広島、鹿島、浦和、横浜FM、柏、C大阪など上位にいてトップチームも育成組織も充実しているJ1のトップクラブが触手を動かすような選手が東南アジアにいるかどうかは分からないが、アンディク・ベルマンサのプレーを見るとJ1で戦う甲府なら充分に戦力として期待できるレベルだと感じた。言葉の問題はあるが、東南アジアの選手は気候や食べ物では順応しやすそうなので生活面でのハードルは低い。今のJリーグは各クラブごとに放映権を東南アジアの国々で販売することはできないルールだと思うが、Jリーグで活躍する選手が増えれば東南アジアで関心が高くなることは確実で、今後の展開が楽しみだ。
レ・コン・ビン加入のニュースや初ゴールを決めた試合のニュースなどを見ていて、既視感があった。カズが日本人で最初にセリエA(ジェノア)プレーヤーになったときの日本での期待や盛り上がりは凄かったけれど、それをイタリア側から見ている感じ。スケールはカズの移籍のほうが全然大きい話ではあるが、アンディク・ベルマンサが甲府に来た時に彼のマネージャーやインドネシアの記者や通訳も一緒に来て、盛り上がっている感じにも1994年のカズを重ねて見ていた。送り出す側は、その選手が温かく迎えられて活躍すれば嬉しいのは当たり前だし、迎え入れる側は活躍以外にも期待(スポンサー増)があるが、送り出した側の人々が喜ぶ姿を見れば嬉しいのも同じだろう。それが10人目の選手ならどうか知らないが、1人目のチャレンジャーならなお更。
インドネシアリーグがJリーグとパートナーシップ協定を結ぶのは来年になりそうだという話なので、枠の問題でアンディク・ベルマンサが即、甲府に加入するということにはならないかもしれないが――下心はあるけれど――是非加入してほしいと思った。J3であれば活躍できる東南アジアの選手はもっと多いだろうと推測するが、J1、J2に東南アジアの選手が複数、常に所属している時代が来れば東南アジアのレベルアップにJリーグが貢献できるし、東南アジア企業のスポンサーが増えることもあるだろうし、東南アジアで放映権やグッズも売れるはず。もう一段の前進をしたいJリーグにとって後者の期待は特に大きいし、代表がワールドカップ予選で苦労することになっても東南アジアのレベルアップで地域全体を活性化することは必要。日本社会は閉塞感が長く続いているけれど、東南アジアを取り込んだ拡大が本格的に進むはずの2014年以降、J1、J2、J3がどうなるのか今から興味深い。
以上
2013.10.26 Reported by 松尾潤(甲府担当)
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