8月9月を共に3勝と、前半戦の不振を取り戻す勢いで、降格圏から脱出した北九州。しかし、10月に入り1分2敗。その勢いは陰りを見せ始めている。その要因は得点力不足。ドローに終わった水戸戦こそ、池元友樹と渡大生のFW2人が共にゴールこそ奪ったが、23本ものシュートを打ったが決定力が無かった福岡戦。アタッキングサードまでボールは運ぶが、そこからゴールまでのイメージが無かった東京V戦。内容こそ違うが、無得点に終わった2試合。前節の試合後、柱谷幸一監督は「アタッキングサードの所で、もう少し工夫して精度の高いプレーをしないと、あれだけ引かれると、なかなか厳しい」と語った。それは、リーグ前半に言われていた「良い戦いはしているが結果が付いてこない」と同じニュアンスの様に聞こえるが、チーム全体が、長いシーズンを経て、苦しんでたどり着いた、もう1つの高い壁とも言える。現にベテランの大島秀夫も「相手の陣形を崩せない試合が続いているが、 その状況の中での判断を、自分たちで出来るようにしないと。技術だけじゃなく、選手個々のレベルアップが必要だとも言える。言い換えれば、そのレベルにまで来ているとも言える」と話していた。それと同時に「ゴール前でリスクを冒したプレーが少ない」とも付け加えていた。残念な事だが、敗れた相手の守備陣からも「北九州の攻撃には怖さが無かった」との言葉も聞こえていたのも事実。あまりにも、綺麗な形にとらわれ過ぎて、ゴールへの迫力が薄れ、相手に脅威を与えてなければゴールはおろか、勝利に結び付けていくのは厳しくなる。降格への危機感が無くなったからとは思いたくはないが、夏場にあった勝利への貪欲さを取り戻さなければ、残り4節、そして未来には繋がらない。ホーム本城でも、今季は5勝3分11敗と大きく負け越している。残り2試合のホームゲームで、しっかりとした未来への布石を残せるか、今年1年間戦って来た選手達の奮起に期待したい。
今週は「攻撃に重点を置いた」(柱谷監督)トレーニングを行っていたが、恒例となった全体練習終了後の、攻撃陣によるシュート練習の輪から離れ、ボランチの1人新井純平は、黙々とミドルレンジからのシュート練習を行っていた。その絶え間ない向上心と情熱が、今節結果に結びつくことに期待したい。
対する群馬は、前節の岡山戦の前に発覚した、選手の不祥事により、チームは大きく揺れ動いた。しかし選手たちは、プレーオフ圏内を狙う岡山相手に怯まず戦い、今季初先発の星野悟の初ゴールの活躍もあり、見事2−1と勝利を収め、残留へと一歩近づいた。様々なプレッシャーを受けて戦った試合後のロッカールームでは、多くの選手たちが泣いていたと聞く。群馬も北九州と同じく、リーグ序盤に6連敗を喫し、中盤以降も4連敗を2度するなど、苦しんだシーズンだった。そこへ来てのクラブの危機を、群馬に関わる全ての人は、現実をしっかり受け止め、戦うことから逃げなかった結果が、チームを1つにしたと言えるだろう。しかし群馬の選手に、岡山戦勝利の余韻に浸る者はいない。ここまで、11ゴール4アシストと、攻撃陣を牽引する平繁龍一も「こんな状況でも応援してくれるサポーター、スポンサー、関係者の方の信頼を回復するためにも今日は勝点3が必要だった。(中略)これからアウェイ2試合、大事な試合が続くので2試合とも勝ってきっちりと残留を決めたい」と、ここから続く、アウェイ北九州、鳥取戦へ向けて、気持ちを切る事が出来ない戦いは続く。
ここまで7戦戦って、2勝2敗3分と、全く五分の戦いを見せる両チームの戦い。最後に笑うのは、勝利への渇望を欲したチームに微笑むこととだろう。
以上
2013.11.02 Reported by 坂本真
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