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【J2:第37節 長崎 vs 岐阜】レポート:3−0。長崎が掴んだ光と、岐阜の持つ折れない心と(13.10.21)

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長いシーズンもとうとう残り6試合となってしまった。長崎と岐阜はそれぞれ目指す目標は違うが、それを達成するには、共に負けられない一戦となった。

長崎が目標としているJ1昇格プレーオフ圏内に踏み留まるには、下位が相手ということもあり、絶対に勝点3を取らなければならない試合だった。ベンチ入りメンバー、高木琢也監督からはいかなる形でも勝点3を取ってやろうという気持ちが強く感じられた。空中戦に圧倒的な強さを持つ水永翔馬を5試合ぶりにベンチに入れ、試合状況によっては途中からロングボールをというオプションの行使を示唆するような人選だ。まさしく、シーズンは佳境なのだ。
ただし、基本的な戦い方は変わらない。いかに全選手が連動してシュートまで持っていけるか。長崎の出来、不出来は常にここにある。まずはこれまでの試合と同じように、そこに焦点が絞られた。

対する岐阜は、こちらも律儀に自分達のやり方であるカウンター一徹。そこに勝負を懸けるチームだ。そしてシーズンを通してずっと、その質を高めてきた。ここ4試合はバージェとスティッペ(今節は出場していないが)で5ゴールをあげている。長崎としてはそれを食らわないために、シュートで終わることが大事だった。
長崎は今週は特にシュート練習に力を入れてきた。今シーズン、これまでこんなことはなかった。シュート練習をすることすらほとんどなかったのに、練習メニューの頭にもって来た。高木監督流の意識付けだ。

試合はまず、岐阜が立ち上がりからロングボールを多用し、フィジカルの強い中村祐輝にボールを集めた。長崎は岐阜のカウンターを警戒し攻守のバランスを意識するあまり、なかなか前から積極的にプレスには行けない。しばらくは岐阜のペースで試合が進むかと思われたが、突如連続して訪れたチャンスに慌てたのだろうか、岐阜は最後のところで決定力のなさが出てしまい、そうするうちに自分達の時間帯を失してしまった。
時計の針が11分進んだところで、なんと長崎が最初のチャンスで先制点を挙げる。これは長崎にとって大きかった。スローインを受けた奥埜博亮がタッチラインまでドリブルでえぐり、パスを受けた井上裕大がシュート。それに金久保彩が足を出し、おいしい形で今季4得点目。久しぶりの先制弾だった。
これまで長崎はどうも先制されるとシュンとなり、選手が下を向くことが多いため、「勢いをつけるために先制点は大事だ」と金久保自身が試合前に話していたが、その通りとなった。

ただし、前半は岐阜も踏ん張った。36分にはCKから木谷公亮が頭で長崎ゴールを襲う。誰もが「入った」と思ったが、金山隼樹がスーパーセーブで一度手繰り寄せた流れを離さなかった。岐阜には運がなかった。このゴールが決まっていれば、おそらく試合はまた違ったものになっていただろう。

後半に入ると長崎は連動した動きが増える。岡本拓也によるとハーフタイムに「連動しよう。ボールを取ったら前に」と声を掛け合ったそうだ。61分、奥埜が絶妙の駆け引きでボールを奪うと、パスを受けた井上がスペースに駆け上がり、右サイドから中央へ折り返す。ファーサイドにいた佐藤洸一がダイレクトで合わせて2点目。流れるような、サポートの多い、長崎が本来目指している形の得点パターンを見ることができた。この得点にスタジアムに訪れた7524人は沸いた。
岐阜の辛島啓珠監督も「2点目が効いた」と話すとおり、バージェを投入して6分後の失点はダメージが大きかっただろう。長崎は前回対戦時には追加点が取れずにアディッショナルタイムに逆転弾を許している。この試合では追加点を重ねなければ危ないということは皆が共有していたのだ。
長崎の勢いは止まらない。77分にも幸野志有人が古部健太からパスを受け、無理な体勢ながらもシュートを放つと、それが木谷公亮の体に当たって方向が変わり3点目となった。今までこんなシュートを幸野が打っただろうか。いや、打たなかった。そんな野性味の溢れる得点だった。長崎は危なげなく、3−0で完封した。

この試合を振り返った時、長崎にとって大きな財産となる面白い特徴を見つけることができる。
1つはボランチの井上裕大が2アシストをあげていることだ。井上はボランチの選手だが、これまで前の選手を動かすような攻撃的なパスを出すことはなかった。今季、長崎はこれまで主にサイドからの得点機会演出が多かった。実はボランチの井上と岩間雄大は18日の練習ではその点について、監督から個人指導を受けていた。後付けではなく、いきなり個人指導の効果が出たのだ。しかも1点目のアシストはペナルティエリア内だし、2点目は右サイドからのクロス。極めて神出鬼没だ。運動量も多かった。この日の井上は相手の攻撃の芽を摘み、攻撃では間でパスを受けてリズムを作る渋いボランチではなく、走ってゴールに直結するプレーをする攻撃的なボランチだった。
次に、2点目の形がここ数試合見ることの出来なかった長崎本来の姿だったということ。ロングボールというオプションが始動することなく、自分達本来の形で勝利できたことは選手にとって大きな自信に繋がるだろう。前節の岡山戦後に指揮官が「勝ったが複雑」といったのはこの部分の有無に尽きるだろう。

長崎がホームで勝利したのは8月21日以来、約2カ月ぶり。9月に神戸、札幌、京都に対して今季初の3連敗を喫しており、内容的にはそれほど悪くないながらも結果がついてこない苦しい日々を過ごしてきた。そのためこの日、ホームで岐阜に完勝できたことはおそらく勝点3以上に大きかったはずだ。また、7000人以上のサポーターが集ったことも長崎にとっては大きな後押しになった。結果と内容。掴んだ光はまばゆい。

一方の岐阜は見事なまでに完封されてしまい、シュートは90分で5本に終わった(後半は1本)。2連勝後の2連敗。この日は長崎に中盤のセカンドボールを拾われ、ほとんど自由にプレーさせてもらえなかった。「23日にはまた試合がやってくる(vs横浜FC@ニッパ球)。前を向いて切り替えるしかない」と染矢一樹が言うとおり、岐阜も試合がある限り立ち止まることは許されない。割り切ってJ2残留だけを考えている、折れない心を感じさせた。

以上

2013.10.21 Reported by 植木修平
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