J2第39節松本戦。後半が始まったばかりの48分に、その時はやってきた。松本陣内左サイドにこぼれたボールを金久保順が拾うと、三島勇太、坂田大輔、石津大介の3人が一斉に動き出す。ピッチを斜めに走り抜けてDFの注意をひきつける坂田。その動きによって生まれた中央のスペースをドリブルで仕掛ける石津。そして、右サイドハーフウェイライン近くにいた三島は、長い距離を走ってペナルティエリアへと侵入していく。そして強引に仕掛けた石津が松本の選手6人を引きつけてラストパス。最後は三島が落ち着いて右足で押し込んだ。ファン、サポーター、そして何より本人が強く望んでいたゴール。三島のプロ初ゴールが生まれた瞬間だった。
試合後、ミックスゾーンに現れた三島に声をかけると、「やっと決められました。石津さんが持ちこんでくれて、後は自分が決めるだけという状況を作ってくれたので、ありがたいゴールでした」。少しはにかみながら、先制ゴールを振り返ってくれた。
小学校1年生の時にサッカーを始めた三島は、トレセンの指導をしていたアビスパのコーチに誘われてアビスパ福岡U−13に加入。以降、アビスパ一筋でプレーし、今シーズン、トップチームへの昇格を果たした。新加入発表記者会見では「持ち味は、どんどん仕掛ける姿勢。1年目から、どんどん活躍して、後輩からも目標にされるような選手になりたい」と話していた。本来のポジションは攻撃的なMF。今シーズン途中からSBにコンバートしてレギュラーポジションを獲得したが、この日は、前節の鳥取戦に続いて本来の位置でプレー。先制ゴールを決めた他にも、積極的にゴール前へ現れて際どいシュートを放つなど、自分の持ち味を十分に発揮していた。
ただ、ほろ苦いプロ初ゴールでもあった。三島が先制ゴールを挙げたところまでは福岡のプラン通りの戦い。ゴール裏を埋め尽くす松本サポーターが作り出す完全アウェイ状態の中、勝利に向かって着々と進んでいたはずだった。しかし、その後、自分たちからリズムを崩した福岡は、次第に松本のリズムに引き込まれると68分に失点。さらにはアディショナルタイムには逆転ゴールを喫することに。結局、これが決勝ゴールとなって松本の前に敗れた。悔やんでも悔やみきれない試合になった。
「自分の出来が良かったとしても、チームが勝てなければ意味がありません。自分のゴールでチームを勝ちに持って行けるような選手になりたいです。それが出来るようになれば、もっと、もっと、いい選手になれると思っています。残り試合は少なくなりましたが、1試合、1試合、ファン、サポーターの方たちをレベスタに呼べるようなプレーをして、その結果、チームが大きくなれるように頑張っていきたいです」
初ゴールを挙げた試合。悔しい逆転負けを喫した試合。この試合は三島にとって忘れられないものになるだろう。だが、それは、これからのプロ人生を切り開いていく貴重な財産。それを糧に、大きく成長してくれることを、彼をジュニアユース、ユース時代から知る多くのサポーターが願っている。まずは残り4試合。若さあふれる姿でピッチの上を走り抜いて欲しい。踏み出した最初の一歩を、大きな、大きなゴールに結びつけるために。
以上
2013.10.30 Reported by 中倉一志
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