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【J2:第37節 栃木 vs 東京V】レポート:クラブ史上初となるサビアのハットトリックなどで鬼門の東京Vに大勝。栃木は超攻撃的なチームへと変貌を遂げた(13.10.21)

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男の仕事、完遂。雨にも関わらずスタジアムに足を運んでくれたファン・サポーターに、またしても松本育夫監督は「感動!」を届けたのだ。“超攻撃”を標榜するG大阪に続き、今度はパスサッカーで鳴る東京Vにまで撃ち勝った。いや、撃ち勝ってしまった、という表現のほうが適切だろうか。

監督就任後の5試合で積み上げたゴール数は、実に15にものぼる(そのうち3試合で4ゴールをマーク)。1試合平均3ゴールを奪っているのである。固い守備で相手の攻撃を凌ぎ、ワンチャンスを確実にものにする。手堅い印象の強かったサッカーは、ここ数試合で完全に覆ってしまった。栃木史上これほどまでにゴールを量産できたことはない。好調な攻撃陣をけん引するサビアはクラブ史上初、あのリカルド・ロボでさえも成しえなかったハットトリックを達成した。10月の“鬼門”東京V戦を、栃木は4‐2という望外のスコアでものにした。今の栃木のサッカーはエキサイティングで、エンターテイメント性に満ちている。つまらないはずがない。

「今日は雨がすごく降っていたのできれいなサッカーを求めるよりも、セカンドボールワークなどがゲームを決めると思っていた。そこでヴェルディよりも栃木の方が上回っていた」
松本体制に移行してから黒子として渋い働きを続ける廣瀬浩二は、この試合の勝因をそう語った。立ち上がりはボール回しに長ける東京Vが押し気味に試合を運んだ。8分、9分と立て続けにゴールを脅かす。このピンチを回避した栃木は、廣瀬の言葉通りにセカンドボールワークで優位に立つ。奪ったボールから相手の1ボランチの脇を突き、次第に圧力を強めて流れを掴んでいく。特に中盤ではパウリーニョのボール奪取が際立った。「今日はパウリーニョがFWに入る前に潰してくれたので、後ろが仕事をすることはなかった。パウリーニョ様様」と、赤井秀行はその仕事ぶりを褒め称えた。27分にCKから生まれたクリスティアーノ先制弾も、パウリーニョがボールを刈り取り仕掛けたカウンターから得たものだった。

20分以降、2トップにボールが入らず、攻撃の糸口を見出せなかった東京Vだが、栃木のミスに乗じて同点とする。左から小池純輝のグラウンダーのクロスをGK榎本達也がファンブルし、すかさず詰めていた西紀寛がネットを揺すった。クロスに対して最後まで諦めずに詰めた西の執念が実った。

突き放せずに振り出しに戻されて試合を折り返した栃木だが、「なんとか前半を耐えれば、後半はうちのペースになると予想できていた」という赤井の脳内イメージが現実となる。開始15分だけでサビアが3点を、あっさりと奪い取ったのだ。48分には3バックの泣き所を突き、複数人が連動したサイドアタックから2点目をゲット。3点目は内と外を巧みに使い分け、最後はサビアがペナルティエリア内で強さを見せ付けた。仕上げの4点目は、サビアとクリスティアーノのワンツーから飛び出した。この時点で試合の趨勢は決した。アディショナルタイムに浴びた2失点目は余計だったが、それを除けばほぼ理想的な試合展開だったと言える。

公式戦で3試合ぶりにゴールを挙げた東京Vだが、もう1つの課題であった失点は止まらずにリーグ戦で連敗。栃木戦でも4失点を喫し、1つ順位を下げて12位に後退した。プレーオフ圏内との差は9に拡がってしまった。
東京Vが本来のボールを握って試合を支配した時間帯は、前半の序盤くらいでかなり限定されていた。残りの時間帯では本来の姿が鳴りを潜めていたのだ。攻撃が最大の防御ならば、もっとボールを保持する時間を長くすることも一つの手だろう。そのためには運動量を増やし、個々が適度な距離感を保ち、三浦泰年監督が強調するグループとして機能する必要があるのではないだろうか。観衆を魅了するサッカーを取り戻す解答は、トレーニングの中で見つけるしかない。

外国人の決定力をフルに活かすために、日本人がハードワークする。一昔前のJ2を勝ち抜く常套手段が板についてきた栃木は、じわりじわりと順位を上げて10位に浮上。6位・長崎との勝点差は縮まらず7のままだが、直接対決が残されているだけにプレーオフ進出の可能性は十分にある。ターゲットの長崎とは次節の岐阜戦を挟んで対戦する。その前に少しでも差を埋め、直接対決で上回れる位置に付けられたらベストで、必然的に次の岐阜戦(10/27@長良川)が非常に重要なウェイトを占めることになる。これまでとは異なり順位が下の相手との対戦ともなれば、どうしても気が緩みがちになる。さらに、次節は得点ランキング2位タイのサビアが出場停止。勢いに乗っているとはいえ、非常に難しい試合になるだろう。ただ、今の栃木には希代のモチベーターがおり、その言葉に応えられるだけのメンタルを備えた選手がいる。岐阜戦でも心に響くような、男の仕事をやり遂げたい。今の栃木ならば、やり遂げられるはずだ。

以上

2013.10.21 Reported by 大塚秀毅
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