新潟が3-2で湘南を下し、ホーム7連勝を決めた。川又堅碁が第11節・鳥栖戦に続く、今季2度目のハットトリックを達成。PKを2回連続で決めると、3点目はコンビネーションでゲットした。新潟はこの勝利で勝点43で10位に。残り4試合で16位・湘南との勝点差が18と開いたことで、J1残留が決まった。
湘南は0-3とされた後半に2点を返し、最後まで粘りを見せたが、追い付くことはできなかった。

ゴール裏のサポーターとともに、川又が左拳を突き上げてのバンザイを繰り返した。ホーム戦で得点を決め、勝利を挙げたときの試合後の恒例行事だ。特に今回はハットトリック。鳥栖戦はアウェイでの達成だった。「ホームのサポーターの前でハットトリックを決められてうれしいです」。素直な気持ちで喜びを分かちあった。

先制点は前半12分のPK。レオ・シルバのロングパスに合わせて飛び出し、ペナルティーエリア深く入ったところで倒された。1度は蹴り直しになったが、動揺することなく決めた。2点目もPK。後半18分、左サイドからペナルティーエリア内に入った成岡翔が倒されてゲット。「成岡さんが（キッカーを）譲ってくれた。感謝しています」。チームメイトの期待が込められたチャンスを逃すはずがなかった。最後は後半27分、田中亜土夢の右サイドからのラストパスにゴール正面で合わせた。
この3点で今季合計20点。得点ランキングで首位を行く大久保嘉人（川崎Ｆ）に2点差の単独2位に付けた。また、2007年にエジミウソンがマークした19得点を抜き、クラブのシーズン最多得点に。この日は日本代表のザッケローニ監督が視察。当然、初の代表入りへのアピールにもなった。ただ、「それは意識していない。まず勝つことしか考えていませんでした。自分はまだまだそういうレベルではないので」とあっさり。
頭の中にあったのは「自分らしい泥臭さ」。得点シーン以外でも、サイドに流れて前線へ出すパス、相手と競り合ってのボールキープと、チャンスメイクも見せた。チームが勝つことを土台に得点を重ねてきた。残り4試合。「1試合1得点以上挙げることが目標。それを目指し、勝っていきたい」。手応えを感じながら、シーズンの仕上げに入る。

新潟は川又の3得点が結果的に貯金になった。後半32分、37分と湘南に反撃を許して2点を返された。最初の失点は左サイドを破られ、あっさりとクロスを入れられて奪われた。2失点目は右サイドを攻められて、クリアがオウンゴールに。終盤はコーナーキックでの相手のパワープレーの前に、ゴール前に釘付けになった。「4-0にするチャンスで外したことと、集中力を欠いたプレーからミスしたことが、ひやひやした要因」と柳下正明監督。得点機を逃し、勝負に出た相手につけ込む隙を見せてしまった。「90分、しっかり集中して戦えるようにしないと」。柳下監督は選手たちに、残りの試合での気持ちの引き締めをうながした。

湘南は勝点ゲットはならなかった。後半32分、右サイドを突破した古林将太のクロスに、永木亮太が飛びこんでへディング。5分後には、左サイドから亀川諒史が入れたボールがオウンゴールを誘った。ただ、反撃もここまでだった。
曹貴裁監督は「2点取って頑張った、という試合ではない」。サイドからチャンスメイクする形は前半から作っていた。リードを奪われてからも、ボールを支配する時間帯はあった。そこで得点できなかったことを悔やんだ。
順位は16位で、15位・甲府との差は6。「湘南ベルマーレを愛する気持ちを育んでやっていくしか、J1のステージには残れない。全身全霊の3倍くらいのエネルギーをかけて、残りの4試合を全力で、楽しんで臨もうと思っている」。曹監督は残り4試合への決意を強い言葉で表現した。

現在10位の新潟は1つでも上位を、湘南は降格圏脱出を。残り4試合、どちらも上を向いた戦いが待っている。勝敗は分かれたが、それをあらためて確認することになった一戦だった。

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2013.10.28 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）