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【第93回天皇杯 4回戦 甲府 vs 札幌】レポート:先発を大幅に入れ替えた甲府と札幌。甲府はトーナメント独特の難しさに苦しむも守備の堅さを強みにして、若手中心の札幌を120分で振り切って7年ぶりのベスト8進出(13.11.21)

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FWパトリックにボールが収まらなくても、ボールを奪いに行って札幌の選手のワンタッチパスに後手を踏まされた前半。普通ならイライラしたり不安が増幅したりするけれど、小さな不安を頭の中で転がしながら、(想定内、想定内…)と安心の呪文を繰り返せば心の平安を得ることができる最近のJFK甲府。5−4−1の守備のブロックに立ち返ればリセットしてやり直せるということが強み。
札幌の先発は平均年齢22.5歳で、札幌U-18出身選手が8人(前寛之はU-18在籍中)と育成力を見せつけるメンツ。J1昇格プレーオフ進出を賭けるホーム・最終節(24日)を控え、この日は大幅にメンバーを変更していたものの、DFラインの久しぶりの出場となるパウロンと1トップのフェホがフィジカルの強さ・高さを発揮してキールの役割を果たしていた。そして、この試合に関しては若い選手がチャンレジャーでいられることも強みになっていたはず。
甲府が想定内でなかったのが羽生直剛が23分という早い時間に河本明人と交代したこと。バックスタンド側からピッチを出て、とぼとぼ歩いてベンチに帰ってくる姿とベンチメンバーが慰めるような感じで迎えていたのを見て、城福浩監督が期待したプレー内容ではなくて交代させられたのかと思っていたが、実は早い時間からふくらはぎを痛めていた。代わって入った河本明人がボールハントでも攻撃の組み立てでも活力のあるプレーを発揮したので、余計にそう思い込んでいた。

甲府は良くないなりに落ち着いてプレーができていたが、43分に札幌の右サイドバックの前貴之が甲府の左ウィングバックの松橋優を抜いて入れたクロスは決定的なチャンスだった。横野純貴は決め切れなかったが、札幌の若い選手が経験を積んでいけば、こういうプレーは増えるはず。ここに札幌の未来があるが、この試合に限れば決定機の数が少なすぎた。
決定機が多い方が決まる確率も高くなる。前半は0−0で終えたが、後半になると河本効果もあるが、甲府がシュートを増やしていった。体力面の差もあるし、経験値の差もあるから仕方がない部分でもあるが、そうなった理由に交代選手の差もあった。甲府は橋爪勇樹や三幸秀稔が比較的スムーズにフィットしていったが、札幌は臀部を痛めたように見えたフェホに代わって入った前田俊介も、U-18在籍中ながらプロ相手に強さと安定感を見せた前寛之に代わって入ったレ・コン・ビンも、一発は狙っていたがチーム全体に活力を与えるようなプレーをできなかったことは物足りなかった。

後半も0−0で終えたが、ボクシングなら甲府が3−0の判定勝ちという内容。サッカーなので不利な展開でもワンチャンスに決めて札幌が勝つことはありうるし、甲府からすればワンチャンスを決められて負けるなんて絶対に受け入れられない内容と展開だった。甲府は守備の堅さを先発を大幅に入れ替えたこの試合でも発揮していたが、なかなか点が取れないという部分も先発を大幅に入れ替えても発揮していた。
それでも、延長後半になると主導権がさらに甲府に傾き、右ウィングバックの橋爪がスピードのあるドリブルで縦に仕掛けてパトリックに合わせたクロスが試合を決める。パトリックも橋爪のドリブルに合わせて動き直してフリーでヘディングをすることができた(113分)。
1−0になって、札幌はパワープレーを仕掛けようとしていたが、十分なパワーは残っておらず、結局延長の前後半でシュートはゼロ。ただ、20歳前後のU-18出身選手や在籍中の選手が、先発で天皇杯3回戦・4回戦を経験できたことは大きい。公式戦の出場機会は自分の力で勝ち取らないといけないが、天皇杯の経験を普段の練習に落とし込む基準はできたはず。

リーグ戦で激烈な優勝争いの中にいる横浜FMも中村俊輔を投入せざるを得なかったのを見れば、対戦相手のカテゴリーやメンバーではなく、勝ち続けないと生き残れないトーナメントの難しさが如実に出た4回戦。甲府はエースFWのパトリックとサイドの局面打開隊長の柏好文を120分使い、河本も温存できなかったが、勝ったことが全て。12月22日に天皇杯準々決勝を戦う権利を手にしたことは素晴らしい。先週の土曜日(16日)に行われた天皇杯4回戦は5試合ともアウェイが勝利したが、20日水曜日は3試合ともホームが勝利し、ベスト8は全部J1。準々決勝は仙台vsF東京以外はJ1リーグ戦の上位(横浜FM、広島、川崎F)対下位(大分、甲府、鳥栖)の対決。今度はチャレンジャー甲府として広島に挑むことができる。

以上

2013.11.21 Reported by 松尾潤
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