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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第32節 福岡 vs 千葉】レポート:激闘3−4。あの日と同じ雨中の決戦は千葉が制す。(13.09.02)

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福岡の全てを出しつくした試合だった。致命的なミスもあった。決めるべきところで決めていればという想いもある。しかし、持てる力を100%発揮した試合であったことは間違いない。必ず勝つという強い気持ち。前へ出続ける姿勢。それを後押しするサポーターの熱い声援。そのどれもが今シーズン最高のものだった。その力が産んだ先制ゴール。勝利を求めて走り続ける坂田大輔の気持ちが乗った2点目。最後まで諦めない気持ちを表現した3点目。いずれも素晴らしいゴールだった。そして、アディショナルタイムの4分間、一度も緩むことなく攻め続けた。ピッチに立つ11人。ベンチに控える7人。ベンチの外から共に戦う仲間。そして、スタジアムに駆けつけた4,552人の観衆。この日のレベルファイブスタジアムは間違いなく最高の空間だった。

試合を意図した形で進めていたのは福岡だった。高い位置からの激しいプレス。ボールを奪ってからの素早い攻守の切り替え。スピーディなパス回し。出し手と受け手だけではなく、3人目、4人目と絡む攻撃。いずれも雁の巣球技場で徹底してトレーニングを重ねてきたものだった。得点シーンは、それらの集積の上に生まれたもの。セットプレーから生まれた先制ゴールは、シーズン当初から準備していたサインプレーから生まれたもの。坂田大輔の2点目は、局面での激しいプレスからボールを奪い、そこから縦に速く切り返して奪ったもの。3点目は、どんな状況に追い込まれても諦めないという姿勢が産んだゴールだが、これも、日頃からマリヤン・プシュニク監督が徹底している攻め続けるという姿勢が実ったものだった。勢いという点でも千葉を上回っていたのは福岡だった。

しかし、プレーの質、精度という点でみれば、千葉の方が1枚も、2枚も上。最終的に勝敗を分けたのは、その部分だった。まず顕著だったのが最後のところでの精度。チャンスをゴールに結びつけるという点で言えば、福岡の精度の低さは否めなかった。そして「子どもが犯すようなミスをしてしまった」とマリヤン・プシュニク監督が振り返ったように、失点につながるミスを犯した福岡と、そのミスを見逃さずに得点に結びつけた千葉の力の差も認めざるを得ないところだった。そして何より、この試合ではケンペスの決定力を抜きに語ることはできない。先制されて流れが悪い中での同点ゴール。福岡からリードを奪った自身2点目のゴール。そして、試合を決定づけた71分のゴール。確かに、福岡のミスから始まったものだったが、ゴールを奪いに行く迫力と、その存在感は、両チームを通して際立っていた。どちらに転ぶかわからない94分間の戦いを決めたのは、両チームの間にある「質」の違いだった。

さて、千葉はこれで5試合ぶりの勝利。「3失点したところは課題もあるが、ここ数試合勝てなかった中で、今日、勝てたということもポジティブに捉えていいと思う」と話すのは佐藤勇人。すっきりしない試合が続いていただけに、気持ちを前面に出して得た勝利は、再びチームを勢いづけるものにだっただろう。そして「残り試合を、1戦、1戦、必勝体制で戦わなければいけない」と話したのは鈴木惇監督。残り10試合で、自動昇格圏内である2位神戸との勝点差10を追いかける戦いが続く。

一方、敗れた福岡のプシュニク監督は、この日選手たちが見せた戦う姿勢と、それを力の限りに後押ししたファン、サポーターに賞賛の言葉をかけると同時に、いまクラブとして抱えている課題を口にし、プレーオフ進出を目指して戦ってきたリーグ戦の終結宣言とも取れる発言をした。選手を、そしてファン・サポーターを愛し、負けることを極端に嫌うプシュニク監督にとっては辛い発言だったことだろう。しかし、その真意は、諦めるということではなく、自分たちが置かれている現実に正面から向き合い、そして何をしなければいけないのかを冷静に見つめなければ、本当の意味での成長はないということにある。残り試合は10。6位以内に入ることに関しては厳しくなったと言わざるを得ないが、ここから何が出来るかが問われることになる。福岡は、まだ、まだ、走り続ける。

以上

2013.09.02 Reported by 中倉一志
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