく負傷していた中村憲剛、稲本潤一が途中交代出場と戦力が戻りつつあるのはいい傾向だといえる。1カ月後の天皇杯準々決勝は一旦忘れ、リーグ戦残り3試合に頭を切り替えたい。
対する山形は、完成度の高い組織的なサッカーを実現しながらも、試合を決める得点力に課題を見せた。内容が良かっただけに悔やまれる試合となった。

以上

2013.11.21 Reported by 江藤高志
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