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【J2:第40節 栃木 vs 北九州】レポート:北九州の追い上げも及ばず。前節の敗戦と債務超過のダブルショックにも動じることなく、栃木は勝利で「感動!」を与え感謝の気持ちを届けた。(13.11.11)

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薄氷を踏むような勝利に不満もあるだろうが、プレーオフ圏内を狙うには勝点3だけが必要であり、またサポーターの1年間の支援・声援に報いるには勝利がベストだったことを考えれば、栃木は最上のフィナーレを迎えることができた。松本新体制に移行後、ホームでは無傷の4連勝を飾り、これ以上ない形で今季のホーム最終戦の幕を下ろすことができた。しばらくはホームで勝って歌う「県民の歌」はお預けとなるが、今季の余韻を残しながら来季に臨めることは、それはそれで幸せなことと言えるのではないか。勝つことで「感動!」を与え、感謝の気持ちを伝える。選手達は前節の敗戦と債務超過のダブルショックに屈することなく、ものの見事に男の仕事を成し遂げた。

中央をこじ開けようと試みてきた北九州の目論みを、栃木は完璧に打ち砕いてみせた。序盤から8枚でブロックを形成され、思うような攻撃を繰り出せなかった栃木だったが、22分にようやく均衡を破る。起点となったのは、“ボール狩りの名手”パウリーニョである。北九州陣内でボールを奪い取ると、左横にいた近藤祐介に繋ぎ、これを近藤が躊躇うことなく左足一閃。「たまたまだった」と本人は謙遜したが、ワールドクラスのキャノン砲がゴールネットを揺さぶった。今週のトレーニングで重点を置いた、高い位置からのボール奪取が実を結んだ先制弾だった。

ビルドアップが不安定なため栃木のボランチラインでパスが引っ掛かり続けた北九州とは対照的に、栃木はまたしても自分達の思惑にはめ込んだ。攻撃のスイッチを入れたのは、1点目と同じパウリーニョ。八角剛史からボールをかっさらい、サビアに託したボールはクリスティアーノへと届き、振り抜かれた左足からの一発はGK武田博行の手を弾いてゴールに吸い込まれた。ブラジル人トリオによる高速カウンターから加点した栃木は、申し分のない展開で前半を終える。

後半もペースは栃木が握り、開始8分であっさりと3点目を手に入れた。相手のお株を奪うように三都主アレサンドロが中央にパスを通し、これをクリスティアーノが右サイドへとはたく。スペースへ走り込んだ山形辰徳のクロスにパウリーニョが合わせたシュートはGK武田に弾かれるも、こぼれ球から再び近藤が強烈な一撃を撃ち込んで歓喜を呼び込んだ。大勢は決したかに思われたが、失点で吹っ切れた北九州が挽回する。栃木はゴールから5分と経たぬ間にCKから被弾し、さらにFKから2点目も献上してしまう。北九州の鈴木修人のキック精度と、前田和哉のマークを外す動きは共に秀逸だった。ただ、失点の遠因を探れば、「ボールを簡単に失い、チーム全体がガチャガチャしてしまった」(パウリーニョ)ことに行き着く。つまり、栃木は自滅により不必要な2点を失ったのだ。

一度失った流れを取り戻すのは容易ではなく、北九州の意図した攻撃が形となり始める。DFラインとボランチの間を埋められなかった栃木はセカンドボールが拾えず、DFラインも上げられないまま劣勢に回り続けた。次々に決定的なシーンを作られる。「いつ失点してもおかしくない」という近藤の言葉通り、何度も冷や汗をかかされたのだ。しかし、相手の決定力不足に救われ、辛くも3−2で逃げ切った。

「前半は受けてしまう形になったので、相手の勢いに押されてしまった。最初から後半のような試合ができていれば、うちに勝機が出るようなサッカーになった」(GK武田)
後半の残り20分間はある程度トライしようとしたことが表現できただけに、北九州は立ち上がりに腰が引けしまったことが悔やまれた。前田は言う。
「(後半は)引いた相手に対してある程度は繋げたけど、(前半みたいに)前から来られた時にどうパスを繋ぐのかが問題。恐れていたら上手くいかない」
今季から柱谷幸一監督が就任し、新たなスタイルに取り組み、成長段階にある北九州。指揮官の理想を具現化するには、勇気と自信が求められるのではないか。次節のホーム最終戦に向けて、「このゲームの中で経験したことは次に繋がるし、繋げないといけない」(柱谷監督)。

残り2試合の段階でもプレーオフに進出するチームは確定せず、ますます6位以内を目指す争いは激しさを増している。団子状態で最終節を終えた時には勝点で数チームが並ぶことも十分に予想され、得失点が物を言う事になるかもしれない。そう考えれば、つくづく2失点は不要だったと言えるが、後ろを振り返っていては松本監督の常套句である「男の仕事」はできない。残された試合数を考えれば後ろを見るよりも、次に切り替えて前を向く方が得策である。次節は勝点差5で追う、5位・千葉との重要な一戦だ。
「勝利しか選択肢はないと思う。しっかりと今日の前半のようなプレー、前へ出る力と勇気を持ち、自分達の強みを出したい」
決戦を前に、パウリーニョが残した言葉は心強い。ライバルを直接叩いてサバイバルを勝ち抜き、この激戦を制そうではないか。あと2試合で今季を終えるのではなく、プレーオフ2試合を含めた「あと4試合」を戦って2013シーズンにピリオドを打とう。

以上

2013.11.11 Reported by 大塚秀毅
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