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【第93回天皇杯 2回戦 鳥栖 vs 佐賀大】レポート:『勝って学ぶべきことを見つけ、敗れて己を知る』サガン鳥栖対佐賀大学の一戦は、次につながる重要な結果を残した一戦。(13.09.09)

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敗れた時点で、敗退が決まってしまうトーナメント戦。
1点差でも、10点差でも勝者は賜杯への望みを残し、敗者は記憶の中にしまわれる。
同じ競技規則の中で行われる『第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会』、ピッチに立てばカテゴリーの違いもそこに至る経験も、過去に得た実績も関係ない。90分後にどちらの得点が多く、どちらの失点が少ないかの結果だけで、次のステージへの参加可否が決まるのである。
ベストアメニティスタジアムで行われた予選第2回戦は、勝者にも敗者にも得るものが大きな一戦だった。

終わってみると、10点差がついた一方的な展開だった。
この日のベンチ入りメンバーは、共に18名ずつ。
平均年齢は勝者の鳥栖の26.6歳に対して、敗者の佐賀大学は19.7歳だった。
同様に平均身長は鳥栖の178.8cmに対して、佐賀大学は171.7cm、平均体重は72.2kgに対して64.5kgだった。
数値的な観点から、経験もフィジカルも鳥栖が上回っていることがわかる。
佐賀大学が、この試合で鳥栖に勝るものがある可能性があるものは、メンタル的なものと戦術的な面を含むテクニック的なものだけと言えた。
しかし、試合後に神力亮太監督(佐賀大学)は、開口一番に「最初に失点をしてしまい、DFが怖気づいてしまった」とメンタル面を指摘した。シュート数も鳥栖の22本に対して、佐賀大学は7本と圧倒された。
言い換えると、全ての面において差がつく内容でもあった。

ここまで差がつくとは、予想した人は少ないだろうが、そうなる可能性は随所に見せていた。
開始2分のFK。佐賀大学ゴールまで約30mの地点から蹴られたボールは、ゴールを背にしたFW野田隆之介の右足大腿部(腿)に収まった。そのボールが地面に落ちる寸前に、反転した野田の左足はボールの芯をとらえていた。野田の右足大腿部に収まる前に、マークしていたDFはもっと厳しく身体を寄せることはできなかったのだろうか。振り向きざまのシュートの際に、身体を投げ出すことができなかっただろうか。もっと、さかのぼればそのFKさえも反則でしか止められない争点だったのだろうか。
24分MF金井貢史のシュートも、「相手(佐賀大学DF)が早めのスライディングをしてきたのが見えたので、切り替えして・・・」(金井貢史/鳥栖)と相手へのプレッシャーが甘かった。
得点シーン以外でも、鳥栖の選手はインターセプトができないとみると、トラップした瞬間に身体を寄せて佐賀大学選手の自由を奪っていた。ボールと佐賀大学選手の間にわずかな隙間を見つけると、身体を割り込んでプレーを遮断していた。
そして、そのカバーができるようにとボールサイドに人数をかけていた。
これらを積み重ねて試合を進めた結果が、この試合の得点差になって表れたといえるだろう。
試合後の両チームの選手の顔を見ると、あからさまに佐賀大学の選手たちの方に疲労度が見えていた。
数値に表せない“上手さ”の差がついた試合ともいえた。

とはいえ、佐賀大学にもチャンスがなかったわけではない。
鳥栖が「攻撃に厚みを加える」(尹晶煥監督/鳥栖)ために用いた55分からの3バックに対して、鳥栖両サイドを突いたのである。空いたスペースを使ってシンプルにタテへのロングボールを入れて選手を走らせることで、一矢を報いようと試みた。
MF松山周平君(神村学園高等部)は2本、FW水島有斗君(熊本県立大津高校)は3本、MF小田悠太君(立正大学湘南高校)は1本のシュートを放つことができた。
彼らは、21歳・166cm・56kg(松山君)、19歳・175cm・63kg(水島君)、21歳・174cm・70kg(小田君)と伸びシロと可能性をプレーで示してくれた。
「これからの大学リーグでの戦いの良い経験としたい」(神力亮太監督/佐賀大学)の言葉は、選手誰もが共通して持った感情だろう。

勝者の鳥栖と言えど、手放しでは喜べないところもあった。
尹晶煥監督も「集中力を乱すところもあった」と指摘した通り、単純なパスミスや決定的な場面でのシュートミスは、猛省しないといけない。
3回戦へコマを進めたが、その前にリーグ第24節湘南戦(9月14日ベストアメニティスタジアム)が迫っている。
残留争いをしている当事者同士の対戦だけに、この試合で得た課題は持ち越せない。
勝ったからこそ、次につながる課題を克服しないとならないのである。

日清・日露戦争に勝利して喜ぶ兵士に対し「勝って兜の緒を締めよ」と東郷平八郎は訓示の中で諭した。と同時に、「一発百中の砲は、百発一中の砲に勝る」とも語った。
勝利は次の試合でのアドバンテージとはならない。
シュート本数の多さで勝敗は決しない。
勝利した時ほど、課題を見つけるのが難しいのがサッカー。
サッカーは、どんなに突き詰めても全てを知ることができないスポーツなのだから。

以上

2013.09.09 Reported by サカクラゲン
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