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【第93回天皇杯 2回戦 山形 vs 富山】プレビュー:今季リーグ戦では山形の2連勝。負傷者が相次ぐ両クラブ、新しい歴史へ向けた第一歩を刻むのはどちらか!?(13.09.07)

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熾烈なサバイバルレースが続くリーグ戦の途中に、1試合だけはさまれる天皇杯2回戦。それゆえ、リーグ戦でそれぞれのクラブが置かれた状況が、少なからずこの一戦に影響を与えることになる。目の前の一戦に勝つことを最大のテーマとしながら、今後のリーグ戦を見据えた思惑も軽視はできない。復調し残り10試合で勝点5差のプレーオフ進出をめざす山形と、連敗が止まり「残留」を意識しないポジションでさらにチームの成長を促したい富山が対戦する。

両チーム直近の対戦はわずか2週間前、安間貴義監督が「今シーズンで最も悪いゲームだった」と振り返るJ2第31節。富山出身の中島裕希に2度ゴールネットを揺らされたホーム富山が1-3と敗れている。3失点のうち2点はセットプレーからのものだったが、「後ろの3枚が守りを意識し過ぎてどんどん下がってしまった」(安間監督)富山に対し、山形は高い位置からの連動したプレッシングで相手のシュートをわずか2本に抑えて圧倒した。間に1試合置き、会場を山形のホームに移しての今シーズン3度目の対戦となる。

山形は79回大会と90回大会のベスト8が天皇杯の最高成績。99年のJ2参入以降、第82回大会(02年度)1回戦で群馬FCホリコシに敗れた以外はすべて初戦を突破しているが、過去の初戦はすべてアマチュアチームが相手。初戦で同じJのカテゴリーのチームと対戦するのはこれが初めてとなる。ただし、「毎年、天皇杯の初戦は難しい試合になるイメージがあるし、アマチュアとやるときのほうが難しい試合になることが多い。逆にJリーグ同士でやれるというのはいいと思う」(山田拓巳)とプラスの発想は可能だ。2週間前に対戦したばかりという試合間隔にやりづらさを感じながらも、今シーズンのリーグ戦での2度の対戦でも圧倒した内容で勝利している相手だけに、自信を持って臨める部分はあるだろう。

「いまは自分たちがやろうとしているサッカーができているので、そういうのを試合のなかでもっともっと高めて相手を圧倒したらいい」。今シーズン2度の富山戦で1ゴール2アシストと気持ちよくプレーしている中村太亮は、大会が変わっても高みをめざす姿勢に変わりがないことを強調する。最近10試合のうち8試合で先制。逆転されたり追いつかれる時期もあったが、勝点3につなげている最近の試合運びには手ごたえがある。そうした流れで迎えるこの一戦に、奥野僚右監督も「どんな形であれ、勝ち上がることを最大の目的にしてやっていく。みんなの努力によってしっかりと上を向いてきたところにもっと勢いをつけられるような天皇杯2回戦にしたい」と意気込んだ。最近では秋葉勝、中島裕希が負傷で欠場していたほか、前回の富山戦以降にも右サイドバックの小林亮、中盤の比嘉厚平と相次いで負傷した。相手が同じJ2でもあり大幅なターンオーバーの可能性は薄いが、2-1で勝利した直近の水戸戦で2ゴールを記録した伊東俊が次の徳島戦で出場停止になることも含め、メンバー編成や起用に変化が見られるか注目される。

富山はチーム発足直後の08年(第88回)から天皇杯に参戦しているが、Jリーグに昇格した09年以降の天皇杯初戦はいずれもJリーグ同士による対戦で、過去の戦績は2勝2敗。その2勝はいずれもPKによる勝ち上がり。遡ると85回のアローズ北陸、翌86回のYKK APがともにJの一角を崩して4回戦まで進んでいるが、両チームが統合され、カターレ富山となってからは2度の3回戦進出が過去最高の成績となっている。

その富山にも主力の負傷者が相次いでいる。7月以降に御厨貴文、吉井直人、平出涼と最終ラインの負傷離脱が続き、前回の山形戦以降には朝日大輔が、また直近の試合である愛媛戦のウォーミングアップ中には舩津徹也が負傷離脱した。愛媛戦ではそうした台所事情に加え、雨によるピッチコンディション不良もあり、3-4-3にシステムを変えて臨んでいる。ボランチを1枚増やした布陣は90分間無失点を実現し、連敗を3で止めた。「思った以上に水がたまっていて、それに対してコンディションに向き合わないといけないゲームになった。選手はあまり好きなサッカーじゃないと思うが、根気強くやってくれて勝点1につながったと思う」と安間監督は、山形戦からリバウンドを果たした戦いぶりを評価した。

ただ、攻撃では逆に黒部光昭にロングボールを当てたあとのサポートや、右スペースで苔口卓也が起点をつくった際の押し上げが十分とは言えず、攻撃に厚みを持たせることができず無得点に終わっている。この試合では、特別指定選手として登録された内田錬平がJリーグデビューを果たし、3バックの一角を務めたが、天皇杯は出場不可。さまざまな事情が重なり、この試合に向けては今シーズン初となる4バックへ変更する情報も伝えられているが、大会が変わるこの試合は、タイミングとして思いきったチャレンジがしやすいというメリットも見逃せない。

当日はぐずついた天候ながら、キックオフの14時でも気温はさほど高くなさそうだ。今回も富山陣内でのプレーが多くなることが予想されるが、そのなかで富山がどこまでラインを押し上げることができ、裏のボールも使いながら、本来めざしているパスによるつくり、崩しをどこまで発揮できるか。山形はアタッキングサードでの精度をどれだけ高められるか。この大会でクラブの新しい歴史をつくる可能性はどちらのチームにもある。この1勝が、そこへつながる第一歩となる。

以上

2013.09.06 Reported by 佐藤円
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