富山が終始にわたり主導権を握ったが１点が遠かった。後半にPKを外した後に先制点を許すと、守りを固めた横浜FCゴールを最後までこじ開けることができなかった。

昇格プレーオフ進出の可能性が消えた横浜FCは前節からスタメンを６人入れ替えた。雨で悪化したピッチ状態に合わせた戦いを選択し、10試合ぶりの出場となる長身FW大久保哲哉が先発。GKには18歳のルーキー渋谷飛翔が入った。
対する富山は快勝した前節と同じメンバーで臨み、できる限りパスをつなごうとした。DFラインを高く敷いてセカンドボールを拾い、徐々に押し込む。チーム状態の良さがうかがわれる上々の立ち上がりだった。７分、MFソ ヨンドクのミドルシュートが口火を切る。15分にはDF木村勝太のポストプレーからFW苔口卓也が狙う。20分にMF舩津徹也が中央から振り向きざまにシュート、22分にはMFキム ヨングンのクロスから際どくゴールに迫った。
横浜FCは11分にFW小野瀬康介が決定機を迎えたがGKが好セーブ。オフサイドだったこのシーンが前半唯一の見せ場だった。

後半も富山ペース。５分に攻め上がった木村が起点となって舩津がクロス、触ればゴールというタイミングで苔口が飛び込んだがわずかに届かなかった。安間貴義監督は早めに勝負に出て、同17分にFW三根和起を投入する。すると19分にMF白崎凌兵の右サイドからのスルーパスで苔口がDFの裏に抜けてペナルティーエリアに進入。これをファウルで止めた横浜FCのDF武岡優斗が得点機会阻止の理由で一発退場となり、富山はPKを獲得した。PKは４試合連続ゴールがかかる白崎に託された。しかし、左上に外れて先制点を奪えなかった。
横浜FCは同25分にMF高地系治の個人技で先制点を挙げた。右サイドからのスローインをゴール方向に反転しながら受けると、ドリブルで富山の選手を次々を交わしながらペナルティーエリア中央へと進み、そのまま左足でゴールに流し込んだ。
富山は数的優位を生かして押し込むが、守りを固めた相手を攻めあぐねる。クロスを中心にゴールを目指し、何本か惜しいシュートがあったが決まらない。横浜FCはGK渋谷が同33分の白崎のコントロールシュートも横っ飛びで防ぐ活躍をみせる。最後は大久保がDFラインに下がって立ちはだかり、粘って逃げ切りに成功した。

横浜FCは苦しい戦いを制して意地を示した。「昇格という目標はなくなったが、１人のサッカー選手として、人間としてこういう時に試されるのだと思う」と話した山口素弘監督。「プライドをもって戦おう」との呼び掛けに応えた選手を称えた。
富山は勝てる試合を落とした。PKを決めていたら勝利に大きく近づいていたのは間違いないが、ほかにも得点のチャンスは何度もあっただけに惜しまれる。安間監督は「あらためて、まだやることがあると思い知らされた」と話した。しかし、これで調子を崩してはもったいない。次節の岡山戦でも引き続き相手を上回るプレーをし、今度は勝利を手にしたい。

以上

2013.11.11 Reported by 赤壁逸朗