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【J2:第38節 熊本 vs 長崎】プレビュー:ホームでの『バトル・オブ・九州』にプレーオフ圏の長崎を迎える熊本。勝敗の鍵は、サイドの攻防と、原点である“戦う”姿勢(13.10.27)

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9月にしぶとく勝点を積み重ねてきたチームとは全く違った。千葉に乗り込んだ前節、熊本は0-6と惨敗。今季最後の関東でのアウェイゲームに多数訪れたサポーターは、雨の中でも声を切らすことはなかったが、チームは33分に先制を許してから積極性を失い、また集中も欠いて今季ワースト2となる大量失点を喫した。左サイドからチャンスに絡んでいた片山奨典はこう振り返る。
「前節は、自分たちで絶対に立て直すことができた。今まで勝点を取ってきた試合では、相手の時間帯があってもゼロ、せめて1点で抑えきれていた。そこをもう一回、思い出さないといけないし、同じことを繰り返すわけにはいかない」
先制を許すまでの30分間に限れば、高い位置から積極的にプレッシャーをかけることによって流れをつかみ、大きなサイドチェンジ等を交えて好機を作れていたのは事実。こうした「自分たちに流れがあるときにしっかり取る」(片山)ためにも、「相手が嫌がっていて、チャンスが作れると理解できたことは、1試合通じて繰り返さないといけない」と藤本主税も言う。
J2での1シーズン目ながら、智将・高木琢也監督の指揮の下で実に堂々たる成績でプレーオフ圏を維持している長崎を迎える今節も、そうした部分が求められる一戦となる。

長崎に関して言えば、開幕前に現在の好成績を予想した人は少なかったろう。そうした評価は間違いなく選手たちの反骨心を生み出す大きなモチベーションとなりうるが、今の順位を支えている要因がメンタルの作用だけであるはずがない。シーズン終盤に入って上位との試合が続き、第32節でG大阪に勝って以降、神戸、札幌、京都と3連敗するなどやや勝点を積み上げるペースが落ちたように見えたものの、前節はFW佐藤洸一のJリーグ通算50得点などで3−0と岐阜を一蹴している。
プレシーズンに熊本の大津町で行われた長崎と札幌のトレーニングマッチを見た際、「走れる選手を揃えた」と高木監督が口にしていた通り、90分を通して、さらに言えばシーズンを通して走り抜く走力が大前提にある。その上で、前線からの積極的なプレッシングを合図にした守備の連動と、早い切り替えからパワーを持ってフィニッシュまで持ち込むスタイルを構築してきた。選手間の適切な距離とアングルがこれを可能にするわけだが、守備でも攻撃でも、味方の動きに合わせて細かくポジションを整えるうえでは、運動量だけでなく状況に合わせた判断の元となるインテリジェンスも不可欠。試合を重ねるごとにそうした部分はより深まる。つまり前期対戦した時とは違う、ということだ。
得点こそ上位陣の中では少ない方だが、顕著なのが神戸と並んでリーグ最少失点を誇る強固な守備だ。GK金山隼樹とDF山口貴弘を中心とした最終ラインだけでなく、2人のボランチとワイドのMFまで含めたブロックは前述した距離感もあって簡単に綻びを見せることはない。ボールへのチャレンジ&カバーが徹底され、奪えば両翼と前の3人がスペースに飛び出し、早い段階からのクロス、あるいはサイドからの仕掛けによって相手が整う前に勝負に持ち込む。後方からのビルドアップでも岩間雄大と井上裕大が適宜顔を出してさばき、前の3人が流動的に間のポジションに入っては受け、そこに対しても次のサポートがついて、勝負どころと見れば個の判断で迷わず加速する。試合立ち上がりの15分、そして前半終了と試合終了前15分に得点する割合が高いことも含め(時間帯別得失点)、「今の長崎は、高木さんが熊本の時に言っていたようなことを忠実にこなしているチーム」という片山の言葉に、その強みが集約されていると言えるだろう。

同じシステムを採っている以上、ポイントとなるのはやはりサイドでの攻防だ。天皇杯3回戦の広島戦では「駆け引きで負けて押し込まれてしまった」という大迫希は、「カウンター合戦になると向こうに分があるから、横に揺さぶる形も織り交ぜて攻める時間を作らないといけない」と言いつつ、こうも話す。「僕らウイングバックのところで起点を作ると、相手のワイドやセンターバックが動く。そこからうまく背後に入れられればペースを掴める」
当然、長崎としてもそうした狙いは織り込み済みだろう。要となるのはそのタイミングである。今週のトレーニングでも、一貫してその部分にウエイトを置いた。池谷友良監督は言う。
「サイドで起点を作ったあと、勇気を持って、リスクを負って入っていかないと点は取れない。だからといってやみくもに入ってもダメで、そのタイミングがいつなのかを見極めないといけない」
自分たちの配置とそれによって生じる相手の変化、出し手の判断と受ける側のアクション、これらが噛み合うその瞬間を逃さない、というよりも意図的にその状況を作り出すこと。そして藤本が話したように、しつこく繰り返すこと、それが1つめの鍵だ。そしてもう1つは言うまでもなく、サッカーの原点である“ファイトする”ということである。思えば第8節の対戦では、そうした土台の部分から長崎に対して後手を踏んだことも敗因のひとつだった。同じ轍は踏めない。

J2リーグでは始まったばかりの長崎との『バトル・オブ・九州』の歴史だが、前期の結果や相手指揮官が前々監督であること、北嶋秀朗が引退を発表して迎える初めてのホームゲームであることなど、42試合のうちの1つではあるものの、やはり「他のゲームとは違う」(池谷監督)一戦であることは確か。しかしそれでも、「ピッチで戦うのは自分たちなので、あまり意識しないで、基本的なことをどれだけ忠実にやれるか」(筑城和人)という、ニュートラルなメンタルが必要だ。
筑城は続ける。
「前回、長崎にあれだけのサポーターが来て、ホームと同じような雰囲気を作ってもらったのに、負けて悔しい思いをさせてしまった。とにかくホームで勝つ、その1点に集中して、サポーターの方には笑顔で返ってもらいたい」
舞台は整った。あとはやるだけだ。

以上

2013.10.26 Reported by 井芹貴志
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