千葉は第38節で横浜FCに2−1と競り勝ったものの、その時点で首位の神戸と2位のG大阪が勝ったためJ1自動昇格の可能性が消滅した。改めて目指したのはJ1昇格プレーオフに3位で進出することだが、その時点で4位の千葉と3位の京都との勝点差は5。もちろん京都の結果次第ではあるが、千葉はとにかく勝ち続けることが必要だ。しかし、前節(第39節)は札幌に0−1で敗れ、京都との勝点差は6に広がった。そして、5位の長崎との勝点差は第38節終了時点では4だったが、第39節終了時点ではわずかに1。千葉は今節で勝たなければJ1昇格プレーオフをホームで戦える権利を失いかねない。
前節の千葉は攻撃に思い切りのよさが見られなかった。ある程度ボールは保持できたが、連動性の不足による連係ミスでのボールロストが目についた。もちろん連係面を試合中に修正して決定機を作れればよかったが、得点機を作る形に気を取られすぎなのか、例えば前半には兵働昭弘が打っていたミドルシュートは後半には失点するまでまったくなかった。しっかりと組織的に守る札幌の意表を突くような背後への動き、ドリブラータイプの選手は少ないにしても相手の守備のリズムを乱すようなドリブルの仕掛けも少なかった。
長崎は神戸と並んでJ2リーグ最少失点(38点で1試合1失点に満たない)と堅守で、豊富な運動量を生かして前線から激しくプレスをかけ、ゴール前で体を張って失点を阻止しようとする。『前へ』と勝負しない攻撃では長崎の守備網は破れない。また、運動量&走力自慢の長崎のハイペースに付き合って千葉が速いテンポの攻撃ばかりしていたら、先にスタミナを消耗してしまうだろう。球際での激しさでのパワーは出し続けながらも、攻撃は緩急のリズムをうまくコントロールしたい。ここぞというカウンター攻撃では速く攻めきり、時には長崎を焦らすようなパス回しで守備網にほころびが出たところを突きたい。
長崎は第38節・熊本戦は複数あった決定機をモノにできずに0−1で敗れたが、第39節では6試合負けなしだった栃木に2−0で勝った。第37節での退場処分で第38節は出場停止だった奥埜博亮が、前節はゴール前で優れたテクニックで栃木のDFとGKを翻弄して先制点をゲット。後半には幸野志有人がボールを奪ったところからダイナミックに連動性高くダイレクトパスだけをつなぎ、最後は佐藤洸一がシュートしたボールがゴールポストに当たりながらも追加点となった。守備ではGKの金山隼樹が栃木の決定機にファインセーブを見せるなど奮闘し、最後まで粘り強さを発揮して栃木の強力2トップのサビアとクリスティアーノを抑えた。勝点を63に積み上げ、J2初年度のチームとしては2009年シーズンに富山が記録した勝点61を上回って過去最高勝点を記録。もはや勢いに乗ってきだけではなく地力をしっかりとつけてきたチームとなっている。
前回対戦(第16節)は千葉が前半に谷澤達也の得点で先制したが、後半にいずれもスローインのこぼれ球から連続失点(長崎の得点者は井上裕大と幸野)で1−2の逆転負け。その試合で長崎は後半にロングボールを多用してセカンドボールを拾い、運動量を生かして迫力ある攻撃を見せた。千葉は長崎に簡単にロングボールを蹴らせずに、千葉のディフェンスラインの背後を狙う長崎の選手の動きにしっかりと対応して守りたい。
長崎がチームとしてはまだJ1昇格争いの本当の苦しさを知らず、J1昇格争いができる喜びだけしか知らないとすれば、千葉は昨季にどのチームよりもJ1昇格争いの苦しさやつらさを痛感したチームだろう。それゆえにJ1昇格の喜びをどのチームよりも欲しているが、喜びを手にできるのは自分たち次第。まずは長崎との激戦を制して勝つだけだ。
以上
2013.11.09 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
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