徳島にとってこれ以上ない雪辱の機会が巡ってきたと言えよう。この一戦に勝てば、岡山に残るJ1昇格プレーオフ進出の可能性を完全に消滅させられるのだから。2年前の最終節でJ1昇格の道を閉ざされたあの悔しさを晴らせるのは間違いなく今節だ。
また当然、自分たちが立たされている状況からしても、徳島は今節を絶対に落とせない。前節までの3連敗で7位の松本に勝点で並ばれてしまった(順位は得失点差によるもの)今、置かれた立場はもう引き分けすら許されないギリギリのところ。何としてもここで勝利をもぎ取って連敗を止め、昇格プレーオフ圏内死守への流れをもう一度作らなくては。
しかし、今季最も結果の欲しい戦いとさえ言えるこのゲーム、徳島が制するためにはかなりのプレー改善が必要となる。そしてそれを特に求められるのが守備面─。ここ3戦で僅か1点しか取れていないこと、さらにエース津田知宏の連続PK失敗(37、38節)が強い印象として残っていることから攻撃の不調に目が向きがちだが、やはり徳島の戦いの基盤は守備。そのためそちらに起きている問題を解決することが何よりも最優先と言えよう。事実、リーグ後半戦の負けなし時期に一番光っていたのは他でもない粘り強いそれであり、その守りがあったからこそ幾つもの接戦に勝つことが出来ていた。
では具体的に守備のどこが改善のポイントかと言うと、間違いなくボールへの厳しいアプローチがその部分だ。
徳島は最近の2戦で続けて勝負に関わるミドルシュートを決められたが、そうなった原因は明らかにボールホルダーへ寄せ切れなかったこと。間合いを開け過ぎたため相手にフィニッシュの選択を許し、精度あるそれを放たれてしまったのである。さらに、そうした失点場面以外でもチームには寄せの不十分さが散見された。それゆえG大阪にも福岡にもボールを次々動かされ、選手たちは守りの狙い所を見付けられない状態に。小林伸二監督も前節終了後「G大阪戦で甘かったボールに対するアプローチの修正と、相手にミドルシュートが多いことからきちっとボールに行くという準備をしたが、立ち上がりにやられてしまった」と口にしていた通り、徳島は自らのアプローチの甘さから手痛い失点を喫し、それによって自分たちのストロングポイントである粘り強さも出せなくなっていたと言わざるを得ないだろう。
そこで今節にはそれの修正が絶対となるが、先発出場濃厚となっている橋内優也の存在が何かその実現を期待させる。というのも、橋内はチームの中でも貴重なファイタータイプのDF。スピードと高い身体能力を活かした厳しいチェックを見せられるピースだ。それだけに、橋内がその持ち味をピッチで体現したなら、周囲に影響を与えられる彼のキャラクターもプラスに働いてチームの守りにはいい変化が生まれるに違いない。背番号26に引っ張られる形で徳島は本来の守備の良さを取り戻し、それを足掛かりに逃すことの出来ない勝点3へも近付けるはずである。
いずれにしろ徳島にとって今季ホーム最終戦は、組織全体の大きな立て直しが不可欠となる一戦。そのうえ必ず勝利も掴まなくてはならないのだから、迎える90分は相当難しいものになるであろう。だが、積み上げてきた力を信じて持ち得る全てを出し切れれば、チームはきっと最後のホームで体勢を整え直し、改めてラストスパートの一歩を踏み出せるに違いない。決戦を目前に控えて指揮官も「この状況を個人、そしてチームとしても克服することで次のステージが開けると思っています」と話していたが、選手たちには勇気と闘志と意地とプライドを振り絞ったプレーで是が非でもそれを成功させてもらいたいところだ。
さて対し岡山からすれば、徳島がどのような戦いを挑んでこようとそれを返り討ちにするだけだろう。簡単でないアウェイ戦ではあっても、ここで可能性の火を消されるわけにはいかない。
その岡山は前節で大きな弾みをつけてこの一戦へ臨んできている。大きな弾みとは、残り10分を切ったところから2ゴールを奪って勝ち切ったという白星の形もそうだが、それ以上にメンタル面の強さを最後まで見せて勝利したというところ。影山雅永監督も試合後の会見で繰り返しそこに触れていたが、この時期何より大事となるメンタルで勝負を制したことはやはりチームの勢いへ繋がる要素だ。それだけに今節、岡山の選手たちが自信を持ってピッチに立つのは間違いない。残り3戦での大逆転を狙う彼らのパフォーマンスには注目が集まる。
以上
2013.11.08 Reported by 松下英樹
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