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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第36節 栃木 vs G大阪】プレビュー:小が大を喰う!前回のリベンジに燃える栃木が2位・G大阪から金星を奪い、サッカーの醍醐味を提供する。(13.10.06)

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メンタルが勝敗を左右する。よく耳にする言葉だが、“過去最大にして最強の脅威”G大阪を迎え撃つ今節ほど、その言葉が相応しい一戦はないだろう。「喰ってやる!と思ってやらないと、プロとしてやっている意味がない。プライドを持って戦いたい」と西岡大輝は魂を奮い立たせ、廣瀬浩二は「栃木はややこしい相手やったなと思わせる」と気合いは満タンだ。6月の対戦では腰が引けて自滅し、前半45分だけで3失点。栃木自慢の堅守が崩壊した。1万人以上の観衆で膨れ上がる“グリスタ”で同じ轍を踏むわけにはいかない。歴史もタイトル数もG大阪には劣るが、それが勝敗を決める要因にはならないはずだ。前回のようなモヤモヤした感情を試合後に抱かないためにも、勇気と自信を携えて思い切りぶつかりたい。

一言で勇気といっても、その言葉の意味合いは様々だ。前節の松本戦で4カ月ぶりに戦線復帰した、“闘将”パウリーニョはこう解釈する。
「守備で頑張るだけではなく、前に出ていくことも大切になる。そのためには勇気が求められる。時にはリスクを顧みずに攻撃する、パスを回す時間も必要になると思う。ロングボールだけではサッカーはできないので」
これまで以上に守備に回る時間帯は長くなるだろう。ただ、選手達はボールを握られることは織り込み済みだ。「90分の中で厳しい時間帯もあると思うけど、そこでしっかりと耐えることが重要になる」とは、3年前の天皇杯でG大阪から先制弾を決めている高木和正。辛抱強く戦うには陣形をコンパクトに保ち、守備で主導権を握ることが求められる。持ち前の組織的守備が機能すれば、真ん中を執拗に突いて来られても、互いの距離感が近いので挟み込める。両サイドバックを使われたとしても、クロスに対して的確な対応ができるはずだ。それらを「忠実にやることをテーマ」(松本育夫監督)に、今週はトレーニングを積んだ。「マークの受け渡しなど細かい部分は確認した。あとは試合で成果を発揮したい」(高木)。

相手の攻撃を封じるだけでは勝点3は得られない。パウリーニョが言うように、いい守備を攻撃に繋げて点を取る必要がある。理想としては2-1で金星を挙げた、一昨年のF東京戦の1点目のような形に持ち込みたい。記憶に刻まれる勝利を手繰る先制弾は、パウリーニョの中盤でのパスカットを起点に、サビアが奪い取ったものだった。背番号7はそのことを忘れておらず、自信たっぷりにこう言い切った。
「G大阪もF東京のように、しっかりとパスを回して崩してくる。そういうチームに対してはボールを奪うチャンスがあるし、自分の特長が出ると思う」
“闘将”の言葉は頼もしく、聞いているだけで勇気が湧いてくる。G大阪は攻撃に意識が向いている分だけ、守備意識が希薄になりがちだ。特に攻撃的サイドバック藤春廣輝のサイドはストロングポイントである一方、攻守が入れ替わった際にはスペースが空くウイークポイントでもある。ボール奪取力に長けるパウリーニョを軸に鋭利なカウンターが繰り出せれば、必ずゴールネットは揺らせる。

監督交代後の栃木が2勝1分と無敗なのに対して、G大阪は直近の3試合で1勝1敗1分と苦戦を強いられている。前節はゴール前を固められた愛媛に0-1で逃げ切られ、前々節の松本戦ではロングボール攻撃に嵌められた。リーグ終盤に改めてJ2を勝ち抜く難しさを痛感しているに違いない。今節も堅守を誇る栃木ゴールをこじ開けなければならず、一筋縄ではいかないだろう。

前節の反省点を長谷川健太監督は、「ボックス内に入って行く人数、迫力が今日はなかった」と話した。内を突くことで外が空き、外を意識させることで内が手薄になる。遠藤保仁を中心に持ち前のパスサッカーを駆使し、臨機応変に内と外を使い分けることができるか。そこがこの試合の要諦になるだろう。また、2試合続けて先制点を奪われている、セットプレーの対応も詰めておきたいところだ。その2点をしっかりと押さえることで、4カ月ぶりに神戸に明け渡した首位を奪還したい。

3年前の天皇杯では2-0を引っ繰り返されて3-2で逆転負けを喫し、今季は自滅する形で0-3と完敗。これ以上借りが膨らまないうちに、流行りの言葉を使えば「倍返し」をしておきたい栃木。小が大を喰う。所謂、ジャイアントキリングは感動と興奮と歓喜に満ち満ちた、サッカーの醍醐味の一つである。松本監督もそのあたりは重々承知しており、「サッカーを初めてみる方に面白さと感動を与えたい」と意気込む。試合当日はG大阪の現役日本代表戦士を目当てにスタジアムに足を運ぶ人もいるはずだ。その人達を虜にするには、「栃木、やるじゃん!」と思わせるには、勝つしかない。栃木がクラブとして発展していくには、ビッククラブを打破することも必要不可欠な要素。この一戦で栃木はリベンジを果たし、新たな一歩を踏み出す。

以上

2013.10.05 Reported by 大塚秀毅
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