１０月最初の試合となるこの第３６節。札幌市厚別公園競技場では現在勝点５１で８位につける札幌が、同３１で２０位の群馬をホームで迎え撃つ。リーグ戦もいよいよあと２ヶ月間となり、北海道内は肌寒さも増してきたが、それと反比例して双方とも熱い戦いを見せてくれそうである。

ホームの札幌は前節、敵地で熊本に１−２のスコアで敗戦。セットプレーから相手に先制点を献上しながらも、前半中頃に上原慎也の思い切りのよいシュートで同点としたが、ゲーム終盤に一瞬の隙から相手に決勝点を叩き込まれてしまった。プレーオフ進出圏内の６位以内に滑り込むためにも、アウェイゲームとはいえ自分たちよりも下の順位のチームからはしっかりと勝点を奪いたかったが、叶わず。決して悪い内容のゲームはなかったことを踏まえても、手痛い一敗と言えるだろう。

「基本的には勝点３を取りにいくぶんリスクもあって、そういうところで点が取れずにカウンターで失点している」と財前恵一監督は敗因を分析する。この熊本戦では５バック気味の布陣でしっかりとブロックを固めてきた相手を攻め込みながらも、そこを崩し切れずに流れを奪われてしまったということなのだろう。遡れば、前々節の栃木戦（●３−４）では４失点をしているが、これについても「点を取るために前に出たからというのもある」と振り返っており、現状の札幌は積極的に攻撃を仕掛けるスタンスを取っており、そこで攻めきり、勝ち切れるのか。そこが勝負のポイントとなるとともに、６位入りのポイントでもあるということなのだろう。

「もう少しアクションを起こすことをやっていかないと相手が変化しないので、その辺は続けていかなきゃいけない」「最後の集中力だったり、シュートやパス、そこを上げていけばチャンスもあったし、決めていればという場面もあったので、そこをなんとか得点できるようにやっていきたい」。堅い守備ブロックを組む相手との戦いを終え、指揮官はこうも話していた。リーグ戦も終盤に差し掛かり、ひとつの勝点を巡って非常にシビアな戦いが待っている。順位が下のチームは生き残りをかけて、懸命に固い守備を敷いてくるケースが多い。そうしたなかでも札幌は積極的に攻め、あくまでも自分達の力でそれを崩しきることで６位以内へと飛び込んでいく構えだ。

一方、北海道へ乗り込む群馬の前節は、敵地（国立競技場）で東京Ｖと対戦しこちらも１−２で敗れている。動きの悪かった前半中頃に失点しながらも、後半は調子を上げて開始直後に同点弾。そのまま勢いよく戦いきりたいところだったが、最後までは維持できず、逆に終盤に相手のファインゴールが突き刺さり力尽きてしまった。

この試合を振り返って秋葉忠宏監督は「前半特に臆病になりすぎて、バックパスが多く、勇気がなかった」「後半は前から行こうという勇気と強い気持ちを持っていこうという話をしたら、すぐに点がとれた」と言葉を重ねる。後半のような強いメンタリティを立ち上がりから持ち、それを最後まで維持することができれば、十分にいいゲームができるという手応えは得られたのだろう。

その一方で、この敗戦により４連敗に。その前までは６戦無敗といういい流れで日程を進めていたこともあり、そしてこの終盤に来ての連敗は「もちろん良くない。一番、望んでいない結果」とも指揮官は胸中を明かす。だが、すぐにこうも発している。「この状況を誰も助けてくれないので、しっかり自分達でこの負のスパイラルから脱する」と。試合中の戦いにしても、それに向けての準備にしても、とにかくまずは強い気持ちで取り組んでいくことが大事なのだろう。スパイラルから抜け出せるか否か。群馬のたくましさが問われる一戦になるだろう。

さて、そんな両者が迎えるこの一戦だが、６位入りを目論むホームチームと、最下位との勝点差が３というアウェイチームの立ち位置を考えると、まずは最低限勝点１を取りたい群馬がしっかりと守備を行い、勝点３を積みたい札幌が前節までと同様にアグレッシブに攻めていく構図が予想される。群馬は強い気持ちで守備を行い、札幌はアクションを起こして攻めきりたい。双方の強い意志が試される場面だと言えるだろう。順位は若干、開いているものの、前回対戦では群馬が０−２で完勝しているカード。結末の読めない、タフなゲームが楽しめそうだ。

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2013.10.05 Reported by 斉藤宏則