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【J2:第39節 札幌 vs 千葉】レポート:拮抗した好ゲームはホームの札幌に軍配。エース内村の狡猾なゴールで勝点3を積み、プレーオフ圏内に肉薄!(13.11.04)

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最後まで結末の見えない好ゲームだった。試合開始時点での順位はホームの札幌が10位で、プレーオフ進出圏である6位との勝点差は6。一方の千葉は4位で、プレーオフ進出をより早く確定させたいし、できればそれもホームで戦いたい。そういう状況だった。それだけにこの試合は双方が絶対的に勝点3を求めるシチュエーションにあり、札幌に至っては財前恵一監督が「ここで負ければ、(プレーオフへは)ほぼノーチャンスになる」と背水の陣で挑んでいた。

両チームが積極的に攻め合う展開で試合はスタートした。札幌はキープ力のある前田俊介のドリブルを軸に、相手DFラインの裏を巧みに狙う内村圭宏を走らせる。一方の千葉は最終ラインからしっかりと組み立てをしながら、サイドチェンジを交えて揺さぶりをかける。そこに攻撃的な右サイドバック、米倉恒貴のダイナミックなオーバーラップも織り交ぜた。そうして双方が意図のあるチャンスメイクをしながら、試合は進行していった。

ただし、攻撃の部分もそうだが、どちらも守備のオーガナイズがしっかりできていたというところが、試合を引き締めた大きな要因だろう。「リスクマネジメントをしっかりしていた」と鈴木淳監督が言うように千葉はサイドバックが攻撃参加をしても、できるだけバランスを崩さないように人数を揃えていたし、札幌のほうは後方の選手が高い位置まで攻め上がることはあまりなく、加えて河合竜二、宮澤裕樹が組む守備的MFのどちらかが必ずバイタルエリアの中央に立って守備を安定させていた。それ故、互いに中盤から前線へと何度もボールを運んでチャンスを作り合いながらも、要所を相手守備に封じられて決定機までには至らない。そういう状況が続く試合だった。

「拮抗して安定したゲーム」。鈴木監督はそのように試合を総括した。つまりは、どちらかが一方的に前がかりになったり、どちらかが意図してゾーンを下げて守備的になったりということがなく、もちろん札幌が押し込む時間帯があったり、逆に千葉が押し込むこともあったが、全体的にはバランスよくお互いに攻め合ったということ。それも両チームが能動的にボールを動かしてチャンスを作り合っただけに、両アタッキングサードにボールが進入する場面が多かったこのゲームは、客観的に見ても非常に面白味のある展開だったように思う。さらに言うならば、この手の展開になるとセットプレーからスコアが動くケースも多いのだが、ここについても最後まで両チームの守備が集中しており、ゴールネットは揺れなかった。

となると、こうした試合で明暗を分けるのは、ミスだ。81分、バックパスの処理に対して千葉の竹内彬とGK岡本昌弘との連係が円滑にいかず、岡本が若干、飛び出し遅れたところに札幌の内村が猛然とスライディング。ボールを奪うと、そのまま無人のゴールとボールを運んでしまったのだ。そしてこれが決勝点となる。

ボールを足で扱うサッカーというスポーツは、基本的にはミスがつきものだ。実際にこの試合でも、中盤でイージーなパスミスをして簡単にボールを相手チームに渡してしまうシーンは双方に何度もあった。いや、どちらかと言えば勝った札幌のほうが多かったような印象さえある。ただし、敵陣や中盤でのミスならば、それがダイレクトに失点に結びつくことはあまりない。それにミスをゼロにすることは不可能なわけで、そうなると、言うまでもなく危険なエリアでのミスだけはできるだけ避けなければならないだろう。特にこの試合のように拮抗した展開では、ひとつの失点が大きなダメージとなってしまうし、実際にそうなった。前述の場面では、相手のミスを見逃さず得点へと結びつけた内村はもちろん見事だが、それでもやはり千葉のミスについて言及せざるを得ない。

ただし、である。このゴールシーン以外の局面は終始、拮抗した好ゲームだったことをあらためて忘れずに記しておきたい。どちらも攻撃陣がアグレッシブに攻めて何度も敵陣に迫り、それを対峙する相手守備陣が体を張って跳ね返す。そうして攻守が目まぐるしく入れ替わり、両ペナルティエリア付近への行き来が多かったこのゲームは、繰り返しになるが見ていて非常に面白かった。ラスト10分の場面でスコアが動くと、千葉が急いでFW2枚を準備するなど、そうした緊迫感も手に汗を握らせるものだった。

さて、そうして札幌が勝利したわけだが、その結果、札幌は勝点を57として6位との勝点差は3。試合開始時点では4試合を残して6位との勝点差が6だったのが、90分後には残り3試合で3差。これはもう、プレーオフ進出圏内に一気に肉薄したと言っていいだろう。そして一方、千葉は勝っていればプレーオフ進出がほぼ盤石となっていただろうから、この敗戦は非常に手痛いところ。順位こそ4位を保っているが、7位との勝点差は4と、予断を許さない状況に。

リーグ戦は残り3節。目の離せない、白熱した展開が続いていくことになる。

以上

2013.11.04 Reported by 斉藤宏則
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