何とも皮肉な意味合いを持つ試合となった。長くJリーグを牽引してきた磐田にとっては、これほどまでに追い詰められた試合はなかっただろう。今節、鳥栖に勝たなければクラブ史上初のJ2への降格が決定する(※)。逆に、鳥栖は磐田に敗れさえしなければ、3年目のJ1を決めることができる。勝負とは、本当に過酷なものである。そこに全てを賭けて戦っている選手たちの日頃からの努力にあらためて敬意を払いたい。
長いシーズンを通して戦ってきた結果が順位になって表れる。幸運な形で決まった得点で勝利に結びついた試合もあるだろう。不運な形で喫した失点で勝点を逃した試合もあるかもしれない。しかし、全ての試合がそうだったとは言えないのがリーグ戦なのである。積み上げてきた実績が今の順位となって現れ、それが来季へとつながっている。
鳥栖は前半戦、得点は挙げても失点も喫する戦いで思うように勝点を積み重ねることができなかった。
第3節ホーム戦で川崎Fに打ち勝って順位を5位とした。これが今季の最高位で、翌節の磐田戦(3月30日ヤマハスタジアム)で引き分けて8位となったのが今季の1桁順位は最後となった。以降は降格圏ギリギリのところで踏ん張っている。後半戦に入り鳥栖らしい戦い方ができ始め、僅差の試合で勝点を上積みし始めた。順位こそ変わりはないものの、下位との勝点が徐々に開き始めていた。
磐田も第5節の浦和戦を最後に降格圏に落ちて以降は、常に苦しい試合が続いている。先制しても追いつかれ、先制されては追いつくことはできても追い抜くことができない試合が続いている。そんな状況下で、今節の結果は戦う選手だけでなく、応援してきたサポーターたちにも大きな意味を持つ試合となった。いつもの試合以上に熱くなっているに違いない。
どの様な試合になるのか、筆者なりに考えてみた。
両者とも、絶対的なエースが前線にいる。鳥栖はFW豊田陽平であり、磐田にはFW前田遼一である。タイプこそ違えど、彼らにボールを早く預けたいのは同じ。タテへの早いパスを有効に使いたい。鳥栖は、豊田のヘディングの強さを生かしてボールを入れたいし、磐田は前田のボールを引き出す動きからのスペースを使いたい。いずれにしても彼らの出来具合がそのまま試合結果に直結することは間違いない。ならば、彼らに仕事をさせない工夫も必要である。そこにボールを入れさせないように前線からプレスをかけるのか、入ってきたボールに対して強くいくのかを徹底しておかなければならない。その上で、中盤の選手がどれだけボールに絡むことができるのかターニングポイントになりそうだ。
攻撃の起点となり前線への展開をどれだけ多くできるのか・・・。
セカンドボールやルーズボールをどれだけ多く奪取できるのか・・・。
両チームのボランチに注目しておきたい。
特に磐田はここまで29試合に出場し中盤を支え続けたMF藤田義明が出場停止となっているので、代わりに入る選手にかかる期待は大きい。ボールがあるところの争点だけでなく、両チームのボランチがパスコースを消す動きを見せたり、ボールを引き出す動きなどにも注意して観ておきたい。ボールがないところでの駆け引きで状況が一変することもこの試合では大いに予想されるからである。
両者の意地と来季のステージを賭けた戦いは16時キックオフである。
文末ではあるが、少しだけ鳥栖の取り組みも紹介したい。
現在、『ラスト3 最終“フル”パワー計画』の第三弾「いいね!でスタジアムを満員にしよう」が開催されている。
具体的には、ラスト3ゲームの試合ごとの特設のフェイスブックページにおける「いいね!」累計をホームタウン鳥栖市の人口とほぼ同じ7万件、そしてラスト3ゲームの累計入場者数を6万人にしようという取り組みである。
地域密着をうたった鳥栖が、J1残留まであと少しというところまで来ている。
サポーターならずとも、鳥栖市民や佐賀県民の悲願達成まであと少しなのである。
地道な活動だが、鳥栖らしい“総意の行動”なのである。
他クラブのサポーターの方にも,是非ともご覧いただきたい取り組みである。
一心に戦うからこそ応援するのであって、勝つから応援するのではない。
一瞬に賭ける選手のプレーには、感動だけでなくそこに至るまでの努力の賜物が詰まっている。
ボールを蹴った瞬間だけでなく、ボールに絡もうと走る姿に真のプレーを感じて欲しい。
サッカーは、ボールがないところでもプレーが行われているのだから。
以上
※Jリーグ理事会の承認をもって最終的に確定します
2013.11.09 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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