鹿島にとっては苦しい試合だった。
「同じチームに3つは負けられないということで、選手たちもかなり集中していましたし、激しい厳しいプレーをしてくれて、新潟のリズムでゲームを運べたんじゃないかな、と思います」。試合後、敗れた新潟の柳下正明監督は、アウェイの地でも、そして1人少なくなっても監督が意図したとおり、統率の取れた戦いを完遂した選手たちを讃えていた。
しかし、勝利したのは鹿島だった。それまで新潟ペースで進んでいた試合の様相がガラリと変化したのは57分。川口尚紀が2枚目の警告を受けて退場すると、ボール支配に苦労していた鹿島が完全に試合をコントロールする。遠藤康、本山雅志、中村充孝とフレッシュな2列目の選手を入れて攻勢を強めようとするトニーニョ・セレーゾ監督。しかし、新潟の集中力は衰えず、逆に新加入のホージェル・ガウーショや川又堅碁が決定機をつくり、鹿島のゴールを脅かした。
だが、柴崎岳が一瞬の隙を見逃さなかった。新潟の右サイドが手薄になったことを見ると、敢えて相手を引きつけるようにサイドへドリブルする。十分に相手を引きつけたところでサイドのスペースにパスを出すと、そこへ前野貴徳が全力で駆け上がりフリーとなる。
「ドリブルで顔を上げたときに、たぶんヤス(遠藤康)が引きつけてくれたので、ちょうどサコ(大迫勇也)が見えた」。そう振り返る前野。マイナスのボールを鋭くゴール前に送り込むと、それを大迫勇也がボレーで叩き込み、待望のゴールが生まれるのだった。前野はこれが鹿島移籍後初のアシスト。ゴールが決まると、すぐに柴崎に抱え上げられ、しばらくして駆け寄ってきた大迫にも、高々と抱え上げられた。「正直、恥ずかしかった。なんか僕が決めたみたいになっちゃって、サコには悪かった」。そう言って謙遜したが、初仕事を成し遂げた喜びは隠さなかった。
とはいえ、何とか勝利できたが、内容としては見るべきものが少なかった鹿島。ボランチの柴崎は次のように問題点を捉えていた。
「ディフェンスとボランチの選手でボールを回すことが多かった。後ろで回すのではなく前で、相手のエリアで回すことが出来なかった。相手にとっては楽な試合展開だったと思う」。後ろで繋ごうとパスを回すも、結局相手のプレッシャーを受けてしまい、苦し紛れにロングボールを蹴ってしまう。新潟は、レオ・シルバが下がり目のポジションを取ることが多かったのに対し、鹿島のボランチは下がってボールを繋ごうとしているため、蹴った先の人数は新潟の方が多い。特に前半は、前と後ろで分断されてしまった。
それでも勝利を奪えたことは大きい。足の痛みを抱えながらのプレーだった大迫も、「今日は内容よりも結果」と勝利できたことを評価していた。ただし、次は首位の横浜FMとの対戦(8/24@カシマ)。この内容では不安が伴う。セレーゾ監督は「来週は、いままで以上に、うちのサポーターが違いを示さなければいけない試合です。選手たちの後押しをお願いしたいと思います」と、たくさんの後押しがあることを期待していた。
以上
2013.08.18 Reported by 田中滋
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