2013シーズン、アルウィンは最後の夏となる。松本は今節が8月最後の試合となる。前半戦(第15節)では0-1で惜敗を喫している千葉をアルウィンに迎え、負けたくない、そして負けられない一戦だ。それは千葉も同様。自動昇格圏内をうかがうためにこれ以上2位と差が広がることは許されないからだ。
千葉はここまでリーグ得点王のケンペスは警告累積で出場停止、電撃移籍の森本貴幸も選手登録が間に合わずベンチにその姿はない。4-2-3-1のフォーメーションはこれまでどおりながら、田中佑昌をトップにスライドし、兵働昭弘を右サイドに起用している。一方の松本は3-5-2のフォーメーションを採用。今季ここまで4バックのチームに対抗するためサイドをケアしつつ、アンカーが中央突破を遮断する形である。また左サイドには飯尾竜太朗、ボランチにはパク・カンイルと、出場機会に恵まれていない選手をここで起用した。
果たして、試合は予想外の形で幕を開ける。先制点が生まれたのは5分、左サイドでの突破を図った飯尾竜がファウルで止められたことで、ペナルティエリア横からFKのチャンスを得る。ゴール前の混戦のなか、一度は岡本昌弘がシュートを体で防いだが、そのこぼれ球に反応したのは長沢駿。「ああいうポジションにいたことが大事」というヘディングシュートは今季ホーム初得点。一気に場内は沸点へと達すると、松本の勢いは止まらない。追加点はその9分後。カウンターで長沢がドリブルで持ち込むと、船山貴之そして喜山康平へとボールが渡り、そのままペナルティエリアの外からミドルシュート。これがゴールネットを揺らし、これで2-0となる。
早い時間で2点を追いかける形となった千葉。ストロングポイントである兵働と米倉恒貴の右サイドのホットラインを封鎖されたことで流れの中からペナルティエリア内までボールを運ぶことが出来ない。このような状況下でものを言うのはセットプレーだ。38分のCKの好機で、伊藤大介のファーサイドへのキックを竹内彬がマークをずらし頭で押し込む。このゴールで流れを取り戻した千葉は攻撃に費やす時間が増えるなど明らかに雰囲気が変わった。そして1点を追う後半、再びCKから玉林睦実のOGを誘う。これで2-2の同点となり、試合は分からなくなった。
流れが二転三転するシーソーゲームとなったが、しかし松本は流れを完全に手放さなかった。追いつかれた僅か5分後にCKをニアの位置から頭で決めたのは、「ユースの頃からニアが得意。家族が観に来てきれていたので良かった」と笑顔を見せる犬飼智也。Jリーグ初得点が値千金の決勝弾となった。最後まで勝点3を狙って攻撃的なカードを切るが、松本の最終ラインを破ることが出来ず、ゴールを割れなかった。
ボール保持能力で勝る千葉相手だけに序盤は耐えて、運動量が落ち始めた後半に勝負を賭ける――。筆者含め多くの人がそのような展開を予想していたが、反町康治監督は事前のスカウティングから少し違う見方をしていた。オフレコだったために書かなかったが、試合前々日の金曜日の囲み取材でも「個人的には良い試合が出来そうな予感がある」と語っていたが、この日も試合終了後に「これくらいの試合は出来るんじゃないかという確信はあった」と同じような言葉を再度口にする。戦力差で勝る千葉に対し、最後の最後まで目の離せない熱戦を制した松本が大きな勝点3を手中に収めた。
以上
2013.08.19 Reported by 多岐太宿
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