ガンバ大阪にとっての『天皇杯』が今年も幕をあける。初戦となる２回戦の相手は愛媛県代表のFC今治。前回大会では２回戦でサンフレッチェ広島を撃破し、まさに『ジャイアントキリング』を起こしたクラブだ。結果的に、３回戦のFC町田ゼルビア戦に2-5と大敗して同大会から姿を消したが、当時の広島戦を戦ったメンバーの約半分は今季もクラブに在籍している。広島に勝利した『自信』を胸に今大会も、鼻息荒く、G大阪に立ち向かってくることだろう。

G大阪は前回大会、決勝までのぼりつめながらも柏レイソルに0-1で敗れ、準優勝に。Jリーグではクラブ史上初のJ２降格という屈辱を味わう中で『ACLへの出場権』に意欲を燃やして臨んだが、その想いは叶わなかった。だが『ACL出場』への想いは今も変わっていない。今季の最大の目標は『J1昇格』に他ならないが、過去６度のACLへの出場の中でチーム力をより膨らませてきた経験を踏まえればこそ、G大阪にとって、来季のACLへの出場権を手にできる唯一の大会『天皇杯』への意欲も強い。それをピッチで示す２回戦になることだろう。

日本代表戦のためにチームを離脱中のMF遠藤保仁やDF今野泰幸は必然的に欠場となるが、今季のG大阪はJ2リーグでも７試合、彼らを代表戦で欠いた戦いを経験している。しかも結果も４勝３分と一度も負けていない。その数字的なことだけではなく、DF西野貴治やMF内田達也、大森晃太郎、岡崎建哉ら、若い戦力の台頭もみられる中でチーム力を膨らませながら戦ってきた今季の戦いを振り返ればこそ、不安はない。長谷川健太監督の「コンディションを落としている選手は替えて、フレッシュな選手を使う。勝つためのベストな選択をする」という考えのもと、選ばれしメンバーがチームを勝利に導くべくパフォーマンスを発揮してくれるに違いない。

注目はリーグ戦ではここ数試合、先発を離れているMF二川孝広。夏の暑さもあってややコンディションを落としていたことも理由の１つだったが、最近は、気候の良さも手伝って、明らかにコンディションを回復させている。事実、直近のJ2リーグ、32節・長崎戦でも３試合ぶりに途中出場でピッチに立ち、持ち前のポテンシャルの高さを活かして唯一無二の存在感を発揮。加えて、その翌日に行われたステップアップリーグでも先発出場で60分近くピッチに立ち、的確なパスワークで攻撃を加速。長谷川監督を「フタの調子の良さを考えても、前線の組み合わせは考え直す必要がある」と言わしめた。今ゲームでも『スタメン奪還』への意欲をきっちりと示してくれるはずだ。
「天皇杯は毎年、何が起きるか分からない大会でもある。まずは集中して試合に入りたい。今季はいろんなメンバーが試合に出ながら結果を残してきただけに、多少メンバーが変わっても不安はない。相手に関係なくまずは自分たちがしっかりと自分たちのサッカーをすること。ミスを減らし、しっかりと運動量を発揮しながら攻撃を作りたい。（MF二川孝広）」

四国リーグに所属するFC今治は先にも書いた通り、昨年の天皇杯２回戦で『ジャイアントキリング』を起こしたチーム。2年連続の出場となった今年の天皇杯でも１回戦の熊本学園大学戦（熊本県代表）を9-1と大勝し、順調に駒を進めてきた。現在行われている四国リーグでも、残り２試合となった現時点で首位を独走中と、昨年の同リーグ初優勝に次ぐ『連覇』を目指した戦いを続けており、G大阪の長谷川監督も「アグレッシブで自分たちのサッカーで何かを起こしてやろうという空気感を漂わせたチーム」と評価する。加えて、今年の8月からは、99年から04年まで、G大阪のユースチーム監督に始まり、トップ監督やヘッドコーチを務めるなど、G大阪を熟知している竹本一彦氏がアドバイザーに就任したことも今回の対戦を後押しするはずだ。その中で２年連続の『ジャイアントキリング』を起こせるのか、木村孝洋監督のもと、チーム一丸となった戦いに期待したい。

以上

2013.09.07 Reported by 高村美砂