昨季J２の６位から這い上がり、J１に昇格した大分の挑戦が終わった。ホームで勝利を挙げることなく、J２降格を告げるホイッスルが寂しく鳴り響く。森島康仁はうつむき、丹野研太は座り込み、高松大樹は立ち尽くした。「２度目のJ２降格」という現実を前に、大分の選手たちは打ちひしがれるしかなかった。

この試合、崖っぷちに立たされた選手たちは、「自分たちのサッカーを貫く」と士気を高めていた。果敢にボールを追い、しっかり全員で守り、サイドを使って全員で攻撃した。それでも残留につなぐゴールを挙げることはできなかった。
Ｃ大阪のダイレクトプレーを織り交ぜた攻撃に的を絞れず、個と個の勝負を強いられると劣勢になる。柿谷曜一朗らに圧倒的な実力差を突きつけられても、組織力でカバーし食らい付いたが、奮闘むなしく力尽きた。

０−２で敗戦し、６試合を残しJ１の残留争いから最も速く脱落した。
「一瞬の隙を作ればやられてしまう。90分通してチームとして戦えなかった。真摯に受け止めるしかない」
高松はそう語り、歯を食いしばっていた。
個の能力で劣った――。ひと言でいえばそうなるのかもしれない。「それは選手だけでなく、選手の力が足りなかったのか、我々指導者の力が足りなかったのか、会社の体力が足りなかったのか。誰のせいでもなくで、そこを考えなければいけない」と試合後の会見で田坂和昭監督が語ったように、クラブとして考えなければいけない問題である。
そして、ここまで１勝しかできていない屈辱的な結果になったとはいえ、この経験を来季へとつなげるかどうかは、選手の努力と意識次第だ。残りの試合で来季につながる戦いを示し、まずはホームで１勝を飾ってほしい。

大分にJ２の引導を渡したＣ大阪は、首位広島との勝点差を６に縮め優勝戦線に残った。序盤こそ大分の堅守に戸惑ったが、テンポの良いパスワークでペースを握ると、33分には酒本憲幸の浮き球を、柿谷はアクロバティックなボレーで折り返し、南野拓実が頭で押し込み先制。「２点を取るまで時間がかかった」とレヴィー・クルピ監督が話したように、後半アディショナルタイムの２分までネットを揺らすことはできなかったのは今後の課題ではあるが、相手に隙を与えず無失点で終えた守備陣の奮闘は見逃せない。日本代表の欧州遠征のメンバーに選ばれた柿谷や山口螢など若き前線のタレントが注目されるが、山下達也、藤本康太を中心としたリーグ最少失点を誇る守備の安定が光る。
攻守がかみ合い、ケガ人も復調。優勝への流れは追い風である。

以上

2013.10.06 Reported by 柚野真也