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【J2日記】岐阜:11番目の助っ人の矜持(13.09.04)

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東京V戦でJ初ゴールを決めたスティッペ選手

サッカー選手にはさまざまなプレーヤーがいて、それぞれのプレースタイルがある。そして人間だ。さまざまな人がいて、人それぞれの良さがある。彼は、自分の性格をこう分析する。「負けることが大嫌いなんだ。負けるとストレスが溜まるし、すぐに顔に出るのが分かっちゃうからね。プレステ(のゲーム)で負けることも大嫌いだ」と。

32節の東京V戦。0-2と劣勢の中で登場し、意地のJ初ゴールを奪ったのが新戦力のスティッペだった。相手のバックパスに付け込むと、そのままゴールキーパーをかわして、冷静に流し込む。そして、チームメイトに向かって必死に吠えていた。

「惜しかったけど、ひっくり返すことが出来なかったことが本当に悔しい。(自身)初ゴールだったけど、負けてしまったので意味をなさないと思う」

試合後、スティッペの口から「悔しい」という言葉を、何度聞いたことだろう。「負けた試合なので…」、「惜しかったけど、ひっくり返すことが出来なかったことが…」、「(自身)初ゴールだったけど、負けてしまったので意味をなさない。チームの勝利が一番大事。それができなくて…」。試合に敗れた以上、すべての語尾には「悔しい」と付き、彼の表情が緩むことは一度もなかった。

8月初旬に新加入。実に11名もの選手が途中加入しているチームにあって、“11番目の助っ人”である(既にチームを去ったファビオとレモスも含む)。電撃的な監督交代など、J3降格の危機感にまみれる時期に合流しただけに、彼が見せるプレーと日々の振る舞いはチームを勝たせたいという責任感と負けん気に満ちている。貴重な勝点を手にした31節・千葉戦後のコメントも、「何が起きても、残留したかったら勝たなきゃいけない」というものだった。

千葉戦では同点ゴールの導線を作り、東京V戦ではJ初ゴール。途中出場で「流れを変える」という辛島啓珠監督の期待には、十分過ぎるほど応えている。そして、それができる限られた選手だからこそ、そうした起用が続いている。だがやはり、彼の立ち位置はあくまで“攻撃の切り札”。当然、それだけでは満たされない。

「自分が出た試合ではまだ勝てていない。正直、半分(途中出場)じゃなくて全部出られるようにもっと頑張らなきゃいけない。常にゴールを決めて、チームの勝利に貢献するためにこのチームに入ったわけで、ベンチでそれはできないんだ」

フットボーラーはサッカーが好きで、練習が好きで、そして“負けず嫌い”の塊でできたような生き物である。でなければ、プロとして戦うことなど到底考えられない。だが、来日初ゴールに目もくれず、これだけ負けん気の強さを表現する助っ人プレーヤーもまた希有である。もしかしたら――彼のパーソナリティこそが、J2残留のカギを握っているのかもしれないと思うことがしばしばある。

以上

2013.09.04 Reported by 村本 裕太
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