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【J2:第40節 栃木 vs 北九州】プレビュー:逆境でこそ試される底力。栃木はぶっ倒れるまで走り抜き、感動のフィナーレに相応しい2つの勝利を飾る。(13.11.09)

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緊急記者会見の場が設けられ、極めて厳しいクラブの財務状況が明らかになったのが火曜日。選手は相当の動揺を受けたはずだ。精神的なショックを和らげるために、会見の翌日には松本育夫監督が現状を説明し、木曜日には水沼富美男副社長が給料の遅配等の心配がないことを明言した。

早急に事態の鎮静化を図ったことで、幾分かではあるが落ち着きを取り戻したようだ。「どこのクラブでもあることだと思う。今更じたばたしても仕方がない。前向きに捉えて、J1に行けば事態も変わると思う」とは近藤祐介。「プレーの邪魔にはならないし、グラウンドの中では関係ない。自分達の仕事はプレーをしっかりとやること。それが会社で働く人達を助けることになる」と、キャプテンのパウリーニョも雑音に気を取られていないことを強調した。鳥栖時代に松本監督の薫陶を受けただけのことはある。廣瀬浩二はこれくらいのことでは全くめげない。
「ある意味、ピンチはチャンスだと思う。新聞で報道されたことでマスコミも注目しているはず。普段は取材に来ないマスコミ関係者も、ホーム最終戦なので来るかもしれない。そこで凄くいい試合をすれば、いいことを書いてくれる可能性もある。これだけ頑張っているから後押ししよう、となる可能性も高い。だからこそ、栃木を強固なものとするためにも、北九州戦は絶対に落とせない」
逆境を力に代えることで6位以内に食い込む起爆剤にできるか。今節は栃木の底力が問われる一戦となるだろう。

重要な一戦に向けて松本監督は、「アグレッシブさ」をテーマに据えた。それは松本体制になってから初の無得点で初黒星を喫した、前節の長崎戦で著しく欠けていた要素だ。5位・長崎を勝点差4で追う立場の栃木だったが、追われる側の気迫に押されてしまう。そのことで出足が鈍り、劣勢の展開を招きDFラインを押し上げられず。全体が間延びしてしまい、セカンドボールワークで後手に回り続けた。悪循環を払拭できずに、前半に与えた1点が重くのしかかり決戦で敗れたのだ。

今週のトレーニングではその反省を活かすために、相手陣内から果敢にボールを奪うことに重きを置いた。「ある程度できている印象はある」とGK榎本達也は、攻撃的な守備の手応えを口にした。ただ、ひとつプレスを外されればカウンターを食らうリスクを孕むだけに、リスクマネジメントが当然ながら求められる。その点に関してGK榎本は重々承知しており、「後ろの役割はリスク管理をすること。徹底してやりたい」と話した。北九州は昨季ほどビルドアップに安定感がなく、前から激しく追い込めばミスを誘える確率は高い。老獪な采配が冴える松本監督は前節の改善点を盛り込みつつ、相手の穴を突く戦術を練ったに違いない。栃木本来のコンパクトさを取り戻し、パウリーニョを起点に高速カウンターを発動させ、29発コンビのサビアとクリスティアーノが仕上げる。必勝パターンに持ち込んで観衆を大いに湧かせよう。

前節3‐2で群馬に勝ち切った北九州だが、最終盤は青息吐息で辛くも逃げ切ったのが実情だった。苦しみながらも接戦を物にできたのは、守護神・武田博行の存在が小さくない。「反応は速い」と同学年の廣瀬が讃えるとおり都合4度の致命的なピンチを、GK武田は事もなげに防ぎきったのだ。昨季まで栃木のゴールマウスを預かっていただけのことはある。あのどや顔も健在だ。前回の対戦では2点を献上しているだけに、GK武田の古巣戦に懸ける思いは強いはず。ファイター宮本亨も同様で、魂を燃えたぎらせていることは容易に想像できる。元栃木のメンバーを中心に北九州は無失点の時間帯を継続し、スピードに長けた渡大生と池元友樹の2トップに命運を託したい。

栃木にとって北九州戦は、今季のホーム最終戦となる。そこで狙うのは、2つの“勝利”。まずは、言うまでもなく試合に勝つこと。松本監督は言う。
「人生では色々な場面で感動することがあるが、スポーツでしかもらえない感動を体験してもらう試合にしたい。そのために全力で戦い、結果を出す」
72歳を迎えたばかりの指揮官は今季のクラブスローガンである「感動!」を、勝利を飾ることで提供する気概に満ちている。「ぶっ倒れるまで気合いを入れてやる」。前節の監督記者会見で宣言した言葉に偽りがないことを、この試合で必ず証明してくれるはずだ。

2つ目は、年間平均入場者数5000人の達成。最終戦に8311人が来場すれば、この数字をクリアできる。シーズン当初の目標値を大幅に下回るが、それでもクラブにとっては大きな一歩となるはずだ。現時点での平均入場者数は4800人台。そう考えれば簡単な目標ではないが、長崎に敗れたことで可能性が薄まったプレーオフ進出同様に挑みがいがある。2つの“勝利”を獲得することで最終戦に相応しい感動のフィナーレを迎え、残りのアウェイ2連戦に弾みをつけたいところだ。

以上

2013.11.09 Reported by 大塚秀毅
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