朝から降り続いていた雨も、キックオフを待つかのようにピタリと止んだ万博記念競技場。ともに足首を痛めて出場が懸念されていたＧ大阪の日本代表、MF遠藤保仁、MF今野泰幸も揃って先発出場を果たす中、16時3分、キックオフを迎える。

先に試合の主導権を握ったのはＧ大阪。この日、珍しくFW登録されたMF遠藤が「僕の中ではFWとは思っていないし、配置もFWではない。基本的にはフリーです」との言葉通り、展開に応じて前線でポジションを前に、左に中にと変えながら攻撃のリズムを作る。
ともに前線を形成したFW宇佐美貴史やMF倉田秋、MF大森晃太郎のシュートの意識も高く、作り出した攻撃をシュートで終わるシーンも多い。そんな中、16分には相手のDFラインをパスで切り崩し、最後はそのMF遠藤のシュートが決まったかと思われたが、ボールを送り込んだDF藤春廣輝がオフサイドをとられノーゴールに。万博にため息が漏れる。

ボールは支配し、攻勢に進めながらも、相手の守備も堅く、なかなか枠をとらえられないＧ大阪にサポーターからのゲキが飛ぶ中、29分。Ｇ大阪に待望の先制点が生まれる。MF大森のパスを受けたMF宇佐美がヒールでMF大森にボールを戻すも、シュート態勢に入ったMF大森の前に立ちはだかった富山DFがクリア。だがそのこぼれ球が左ゴール前でフリーになったMF倉田の前に。それをMF倉田が右足を振り抜き、ケガからの復帰後初となるゴールを叩き込む。

これでＧ大阪が勢いに乗るかと思われたが富山の集中も途切れない。前半から全体をコンパクトに保ってブロックを築き、Ｇ大阪の攻撃に対応。失点こそ喫したものの、そこまで大きくバランスを崩すことなく守備を展開し、個々がしっかりとプレスをかけながら好機をうかがう中で、38分。Ｇ大阪のMF遠藤からのバックパスに対し、DF陣の意思の疎通がうまくいかずにお見合いする形に。そのボールをすかさずさらったMF白崎凌兵が前線へ抜け出し、落ち着いてゴールマウスをとらえ、試合を振り出しに戻す。
だが、そのまま前半を折り返すかと思われた44分。Ｇ大阪に右サイドを攻略され、DF加地亮のクロスをDF西野貴治に頭で合わされて再び失点。2-1とＧ大阪リードで前半を折り返す。
　
後半もペースはＧ大阪。ビハインドを負った展開に、富山がやや前への意識を強め、逆に前半ほどのワンサイドゲームにならなくなったことで、Ｇ大阪としてはスペースを見つけやすくなり、そのスペースを効果的に使った攻撃が見られるようになる。そんな中、65分にはDF丹羽大輝が「前半から、後ろからいいボールをつけたらと思って何度か試みていたけど、前半は効果的に入らなかった。あそこでようやく決まりました」と振り返った縦パスが、MF内田達也を経由してFW宇佐美のもとへ。それを受けたMF宇佐美が右足で豪快にゴールネットにおさめ、Ｇ大阪が待望の追加点を奪い取る。

この状況に安間貴義監督も動き、187センチのFW西川優大や190センチのFW三根和起といった高さのあるFWを前線に据えたり、この日がJリーグデビュー戦となったMF山本祥輝ら、攻撃を加速させる選手を次々に投入し好機を見出そうとするが、2点のリードを奪ったＧ大阪も落ち着いて対応。途中出場となったMF二川孝広やFW平井将生も含めて攻守に安定した試合運びで失点を許さず、3-1で試合終了。Ｇ大阪は連敗を2でストップすると共に、ホームでは約1カ月ぶりとなる白星を挙げ、『昇格』への追い風となる勝点3を積み上げた。

以上

2013.10.21 Reported by 高村美砂