リーグ戦とヤマザキナビスコカップと、中銀スタジアムで行なわれた今季2度の対戦は、いずれも1−0で湘南が取っている。4月のヤマザキナビスコカップ予選では、コンパクトフィールドを再確認するとともに湘南らしい泥臭さを発揮し、今季の初完封と公式戦初勝利を手繰り寄せた。7月のリーグ戦第16節は、前半防戦に追われながらも粘り強く守り、虎の子の1点に繋げた。湘南にあっては、その前節の柏戦でセットプレーによってゴールを奪われた反省も多分に活かされた無失点勝利だった。
二度あることは三度あるのか、それとも三度目の正直か。どちらも世の常と言えようが、勝負において前者に寄りかかることはできない。甲府は現在、勝点1差で湘南のひとつ上を行く。勝てば突き放すことができ、負ければ湘南との立ち位置は覆る。来週末の磐田戦を踏まえるまでもなく今節はとりわけ重要な一戦であり、今季の対湘南2連敗もむしろ強力な導火線となるに違いない。「技術や戦術を超えるものをもって戦わなければいけない。両チームともトーナメントのような気持ちで戦うことになる」と、キャプテンの山本英臣が語った言葉がまさしくチームの想いを代弁する。一期一会の本来が、いまいる時は一度限り、二度と訪れるものではないと意味するとおり、新たな両者の出会いとなる。
一方の湘南の想いの強さもまた言葉を超える。曹貴裁監督は言う。
「タフでハードな甲府さんを相手に、受けに回ってセカンドボールや球際でロスしていたらやられてしまう。化粧掛かったサッカーではなく勝点を取るためにもう一度引き締めて、今節はとくに気持ちで上回らなければならない」
甲府はパトリックが加入して以降、このブラジル人ストライカーを頂点とする3−4−2−1に布陣を変え、第19節C大阪戦の勝利によって連敗を脱した。かたや湘南も、ウェリントンとGKアレックス サンターナが初めて揃い踏みした川崎F戦で後半戦の初戦を取り、前節の磐田戦では合流間もない大竹洋平もゴールに係わりドローに持ち込んだ。
フォーメーションを同じくする甲府とのマッチアップに、「攻撃で先手を取って相手陣地でどれだけプレーできるか。走り負けたらチームのよさも出ないし個人的にも負けられない」とたとえば亀川諒史が語ったように、あるいは大野和成が「ひとりでも手を抜けばうちのチームは機能しない。チームを忘れないで頑張ろうといつも思っている」と口にしたように、ふたりの言葉は相手に依らず、自分たちの誰しもに通じよう。全員が戦力の湘南にあって、GKアレックス サンターナの出場停止を含め今節も蓋を開けてみなければメンバーは見えないが、2戦連続でゴールを挙げている甲府の柏好文のサイドをはじめ、各局面の主導権争いは苛烈を極めるに違いない。
J1というキーワードを胸に、湘南は甲府を迎え撃つ。気持ちを過度に入れ込むと空回りの心配もなくはない。だがキャプテンの永木亮太は、「入れ込んでいいと思います」とあえて言った。
「前節の勝点1は大きかったと思うし、これまでなかなか勝点を続けて取れていないので、次に繋げなければいけない。ほんとうに大事な連戦だと思っています。磐田戦もそうでしたが、気持ちはかなり入っている。俺は入れ込んでいくつもりです」
両キャプテンの言葉に代表されるように、譲れぬ一戦であることは誰より彼らがいちばん解っている。熱戦必至の新たな出会いのなか、観る者も笛の音も係わるすべてが選手たちの躍動を支える。激しくも清しい勝負に期待したい。
以上
2013.08.23 Reported by 隈元大吾
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