８月21日の第30節・東京Ｖ戦で快勝し、続く福岡、北九州を破った神戸はＪ２リーグ３連勝中と好調。その状況で迎える天皇杯２回戦は、「（天皇杯を）いい通過点にしなくていけない」と話す安達亮監督の言葉通り、この流れを崩さないことが必須になる。結果はもちろん、内容にもこだわりたいところだ。

それを前提に安達監督は「（リーグ残り10節に向けて）新しい戦力を発掘したい」と言う。そして「ケガ人も帰ってきているし、松村（亮）も（コンディションは）上がって来ているからね」と含みを持たせたコメントを残した。これを参考にするなら、復帰間近と思われる相馬崇人や河本裕之の先発も考えられる。前節の北九州戦でプロ初ゴールを決めた松村亮は「得点できて、やっとＪリーガーになれた気分です（笑）。（Ｊリーグも天皇杯も関係なく）どの試合でもゴールを狙っていく」とやる気をみなぎらせてもいる。

対戦相手の奈良クラブは、来シーズンから始まるＪ３参入を申請しているクラブで、今季は関西サッカーリーグDiv.1で戦っている。現在（全14試合中11節終了時点）は８チーム中５位（勝点12。３勝３分５敗）。天皇杯１回戦では関西学院大学（兵庫県代表）と延長戦にもつれる熱戦を制して２回戦に駒を進めてきた。また、８月下旬には横浜Ｆ・マリノスや川崎フロンターレなど複数のＪチームを渡り歩いて来た岡山一成の加入を発表。ほかにもＧ大阪や愛媛に所属したキャプテンの橋垣戸光一など元Ｊリーガーもいるチームだ。その橋垣戸は、天皇杯１回戦の延長後半に、ヘディングで決勝点も決めている。高校時代に国体（奈良選抜）などで一緒にプレーした神戸の北本久仁衛は「高校生の頃の印象ですけれど、橋垣戸選手はすごく気持ちが強く、最後まで粘り強くやる選手だった」と言う。結果が求められる神戸にとっては、警戒が必要な選手の１人と言えるだろう。

また、相馬崇人が「自分はACLに行くために神戸に来たというのもあるので、天皇杯はチャンスだと思っている」と話すように、このビッグトーナメントが“世界”へとつながっていることも忘れてはいけない。橋本英郎は「Ｊ２という立ち位置から考えると、勝って行ってＪ１の強いチームと対戦できるのは神戸にとっていい経験になる」とも話す。

色んな意味合いを含めて、神戸はこの奈良クラブ戦を“いい通過点”にしたいところだ。

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2013.09.07 Reported by 白井邦彦