いまだホーム戦未勝利の大分、「何とか首位のチームをホームで叩きたかった」と田坂和昭監督が採ったシステムは、4−1−4−1だった。4バックの前にアンカーの宮沢正史を置き、その前にダブルボランチ、脇にサイドハーフを配し、スペースを消した。攻撃はボールを奪うと、前線に素早く当てて速攻につなげる。序盤は横浜FMのマルキーニョス、中村俊輔が前線からプレスをかけてきたことを考えれば、この戦い方は安全かつ効果的だった。
意図は明確。しかし、それを可能にする選手個々の力量不足は明確だった。とりわけ、1トップの西弘則がボールを収められず、攻撃の起点としての機能を果たせなかった。また、前に蹴るばかりで本来のプランであった相手サイドバックの裏を狙うパスが少なく一本調子になった。さらにいえば、本来前線の中央にいるはずの高松大樹、森島康仁の両エースをケガで欠いたことは、想像以上に攻撃の迫力を欠いた。それは横浜FMの司令塔である中村も感じていた。「高松選手や森島選手がいたらロングボールも蹴り甲斐があったと思うし、胸トラ(胸でトラップ)されて起点になられたらボンバー(中澤佑二)やファビオもつり出され厳しい試合になったと思う」。
前半のシュート数はゼロ、後半もゴール前にボールさえ運べず、静かな時間がただ流れていくだけだった。ファーストシュートは77分の木村祐志のミドルシュートで、2本目は80分のFKでは得点を得るのは難しい。
システムを4バックに移し、公式戦3試合目。組織的な守備ブロックを構築し、守備は安定感が出た。「守備は失点の場面以外は問題なかった。4バックになってカバーの意識が高く、やろうとしていることができている」(高木和道)、「セットプレーの失点以外は耐えることができた」(木村)と、選手は手応えを口にしている。あとは攻撃。「狙いを持って攻撃ができるようにトレーニングをしたい」と指揮官が目指すサッカーを確立し、ホーム戦残り2試合で声援を送り続けるサポーターに勝利をプレゼントしたい。
最下位の大分相手にきっちり勝点3を奪った横浜FMは、首位の座を守り9年ぶりの栄冠が見えてきた。「攻めているけど決定機が少ない。勝たなければいけない焦りとの戦いだった」と中村が振り返るように、圧倒的にボールを支配しながらもスコアが動かない状況が続いた。それでも「選手は焦れることなく相手のサイドバックの裏を狙った」(樋口靖洋監督)。前半終了間際の45分、中村が右サイド深くまで侵入して自ら得たFKを直接ゴールに叩き込み先制する。「ここぞという場面で伝家の宝刀を抜いた」と樋口監督も絶賛したように、スピードもコントロールも文句なしのスーパーゴールだった。
1点リードして後半を迎えたことで、相手の出方を見極め、ブロックを作った。リーグ最少失点の守備は綻ぶことなく、大分にこれといった場面を作らせず、危なげなく勝利を呼び込んだ。結果は1−0の僅差であったが、内容は歴然で、クラブ新記録の5試合連続無失点、9月から6戦負けなし。富澤清太郎が「苦戦は覚悟して戦ったし、大勝できる試合の方が少ない事はよく分かっているつもり」と話したように、優勝を狙うチームに相応しい試合巧者ぶりを発揮した。
以上
2013.10.28 Reported by 柚野真也
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