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【J2:第40節 熊本 vs 福岡】プレビュー:レベスタでの雨中の激闘から5ヶ月。福岡を迎える今年最後の『バトル・オブ・九州』に、熊本の誇りをかけて臨む。(13.11.09)

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1勝1分3敗。熊本の今シーズンここまでの『バトル・オブ・九州』の通算成績だ。このうち、7失点を食らった北九州との――悪夢のような――1戦を除けば、他の4試合はいずれも緊迫した展開のゲーム。中でも特に激しい試合となったのが、6月1日にアウェイ・レベルファイブスタジアムで行われた17節の福岡戦だった。

まさしく終了間際、90+11分にファビオのゴールで熊本が追いついて勝点を分け合ったが、福岡はこの試合で深い傷を負った。55分に西田剛が2枚めの警告を受けて退場、また80分にはGK水谷雄一がアキレス腱を痛めてピッチを離れ(その後、左アキレス腱断裂と診断されて長期離脱)、既に3人の交代枠を使いきっていたために止むなくFWの城後寿がGKを務めることに。つまり福岡は、本来のGKとフィールドプレーヤー2人を欠くなか、なんとか最低限の勝点1を得たのである。一方の熊本には、そうした状況に陥った相手に勝ちきれなかったことが重くのしかかる。この試合以降、4連敗を含んで7試合勝利がなく、23節の松本戦を終えた時点でクラブは吉田靖前監督を解任。当時、社長を務めていた池谷友良氏が、24節から監督代行として5年ぶりに現場に復帰することになった。

5ヶ月を経て迎えた再戦の時。あの日からお互いに状況は変わった。熊本はJ2残留が確定したもののすでにプレーオフ圏進出の可能性は消え、福岡も数字上まだ可能性を残してはいるが、今節の徳島と松本の結果次第で6位以内進出はなくなる。しかしそうした条件はもはや関係なく、ただ目の前の相手を倒す、その思いをこそ、大きなモチベーションとして臨まなくてはならない。それが『バトル・オブ・九州』だ。

熊本にとって1つの指標となるのは、前回ホームゲームの38節・長崎戦だ。狙いとした攻撃の形を繰り返して得点に結んだことに加え、様々な要因が絡んで選手たちの気持ちがおのずと高まったこと、それによって局面での1対1やセカンドボールの争いで強い執着心を表現できたことが勝因のひとつでもあった。しかしG大阪に挑んだ前節は一転、システム変更の影響もあったとはいえ、長崎戦でできたことを発揮できずに完敗。メンタル面でも受けにまわり、技術の高い相手に対して「プレッシャーを感じさせることができなかった」(池谷監督)ために、いいようにボールを動かされてしまった。この内容と結果を受け、今週のトレーニングではボールへのアプローチを改めて強調。その上でカバーリングを怠らないことを、繰り返し選手たちに説いた。
「ボールサイドで負けないこと。福岡は攻撃の思い切りもいいしシュートもどんどん狙ってくる。今まで以上に厳しくアプローチしないといけない。あとは球際でどれだけ勝てるか。1対1の場面で半分以上勝たないことには始まらない」(池谷監督)

対する福岡は前節、プレーオフ圏争いをしている徳島を迎え、石津大介のゴールで競り勝って順位を上げた。過去も含めて熊本戦において重要な役割を果たしている城後が離脱しているものの、今シーズンは石津をはじめ、金森健志や三島勇太といった若い力が積極的なプレーで攻撃に活力を与えている。クラブが厳しい状況にある中、今週はマリヤンプシュニク監督の来季の続投も発表され、良い流れで今シーズンを締めくくり、来季につなげるためにも勝ちたい一戦であることは確か。また、今節は尾亦弘友希の出場停止が明けることもあり、先発を変えてくる可能性もある。

ポイントとなるのは、前述したボールへのアプローチとカバーを徹底して、福岡の良さを出させないこと。前節のように1つめの寄せが遅れれば次第にズレが生じてスペースを与えてしまうことになるため、連動した動きで勝負所をしっかり潰したい。「福岡は後半になると落ちる」(池谷監督)という点を踏まえ、試合の入りから前半のうちは特に集中したディフェンスでしのぐことが求められる。良い形でボールを奪う回数を増やしながら、攻撃で意識したいのはボールを動かすテンポだ。ワンタッチプレーをベースにプレッシャーをうまく外しながら、アンカー中原秀人の両脇、あるいはワイドのMF、そしてサイドバックの裏のスペースで起点を作り、そこから「シュートやクロスなど、攻撃をハッキリした形で終わらせること」(仲間隼斗)が重要。相手選手の間でボールを受け、次のチョイスとして背後に配球して後ろ向きにさせる、そのことを繰り返すには、適切な距離やアングルを作る早い判断と運動量も不可欠となる。

ともあれ、求められるのは勝利という結果。現役生活も残り3試合となった北嶋秀朗は言う。
「熊本県民として福岡には負けたくない。その思いを強く出していきたい」
ピッチも、ベンチも、そしてスタンドも。気持ちを1つにして、勝点3を獲りにいく。

以上

2013.11.09 Reported by 井芹貴志
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