松本にとっては2回戦に続いて延長戦へと突入したこの一戦は、120分の激闘の末に鳥栖がJ1の意地を見せ、4回戦へと駒を進めた。
リーグ戦の前節から先発メンバーの変更がない松本は通常どおりの3-4-2-1、一方の鳥栖は5選手の入れ替えを断行し、菊地直哉をセンターバックではなくアンカーに配置した4-3-3にも4-1-4-1にも見えるフォーメーションを敷いた。前半はこの菊地が持ち味の危機察知能力を遺憾なく発揮。松本の攻撃の芽を早めに摘み、ペナルティエリアまでボールを持ち込ませない。
守備が安定すれば攻撃にもリズムが生まれる好循環となる。30分、左サイドの磯崎敬太からのクロスに頭で合わせたのは高橋義希。2006年以来のアルウィンでのプレーとなったが、地元の松商学園高出身ということもあり「お世話になった監督や後輩なども観に来てくれたので、得点出来たことは素直に嬉しい」と振り返る先制弾。このゴールで俄然勇気を得た鳥栖は前への推進力を強めるが、ここは松本守備陣が粘り強い守備で対抗。鋭いシュートも好反応でストップする村山智彦の活躍もあり、最少失点のまま前半を折り返した。
後半は、出足の鈍くなった鳥栖を1点ビハインドの松本が凌駕する。動きの良い松本の攻撃を止めるべく、鳥栖は激しいフィジカルコンタクトでの封殺を試みる。ややラフなプレーも見え始め、スタンドから熱を帯びた声が飛び交い始めるなか、67分に岩上祐三の鋭いクロスに反応したのは、目下絶好調の塩沢勝吾。得点シーンについては「夢中でプレーしていたので思い出せない」と語ったが、ゴール直後に“もっと盛り上がれ”とスタンドを煽るパフォーマンスを見せ、場内の雰囲気は最高潮。松本優位の空気が漂った。
しかし、その空気を味方につけることが出来ない。チャンスこそ確かに作ったが、これを決めきれなかった。「ひとりひとりの精度については欠けている部分がある」と岩上が反省点を口にするように、最後は溜息で終わるプレーが多かった。結局1-1のまま試合は動くことなく、試合は延長戦へと突入した。
トーナメント戦に引き分けはない。ならばゴールを決めることで勝ちを引き寄せるしかない。鳥栖は豊田陽平、松本はホドリゴ カベッサという攻撃的なカードを切って勝負を賭けていたが、結果的に真価を見せたのは豊田。114分、アルウィンに詰めかけた多くの松本サポーターがその意味を理解するのに時間を要したPKの場面でも、かかる重圧を物ともせずに蹴り込み、その3分後には水沼宏太のシュートの跳ね返りを冷静に決めた。40分ほどの出場時間ながら2得点を挙げたエースに、尹晶煥監督も「ストライカーらしい仕事をしてくれた」と賛辞を送れば、反町康治監督は「もう少し工夫して最後のところをいければと思いましたが、これが我々の現在地でしょう」とあと一歩が足りなかった点を認める。
お互いにリーグ戦は佳境を迎える。この熱い120分間を次なる戦いでどう昇華させるか……。チームとしての真価が試されるのは、すぐ先だ。
以上
2013.10.14 Reported by 多岐太宿
J’s GOALニュース
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