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【J1:第22節 大分 vs 広島】プレビュー:勝てば官軍、負ければ地獄。昨季王者・広島を迎える大分が、決意と教訓を抱き背水の陣で挑む(13.08.23)

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史上初のJ2・6位から昇格したホームの大分が、昨季の王者広島を迎えての一戦が行われる。現在、大分は最下位、広島が2位と両チームの順位を見ても、実力差は明らかだ。さらに過去の対戦成績だが、大分が2007年シーズンから5連敗中、ホームでは2005年から4試合連続勝ちなしと分が悪い。大分の劣勢は否めないが、サッカーというスポーツは強いチームが勝つとは限らない。逆説すれば、どれだけ有利と言われても、負ける時は負ける。勝てば官軍、負ければ地獄。勝利と敗北は戦力に関わらず、くっきりと明暗が分かれる。理不尽なことこの上ない。

前節、名古屋戦を1−1で引き分け首位の座を明け渡した広島だが、そのあたりは熟知している。5連勝と勢いに乗る名古屋に対し、リーグ最少失点チームらしく組織的な守備をベースに、徹底したリアクションサッカーで勝点を“堅実に”重ねた。極力理不尽なことが起こりえないように相手を研究し尽くして、その日のプランを立てるしたたかさが備わっている。速攻と遅攻を使い分け、相手の状況を全員が理解し、ゴールへの絵を描くことができている。それは各ポジションに一線級が揃う個々の力量もあるかもしれない。しかし用意したことを生かす集中力と、選手全員の意識をひとつの方角へ向かせる監督の手腕も大きい。

今節は最下位の大分との対戦となるが、確実に勝点3を持ち帰り、首位に返り咲くチャンスを狙っている。2010年に大分から広島に移籍後、初の凱旋試合となる西川周作をはじめ、モチベーションは高いはずだ。

王者に死角はなく、厳しい戦いが待ち受けている大分は、前節の浦和戦で3点のセーフティリードを守り切れず、まさかの逆転負けを喫した。勝ち試合を逃したダメージ決して小さくない。浦和戦を迎えるにあたり、「自分たちのサッカーをやり抜くこと」(阪田章裕)を確認したという。自分たちのサッカー、それは2011年に田坂和昭監督が就任して以来取り組んできた「ボールを動かし、サイドは経由して、素早く攻めること」を重視した攻撃サッカーである。

ここ数試合、特に梶山陽平が加入してからの直近の2試合は、田坂監督が「我々のサッカーが現実味を帯びてきている」と語るように意図する攻撃ができている。おかげで得点は増えた。しかし今度は守備力が停滞してしまった。攻撃の成果が見える一方で、結果に結びつかない状況に変化はなかった。

4失点で逆転負けという惨状を呈しておきながら、選手たちから煮えたぎるような怒り、屈辱が伝わってこないと感じたのか、前日練習の前にサポーターが『現実を見ろ!逃げるな!プロとしてこの結果でいいのか?!広島でその答えを!』と横断幕を掲げ、選手に叱咤激励のメッセージを送った。

「悔しい気持ちはサポーターも選手も同じ。結果を出すしかない。今まで以上に団結して、チーム力で勝ちに行く」と高松大樹は語り、森島康仁は「勝てば一気に上昇気流に乗ることができる。試合を決定付けるゴールを決めたい」と決意を新たにした。

昨年も大分県民、経済界、行政が三位一体となり、Jリーグからの借入金3億円を完済し、奇跡のJ1昇格を果たした。今季も遅ればせながら大分トリニータに関わるすべての人が一体となり、J1残留という目標に向かい始めた。幸いにも残留ボーダーの15位甲府との勝点差は9。残り13試合、大分が厳しい状況に追い込まれていることは間違いないが、「これからの8月の3連戦は非常に大事な試合となる。15位と勝点差を6に詰めていれば、残り10試合で直接対決も残っている」と田坂監督は巻き返しのプランを明かした。

勝ちたい気持ちが強い方が勝つ、と使い古された精神論を唱えるつもりはないが、求められるのは気持ちであり、結果である。間違いなく緊迫した試合になりそうだ。

以上

2013.08.23 Reported by 柚野真也
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