本文へ移動

今日の試合速報

ルヴァン 準々決勝 第1戦
ルヴァン 準々決勝 第1戦

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2日記】福岡:悔しさは成長の糧。輝ける日は必ずやってくる。(13.09.04)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

神戸戦、神山竜一の退場処分を受けて、試合途中からピッチに立った笠川永太選手。

千葉戦後、悔しさをにじませる笠川の肩を抱くマリヤン・プシュニク監督。

8月25日の第31節神戸戦。68分に、その時はやってきた。神山竜一の退場処分を受けてピッチに向かう笠川永太。その姿を記者席から見つめながら「逞しくなったなあ」と心の中でつぶやいた。

笠川が公式戦デビューを果たしたのは第91回天皇杯2回戦(2011.10.8)。福山市竹ヶ端運動公園陸上競技場で行われた高知大学との試合だった。結果は3−0で福岡が完封勝利を挙げたのだが、試合後の笠川は「ミスはなかったけれど、出来てないことが多く課題ばかり。それにもう少し落ち着きたい。まだまだというのが正直な気持ち」とコメント。その姿は、正直に言えば、まだまだ頼りないものだった。あれから2年。アビスパU−18からトップチームに昇格してから5年。歳月を経て、笠川はプロらしさを身にまとってJの舞台に立った。

プレーでも見せた。ファーストプレーは神戸のPK。これを右に飛んで見事にセーブすると、その後も随所に好セーブを見せて22分間を無失点に抑えた。今シーズンの開幕を迎えて「試合で通用する自信はある。我慢をしながら日々のトレーニングをしっかりと積んで、チャンスが回ってくるのを待つというのが今の心境」と話していたが、それを見事にJリーグデビュー戦で表現してみせた。「これでJリーグデビューしたとは思っていない。スタートから出て、チームの勝利に貢献して、初めてデビューしたという実感が生まれるのだと思う」とは試合を終えての笠川の言葉だが、笠川がレギュラーポジション争いに名を連ねた試合だった。

だが、迎えた第32節千葉戦。「出場機会が回って来た時が自分にとって最大のチャンスとずっと思っていた。とにかく結果を残すだけ」と自らに言い聞かせて準備を重ねた笠川は、プロ入り後初めてスターティングメンバーに名を連ねたが、そこに待っていたのは辛い結果だった。激しい打ち合いとなった試合は3−4で敗戦。両チーム合わせて生まれた7つのゴールは、いずれもファインゴール。決して笠川のプレーで試合を失ったわけではなく、むしろ、笠川にはチャンスがないものが多かった。それでも、試合後に悔し涙を流した笠川。その肩を抱くマリヤン・プシュニク監督の姿が心に焼きつく。

「試合に出て、目の前に広がる景色を眺めたい。それはきっと、いままでに自分が見たことのない凄い景色だと思う。だからJの舞台には絶対に立ちたい」。雁の巣球技場での練習に明け暮れる中、笠川は、そんな言葉を口にしていた。その場所にサッカーの神様が用意していたのは試練。そこで笠川は何を見て、何を感じたのだろうか。おそらく、この日見た光景と感じた想いを笠川は忘れることはないだろう。だが、勝利の喜びも、敗戦の悔しさも、それらのすべてが財産。悔しさを乗り越えて、それを糧に代えることができた時、さらなる成長が待っている。そして必ず「あの試合があったから今がある」と振り返る日がやってくる。

この日、スタジアムにはアビスパ福岡U−18時代に掲げられていた横断幕が張り出されていた。スタメンに笠川の名前がアナウンスされた時、誰よりも大きな歓声が上がった。そして涙を見せる笠川の背中に「泣くな!」と声がかかった。誰もがこの日を待っていた。誰もが雁の巣球技場でトレーニングを続ける笠川を見ていた。それは、いままでも、そしてこれからも変わらない。そして誰もが、レベルファイブスタジアムで輝く笠川の姿を信じている。その日は必ずやってくる。

以上

2013.09.04 Reported by 中倉一志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/08(日) 00:00 ハイライト:清水vs長崎【明治安田J2 第30節】