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【第93回天皇杯 2回戦 横浜FC vs 金沢】レポート:番狂わせでない。いつものサッカーを90分間出し切った金沢が堂々の勝利を果たす。(13.09.09)

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試合後の記者会見の両監督の言葉が対照的で、なおかつこの試合を分けたポイントを明確に浮き彫りにしていた。勝利した金沢の森下仁之監督が「攻守の面で今まで自分たちがやっていることが表現できた」と満足な表情で語った一方、敗退した横浜FCの山口素弘監督は「天皇杯の初戦は非常に難しくなるということを選手に伝えていました。自分たちで試合を難しくしてしまった」と、試合へ入り込めなかったことを反省した。一般的には、JFLのクラブがJ2のクラブを破ったことで番狂わせと扱われるかもしれないが、春先から積み上げた自らのサッカーをピッチに表現し、相手の強みを出させない方が勝利するという、勝負を分ける基本的な部分で金沢が着実に上回る納得の結果だった。

前半は、立ち上がりから中盤での攻防を中心とした展開が続く。中盤での局面での奪い合いでの主導権争いとなるが、そこで勝利を収めたのは金沢。「前半から守備のブロックもしっかり対応していました」(森下監督)というように、3-4-3のフォーメーションではあるが、守備時には5バック気味にして、4人のMFとともに組織的な守備を展開し、横浜FCのサイドのパスワークを封じる。そして中盤でのプレッシャーで勝利する。前からプレスに掛ける。奪ったら縦パスを入れて、サポートをする。直近のJ2第32節から11人中10人を入れ替えコンビネーションが出せない横浜FCに対して、この基本的な形を躊躇無く繰り返す。そして、30分、その繰り返しが実を結ぶ。右サイドの裏を攻略すると、清原翔平の折り返しを菅原康太が冷静に右足で流し込み先制。前半のシュート数は金沢が5本に対して横浜FCは0本という数字が示すように、その後も、金沢が主導権を握り続けて前半を終了する。

後半、ようやく横浜FCも縦へのスピードを強め、54分に野崎陽介を投入したところで本格的に攻撃のスイッチを入れ始める。5バックの守備に対して、選手の間のスペースで野崎がボールを受けることで、左サイドから内田智也、中島崇典がオーバーラップできる時間とスペースを作り出す。51分の中島からのクロスに大久保哲哉がファーサイドで合わせたシュートは惜しくもポストを叩くが、横浜FCがようやく本領を発揮するようになる。しかし、ここでも金沢は粘りの守備で対応。横浜FCにとっての残りの決定機らしい決定機は66分の内田のシュートぐらい。「スピードのある阿渡と菅原を右左に配置して、高さのある諸江をセンターバックに入れて、最後はしっかり跳ね返そう」という森下監督の采配に選手が応え、それ以上金沢の守備陣が崩れることはなかった。そして、3分のアディショナルタイムも冷静に凌ぎきり、金沢が第3回戦に駒を進めた。

この勝利は金沢にとっては、番狂わせではない。普段のサッカーをいつも通りに表現した上での順当な勝利だった。90分間続く冷静なハードワークは、そのチーム力の高さを証明したのではないだろうか。天皇杯の勝ち上がりというだけでなく、JFLでの2位入りに向けて大きなステップとなる内容と結果だった。そして、負けた横浜FCにとっては、選手が大幅な入れ替わりがあったことを考慮しても、持ち味をほとんど出せない結果となった。サッカーの内容としては、3バック、5バックで強い守備を持つ相手に対する苦手を克服できない面が見えたが、それ以前にJ2クラブとして試合のイニシアティブを取れないところの大きな課題が残った。

試合としてはアウェイ扱いだったが、「この競技場のサポーターの皆様がホームのような良い雰囲気で僕たちをサポートしてくれたのが、勝因の一つ」と森下監督が述べたように、スタジアムは非常に良い雰囲気だった。この日の金沢の戦いぶりと勝利という結果は、この雰囲気がさらに高まり、金沢のサッカーの発展することを確信させるものだった。

以上
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