10月10日、ＪリーグＯＢ講習会がファジアーノ岡山のクラブハウスで行われました。講師はゴンさんこと中山雅史さん。テーマは、「サッカー選手として成長するために必要なこと」。詳しい内容はファジアーノ岡山スタッフのブログ（http://ameblo.jp/fagiano-front）に掲載されていますが、参加した全選手とスタッフ約70名は、とても有意義な時間を過ごしたようです。

田中奏一選手にとって最も印象に残った中山さんの言葉は、「オープンマインド」です。出会うすべてのことを前向きに受け止めるために心を開いておくこと。「今年、僕は何でもあるがままに受け入れて、そこから考えていこう、ということを意識して入ったので、間違ってなかったんだなと思いました。例えば、試合に出られない時でも、『何で』って考えるんじゃなく、まず受け入れてから前向きに考えようと」と話します。また、三村真選手は、「その他大勢、というフレーズは耳に残りました。サッカーでスーパーな選手はひと握りだけ。ほかの選手は、その他大勢で、努力するのが当たり前。岡山はスーパーな選手がいないので、みんなの力を合わせていかないと勝てない、と思いました」。

同じ話、同じ言葉を挙げる選手がほとんどいないため、中山さんの話した内容の幅の広さと密度の濃さが伝わってきます。中林洋次選手は、「熱い中にも冷静に自分を見つめてプレーしていたんだろうなっていうことが、言葉というよりは話の中から伝わってきました。ケガをして動かないけどまだやりたい、という悔しさも。あれだけ準備してきた人でも、思うようにプレーできなくなることもある。僕はコウタさん（服部公太、現広島ユースコーチ）を近くで見てきていますが、準備の大切さということを改めて考える機会になりました」。

千明聖典選手は千明選手らしい感想でした。「あ、ゴンだ！って感じでした。俺、ゴン・カズ（三浦知良）世代ですから。影さん（影山雅永監督）とゴンさんのやりとりは、相当おもしろかったです。共感したのは、試合でしっくりこなかった時、家族といても試合のことを考えちゃう、という話。オフがオフじゃなくなること、ああ、それわかるなって。重要な要素は人によって違うと思うし。それから、ジュビロの黄金期にはパス回しにちょっと混じるだけ、一回触るだけですごくうれしいって言われてましたね。全部がもっと聞きたくなる話、しゃべりでした。１時間くらい話を聞いてると眠くなるはずなんですけど、ずっとゴンが目の前にいる！って」。千明選手も触れていますが、筑波大学の同級生である中山さんと影山監督のやりとりは、ちらと拝見しただけでも楽しいものでした。講習会前、ランニングをしようとグラウンドに出る中山さんに、影山監督が「お、いけるねえ！」と声を掛けると、「選手としてだよ！」と答えているシーンもありました。またこの日行われた紅白戦は、影山監督が「今季一番だった」と言うほど熱く盛り上がりましたが、中山さんがグラウンドにいらっしゃったせいかもしれません。

感想の最後はこの選手に締めてもらいましょう。仙石廉選手です。「向上心、客観視、オープンマインドが大事だって言われて、どんなアドバイスにも素直な耳を持つこと、どんなプレーを要求されても、どんなサッカーを要求されてもそれに応えるのもプライドだよ、って。素直になれなくて、変なプライドを持ってしまうと、『いや、俺こんなサッカー知らない』ってこと、あると思うんですが、素直でオープンマインドな心を持っている選手は、いつも何か学ぼうとしている。どんなことがあっても、そこから学ぼうとする。そういう心、プライドが大事で、それがあれば何でもできるよ、って。『監督の言うことを僕はきっちり表現できます』いうプライドがあれば、そのサッカーのセオリーを理解した上でどこ行ってもプレーできると思うし、それは中山選手が表現してきていることだなと思いました」。

ちなみに選手の感想は、講習会から約２週間たって聞いたものです。選手の心に染み込み、時間を経ても色褪せないゴンさんの言葉です。

以上

2013.10.25 Reported by 尾原千明