最近の小学生の夏休みの宿題では、絵日記は書いても書かなくてもいいそうだ。いわゆる自由課題というものなのだろうが、この日の出来事を絵日記に書いた(書こうと持っている)小学生はたくさんいるだろう。それも、“緑色”を多く使って…。
7月24日のシドニーFC戦から始まった鳥栖の“サマーカーニバル”。夏休みの期間中に行われるホームゲームではさまざまなイベントが企画され、試合だけでなくその前後にも大いに楽しんでもらえるような仕掛けがなされている。
今節の鳥栖対大宮のレポートは、あまりにも多くのネタがありすぎるので、他紙ではあまり見られない内容をかいつまんで紹介したい。少しだけ、テイストの違うレポートになることをお許しいただくとともに、絵日記のネタとしてもお使いください。
この日、鳥栖のユニフォームを着て初めてベアスタに立ったGK林彰洋。GKにけが人が多く出たために、清水から期限付き移籍してきてまだ数日しか他っていない。もちろん、全選手の特徴などつかみ切れてはいないが、「試合中に合わせていくしかない」と腹をくくっていた。それでも、鳥栖の特徴を的確に生かして頭脳的なプレーを繰り返した。
前半のゴールキックはFW豊田陽平に合わせて蹴っていたが、後半の開始直後のゴールキックは、逆サイドでフリーになっているMF早坂良太を狙って蹴った。大宮のDFは豊田陽平狙いと決めてかかっていたために、出鼻をくじかれただろう。
センターバック菊地直哉も後半戦から加入し、今節で4試合目である。もともとポゼッションと展開力には定評ある選手だが、この日はボールの収まり所を潰すポジショニングを見せて、大宮の強力FWノヴァコヴィッチとズラタンにシュートを打たせなかった。大宮がサイドから鳥栖の守備を崩し始めると、ラインを高く上げて選手間の距離を狭くしてパスコースを窮屈にしていた。そして、ノヴァコヴィッチをしっかりとマークすることで、ボールの入れ所を消し続けた。
ボランチの高橋義希と藤田直之も絶妙な距離感で、相手選手へのチャレンジ(ボール奪取)とカバーを繰り返した。この位置でボールを奪取できると、前線へ近いだけでなく多彩な攻撃を仕掛けることができる。藤田直之の左右へのパス展開や高橋義希の2列目からの飛び出しで、幾度となく大宮ゴールへ迫ることができた。
ピッチ上だけではない。
ハーフタイムに入り、ロッカールームに引き上げる選手たち1人1人にFW播戸竜二が声をかける。「俺は、サッカーが好きやねん。システムやポジションなど関係あらへん。みんなで勝ちたいんや」と前日の練習後に笑顔で語っていたことを、チームの一員として実践していた。
ハーフタイムには600発の花火が打ち上げられた。この日スタジアムに訪れた人は22,530人。試合前には、来場者全員に記念ユニフォームが配られた。選手たちが着用しているものと同じデザインで、文字通り一体となって戦った。クラブレコード(2011年J2最終節・熊本戦)には2人足りなかったが、これも後々の語り草となるだろう。
後半はまさに“サマーカーニバル”状態だった。57分には、FKからの折り返しをFW池田圭が「少し触っただけ」のゴールで同点とし、74分には大宮DFのクリアミスを突いて、FW豊田陽平がGKとの1対1を制して逆転弾を打ち上げた。ハーフタイムの花火よりもど派手に見えたのは筆者だけではないだろう。
絵日記に書くときは、『600発の花火もすごかったけど、たった2発のゴールでスタジアムを興奮のるつぼと化した池田選手と豊田選手は、もっとすごいと思いました。』と書くと、花丸がもらえるかもしれない。
後半は、大宮のシュートを1本に抑え込み、この日の“サマーカーニバル”は終了した。
試合後に、尹晶煥監督は「連敗を止めたことを素直に喜びたい」と選手の気持ちを代弁した。
敗れた大宮だが、悲観することばかりではない。
この日は、第13節・甲府戦以来のノヴァコヴィッチとズラタンが2トップで先発した。首位を独走していた時の強力なFWが戻ってきたのである。先制点となったMFチョ ヨンチョルのゴールは、右サイドを起点に中央にフリーで走り込んだ上手さの光るゴールだった。ボランチの青木拓矢は、身体を張って危険の芽を摘み続けていたし、上田康太は機を見ての攻撃参加をたびたび見せていた。監督交代から間がない中で、「選手は一生懸命やってくれましたし、そうした苦しい中でよく戦っていたと思います」との岡本武行監督代行の言葉は真実だろう。
最終ラインで最後まで鼓舞し続けたDF菊地光将は、「押し込まれる時間が続いていたけど、ああいう時間で後ろが踏ん張らないといけない。監督交代してまだ1試合、やるのは自分たちなので、良い方向に向くようにしていきたい」と大宮の全選手の気持ちを語ってくれた。6連敗となってしまったが、あきらめるにはまだ早い。強かった時の大宮を取り戻すためには、ここが踏ん張りどころだと思う。
時を忘れ、恥も外聞も恐れず、大きな声でひいきチームを応援できるときに幸せを感じる。
それは、勝った時でも負けた時でも、次につながる“何か”があるからだ。
その試合ですべてが終わるわけでなく、期待と不安が次の試合まで継続する。
試合終了のホイッスルは、次の試合の準備が始まった合図でもある。
サッカーの魅力は尽きることがない。
以上
2013.08.18 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
一覧へ- ルヴァンカップ決勝2024
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- bluelock2024
- THE国立DAY
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE