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【J2:第40節 水戸 vs 東京V】レポート:ついに「あと一歩」の壁を乗り越え、水戸が11試合ぶりの勝利!東京Vは粘りを見せながらも「J1昇格」の可能性が断たれる敗戦。(13.11.11)

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「またか」。その思いが、橋本晃司の頭をよぎった。
62分、鈴木隆行がポストプレーからスルーパス。走り込んだ橋本がGKと1対1の局面を迎える。コースを狙いすまして左足で放ったシュートはクロスバーに跳ね返されてしまう。再三チャンスを作り出しながらもゴールを決めきることができず、「あと一歩」で勝利を逃し続けた10試合の嫌な流れがチームを包みかけていた。
しかし、ついに水戸は「あと一歩」の壁を自分たちの手でこじ開けてみせた。80分、左サイドを突破した輪湖直樹がクロス。ファーサイドでボールを受けた三島康平が粘りながらボールをキープ。鈴木隆にボールが渡り、その後ろに走り込んだ橋本にパスが送られる。そして「ゴール全体が見えていた」橋本は左足のインサイドでボールをミートさせて、ゴール右隅に流し込んでみせた。
実に6試合ぶりの先制点。選手たちは喜びを爆発させた。その後、鈴木隆行が無人のゴールに放ったシュートがクロスバーに当たってチャンスを逸す場面があったものの、終盤の東京Vの捨て身の猛攻をしのぎ切り、11試合ぶりの勝点3を手にした。「長かった」。試合後、橋本は安堵の表情を見せた。

勝因は「一体感」にある。水戸が「あと2、3点入るチャンスがあった」(柱谷哲二監督)展開だったとはいえ、決して簡単なゲームではなかった。序盤は東京Vに押し込まれる場面が続き、数的優位に立ってからはカウンター狙いの相手の攻略に苦しんだ。一瞬でも集中を切らし、バランスを崩したら、東京Vの鋭い刃の餌食となっていたことだろう。しかし、この日の水戸の選手たちは勝利のために気持ちを一つにして戦い抜いた。
相手の厳しいプレッシャーに序盤は苦しんだが、「とにかく前半は失点しないように慎重にゲームを運んだ」と冨田大介が振り返るように、リスクをかけないサッカーを展開。そして、20分を過ぎて相手の運動量が落ちると、ボランチが積極に絡んでボールをサイドに散らして東京Vの陣形を広げてボールを支配。44分、金鐘必が2枚目の警告を受けて退場し、数的不利となった東京Vはリトリートしてカウンター狙いを徹底。引いた相手をいかに崩すかという難題を突き付けられることとなった。
そこでも選手たちは「無理に突っ込みすぎず、サイドから何回もクロスを上げる」(西岡)ことを意思統一しながら攻め続けた。なかなか守備を固める相手を打開できず、ここ数試合と同じような流れとなったものの、焦れる気持ちを抑えながら水戸は一体感を失わず、粘り強く攻め続けた。また、攻めるだけでなく、しっかりとリスク管理も敢行。東京Vのカウンター攻撃にもうまく対応してみせた。90分、ゲームは様々な姿を見せたが、水戸はチームが一つになって、それぞれの場面に的確な判断をすることができた。それが勝利を引き寄せる最大の要因となった。
「このチームは一つになった時は7位まで浮上する力があり、バラバラになると下位に沈んでしまう」と柱谷監督は分析する。この試合の水戸は間違いなく前者であった。一つにまとまることができた時、東京Vを圧倒する力を秘めている。このチームのポテンシャルを証明する勝利であった。だからこそ、悔いも残る。これだけの力を持っているのだから、もっと上位に行けたのではないかという思いが湧いてきてしまう。やはり、年間通して一つにまとまれるチームが「強いチーム」であり、水戸はまだその力が足りなかったと言わざるを得ない。
しかし、あと2試合でシーズンが終わるとはいえ、水戸の戦いが終わるわけではない。すべての試合が水戸の未来を創り出すのだ。10試合勝てなかった苦い経験を無駄にせず、未来につなげるためにも、残り2試合が非常に重要な意味を持つことは言うまでもない。チームが一つになって戦い抜き、「強いチーム」に少しでも近づいてシーズンを終えることが、未来に向けて、このチームに託された使命である。

この試合の結果次第で「J1昇格」の可能性が断たれる東京Vも必死に戦い抜いた。数的不利になりながらもゴール前で体を張った気迫の守備で水戸にゴールを許さず、「J1昇格」に望みをつなぐためにも絶対に必要な勝点3を手にしようと戦い抜いた。先制点を奪われてからはリスクを負った猛攻を展開。あと一歩まで迫った。結局、そのまま試合は終了し、「J1昇格」の可能性が消えることとなってしまったが、攻守において泥臭く勝利を求めて戦う姿は希望を感じさせるものであった。伝統のパスサッカーも大事だが、やはり基盤には「戦う姿勢」がなければならない。敗れはした。しかし、この試合で見せた“必死さ”に名門復活へのヒントが隠されているような気がしてならない。

以上

2013.11.11 Reported by 佐藤拓也
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