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【J1:第29節 C大阪 vs 湘南】レポート:8番、20番がゴール初揃い踏み! C大阪が湘南に逆転勝利し、3連勝!(13.10.20)

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今節もキンチョウスタジアムにほぼ満場となる1万5766人の観衆を集めたホームゲームにて、5位のC大阪は、16位湘南と対戦し、杉本健勇、柿谷曜一朗のゴールにより、2-1で逆転勝利をおさめた。10戦負けなし、そして、これで2010年シーズン以来となる勝点50を達成したC大阪は、鹿島を得失点差で上回り、4位に浮上。3位広島との勝点差を1試合分に縮めた。一方、リーグ戦4試合ぶりの敗戦となった湘南は、15位甲府との差を詰め切れず。残り5試合となったなか、J1残留に向けて、厳しい状況に追い込まれた。

試合前から雨が降ったり止んだりの、ぐずついた天候。日本代表欧州遠征から17日早朝に柿谷、山口螢の主軸2選手が帰国したばかりのタイトなスケジュール。リーグ戦で最後に黒星を喫した新潟や甲府のように、堅守速攻とカウンターに優れ、ハードワークを持ち味とする湘南は、C大阪が苦手とするタイプ。さらには、湘南がリーグ戦で2試合目の先発となる長身FWステボをはじめ、スピードのある高山薫、C大阪在籍経験のある大竹洋平といった、速攻に適した逸材を揃えてきたこと。このような状況を並べてみるだけでも、桜色のイレブンが苦戦する要素は揃っていた。

開始15分は、それでも、C大阪が攻勢を仕掛けていた。7分に丸橋祐介の直接FKでゴールを脅かすと、中央からのワンツー、後方から相手DFに送られるロングフィード、サイド攻撃など、多彩な攻めで、いつ得点できてもおかしくないような形を作っていた。しかし、南野拓実、扇原貴宏、酒本憲幸と、シュートを放つが、丸橋同様、いずれもアレックス・サンターナをはじめとする湘南守備陣の壁に阻まれ、好機を活かせない。

すると、まるでエアポケットにハマったかのように、湘南に先手を許した。28分、湘南右サイドのスローインからの展開で、永木亮太のクロスフィードを受けた高山に、逆サイドからクロスを上げられると、最後はステボにニアでヘッドを合わされた。「ステボ選手は韓国(Kリーグ)でも結構有名な人だった。身体を張るプレーも持っている」と、試合前にはC大阪GKキム ジンヒョンも警戒していたが、その大型ストライカーに、まんまとゴールネットを揺らされた。

4試合ぶりの失点、それも先手を取られ、ますます湘南のハイプレス、ハードワークが勢いを増すなか、C大阪はリズムを崩すかに思われた。しかし、「1失点というのは仕方のないこと。僕らは、そこは割り切ってやっている。これまで(練習で)やってきたことをそのままやれば、絶対に大丈夫だという気持ちでいた」という柿谷をはじめ、ホームチームに焦りはなかった。

そして、ハーフタイムが近づく41分、C大阪は試合を振り出しに戻す。相手のハイプレスをかいくぐりながら、「タカ(扇原)が走っているのが見えていた」という左サイドの丸橋が、ダイレクトで縦パス。これを扇原が湘南ディフェンスラインをよく見て、オフサイドラインぎりぎりのところで中央にパスを出すと、走り込んできた杉本が三方から迫ってくる相手をあざ笑うかのように、右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。「イメージどおり」という20歳の一撃で、スタジアムは熱狂。ムードも完全にC大阪のものとなった。

その勢いは、後半になっても変わらず。56分、C大阪は逆転に成功する。丸橋の左CKから、中央で杉本が競り勝つと、落とされたボールにすぐさま反応したのが、8番を背負うエースだった。フリーで待ち構えていた柿谷は、そのままヘッドで合わせると、「どんぴしゃで当たって、少し上に行ったかなと思ったけど、入ってよかった」。一際輝くゴール後のスマイル、周りの選手たちの喜び合う姿とともに、これでもう、桜色のサポーターのボルテージは最高潮となった。

その後も追加点を奪うべく、攻勢を続けたC大阪。南野、山口、枝村匠馬、シンプリシオ、柿谷と、数々のチャンスがありながら、なかなか試合を決めきるところまでは叶わなかった。それでも、途中からはシンプリシオを前に上げ、山口、扇原のボランチコンビや、杉本をサイドに張らせて守備を固めると、湘南に反撃を許さず。最少リードを守り切り、悲願の初タイトル獲得に向けて、残り5試合へ、望みをつなげた。

「湘南にとっては、おそらく今季のベストゲームといえるゲームではなかったかと思う。そういった相手に対して、セレッソの選手たちは集中力を欠かすことなく、隙を見せず、最後はしっかりと勝ち切って、そして、順位を1つ上の4位に上げたということ、これは選手たちの今日のスピリットの賜物だ」と、イレブンを讃えたのは、レヴィークルピ監督。殊勲の杉本は、「これで満足することなく、次の試合でも結果を出せるよう、個人としても、チームとしても、しっかりやっていきたい」と、前を見据えていた。

湘南としては、「我々のよさを出していこう」(曹貴裁監督)と臨んだなか、ステボの先発起用が当たり、「うまくいい形で先制点を取れた」(大竹)だけに、悔しい逆転負けとなった。特に、決勝点のシーンでは、ハーフタイムでも指揮官から「セットプレーに気をつけよう」と気を引き締めていたにもかかわらず、中途半端に自陣ゴールラインにボールを出してしまったところも合わせて、もったいない失点となってしまった。また、終了間際のFKのチャンスでは、GKアレックス・サンターナをゴール前に上げたものの、大竹からのショートコーナーは功を奏さず。「キックの精度が悪かったので、結果的には、やっぱり普通に上げた方がよかったのかなと、後悔が残っている」と、後半戦から司令塔を務める40番は自らを責めた。

ただ、「本当に最後の最後の部分で、どちらに勝負が転がるか分からないというところで、我々のスタイルを貫きながらやってくれた」(曹貴裁監督)というような戦いができたのは事実。この試合を糧に、「まだまだファイティングポーズをとって、残り5試合、次には出られない選手もいるが、勝点15を取るべく、勝点3を積み上げて、前向きにやっていきたい」という指揮官を筆頭に、逆転残留に向けて、湘南の暴れん坊たちは気持ちを切り替えていた。

以上

2013.10.20 Reported by 前田敏勝
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