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【第93回天皇杯 2回戦 熊本 vs 徳島】レポート:延長戦でも決着がつかなかった2回戦。GK畑の活躍で徳島を下した熊本が、3回戦進出を決める。(13.09.09)

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11試合無敗と好調の徳島と、7試合勝利から遠ざかっている熊本。リーグ戦では全く対照的なチーム状況にあるJ2クラブ同士の対決は、延長戦まで含めた120分では勝敗が決せず、最後はPK戦にもつれこんだ。結果、2人が外した徳島に対し、全員が落ち着いて決めた熊本が、ホームで5月3日12節の水戸戦以来、実に4ヶ月ぶりの勝利。3回戦に進む切符を手にした。

先手を取ったのは徳島だ。直近の対戦となった半月前の30節(8月21日@うまスタ)ではシュート数でも17対4と圧倒される内容だったが、この試合では「前回やった時よりボールは回った」(宮崎光平)ことで、立ち上がりから優位に進めている。もっとも、「久しぶりに前を向いてサッカーができるゲーム展開になった時に、遅攻に必要な要素、どうやって相手ゴールをこじ開けるかというのが浮き彫りになった」と長島裕明ヘッドコーチが試合後に述べ、また熊本の池谷友良監督も徳島の攻撃について「ワンツーだとかフリックといったコンビネーションがあまりなかった」と振り返った通り、熊本の守備を崩しきる場面は決して多くなかった。それでも、ドウグラスとキム ジョンミンという高さと強さを備えた2トップを軸に、シンプルに両サイドからのクロスで形を作ると、31分、左のアレックスからのクロスにドウグラスが飛び込み、先制に成功した。

一方の熊本は、久々に先発した五領淳樹が「ディフェンスとボランチの間でボールを受けて、前を向いてしかけて自分のリズムができた」と話したように、この数試合でなかなか見られなかったテンポの良いパス交換から3人めまで絡む形で6分、7分とチャンスを迎える。ただ、徐々に縦への勝負パスが入らなくなり、最後の1/3に入る手前でノッキングしてスピードダウンするなど攻撃を完結できない状態。前半のシュートはわずか2本である。

だが後半からは見違えた。「もっと行けるだろうし、もっとやってもらわなきゃ困る。メンタルをもう1回奮い立たせないといけない」と、池谷監督は厳しい言葉で選手たちを鼓舞。ドゥグラスに代わって仲間隼斗が入ったことも奏功して―3日前に対戦した北九州の選手がそうであったように―MF黒木晃平やCB橋本拳人がインターセプトからそのままボールを前に運ぶなど、熊本は前への推進力を増した。とは言え、51分の五領のヘディング、52分の養父雄仁の右ミドル、57分の黒木のミドルもゴールを割れず。71分には筑城和人からのスルーパスを受けた仲間が左から決定的な形に持ち込むもシュートを打てずに終わり、判断も含めた精度の悪さで得点に結べない。逆に例えば55分には、カウンターで持ちこまれてあっという間に数的優位な状況を作らせるなど、ボールを奪われてからのアプローチや帰陣が緩く、前半の流れのままで追加点を許していれば早々に試合は決まっていただろう。そうした中、リスタートから熊本が遂に追いつく。77分、左サイドのスローインからつながれたボールを受けた養父が、ペナルティエリア外、ゴールまで20mほどの位置から右足でミドルシュートを突き刺したのだ。

勢いとしては追いついた熊本にあった。83分に矢野大輔が2枚めの警告を受けて退場し1人少なくなったが、これで逆に試合の運び方がハッキリし、シンプルに相手の背後を狙う形が増えていく。4-4-1にして守備を固め、相手の隙を突くカウンター狙いにシフト。延長から原田拓をボランチに入れて黒木を右サイドバックへ下げた熊本は103分に仲間、111分に養父、徳島も98分高崎、102分にドウグラス、109分アレックス、そして119分と(ちなみにこの時の野田祐樹主審の判定に異議を唱え、ピッチに足を踏み入れた小林伸二監督は退席処分となった)、お互いに攻め合い決定機を作ったのだが、熊本は公式戦デビューの畑実、徳島も松井謙弥と双方のGKがゴールを死守したことで追加点は生まれなかった。
 迎えたPK戦、先攻の徳島は2人めの青山隼が枠を外し、5人めのアレックスが止められたのに対し、熊本は橋本、原田、養父、黒木の4人全員が成功。「あれだけのサポーターがゴール裏にきてくれたのも大きい」と池谷監督が触れているとおり、延長戦が終わりに近づいた頃からゴール裏に集まった熊本サポーターの大きな声と強い思いが、徳島の選手たちにプレッシャーを与えたことも少なからず影響しただろう。

天皇杯での戦いはこれで終わった徳島だが、リーグ戦では昇格プレーオフ圏内を維持。後半に入って着実に勝点を積み上げてきたが、より盤石な試合運びでポイントを上乗せしていくためにも、追加点を取って楽に試合をすすめたいところ。「チームの良さを出したら勝てると思う」(高崎)と、残りのリーグ戦に力を注ぐ。

一方、熊本にとっては、リーグ戦で流れに乗れていない現状を打破するきっかけとなりそうな大きな1勝だ。しかもこのゲームで先発した五領や畑、養父らがしっかり役割をこなした点は、残りのリーグ戦に向けても好材料。GK畑は「自分がヒーローになるチャンスだと考えて」PK戦に臨んだと言うが、フィールドプレーヤーの誰もがこうした気持ちで自信を持って1つ1つのプレーを選択していければ、攻撃もまだまだ輝きを増していくはず。3回戦の相手はJ1でも優勝を争う位置につけるサンフレッチェ広島に決まったが、その前にあるリーグでの戦いに集中し、少しでも順位を上げて重苦しい状況から自らを解き放ちたい。ヒーローになれるチャンスは、全ての選手にある。

以上

2013.09.09 Reported by 井芹貴志
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