本文へ移動

今日の試合速報

夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!
夏休みはJリーグに遊びに行こう! 全国で180,000名様ご招待!

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第14節 F東京 vs 広島】レポート:思惑絡み合う一戦は、広島がFK一発でF東京を沈める(13.07.07)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
味スタのデジタル時計は灯を落とし、アディショナルタイムへと突入していた。パク ヒョンジンがゴールを決めると、アウェイゴール裏のテンションは軽く沸点を飛び越えた。控え選手と、スタッフはベンチから大慌てで飛び出し、喜びを全身で表現した。

広島は試合終了間際、石原直樹がゴール前で倒されて絶好の位置でFKを獲得する。途中出場のパクは、気持ちを落ち着かせて自分の間合いに入った。ゆっくりとした助走から左足を振ると、ボールは弧を描いてゴール左上へと収まった。両チームの選手がポジションに戻って試合を再開させると、次の瞬間には終了の笛が鳴った。期待に応えるラストワンプレーの大仕事。パクは試合後、「得点が入ったときは(頭が)真っ白になった。ゴールの喜びを言葉で表現することは難しい。このゴールは自信につながった。これからもどのポジションであってもチームのために走ることに変わりはない」と初々しい言葉を並べた。

森保一監督は勝利を手繰り寄せた選手たちを、会見の席で何度も「粘り強く戦ってくれた」と褒め称えた。後ろを固めて0−0で試合を推移させ、ワンチャンスを確実にモノにする。それが広島のアウェイでの定石。相手が下がってスペースを消したことで広島は苦戦を強いられたが、そこにパクのFKという新たな武器が加わったことは大きい。森崎和幸は「これで相手の守備は、ゴール前でファールを恐れて激しく当たることができなくなる。そういう意味でも大きな得点だった」とチームメイトのゴールを賞賛した。

森保監督は「両方がこの試合に向けて準備した戦術的なところが、90分間を通して繰り広げられた。そういった意味では集中力の高い試合だった。戦術的に面白い試合を見せられたと思う」と言葉にした。

F東京には、2つの選択肢があった。広島と同じ並びにし、ミラーゲームを仕掛けて前線からはめ込んでボールを奪うというプラン。または、普段どおりの4バックシステムでボールサイドを優先させ、逆サイドはスライドして対応する。その2つをこの試合に向けて準備してきた。そして、ポポヴィッチ監督は後者を選んだ。たとえ、うまくいかなくともシステム変更で対応しようと考えたからだった。

実際、試合が始まると、この選択は間違いではなかった。広島は、相手に攻めさせておいて空いたスペースに佐藤寿人を走らせる。まず、その思惑を裏切ることに成功した。普段よりもライン設定を下げて受け身となったが、前を向いてボールを奪う機会が増えてカウンターの威力は増した。何本かの決定機をつくり、60分には三田啓貴がカウンターからポストを叩いた。成果を得たが、落とし穴が待っていた。長谷川アーリアジャスールは「どうしても俺と三田が下がってしまうので攻撃で力を出し切れなかった」と悔やむ。守備のスタートポジションを下げたことで攻撃を仕掛けるには一人ひとりが長い距離を走らなければならなかった。最後まで運動量多く動き続けた三田だったが、「サイドはキツイ。相手のウイングバックまで横ズレした後に、相手の3バックにもいかなくてはいけなかった。その上下動でサイドの運動量は増す。自分たちのミス以外でははまっていたけど、その分攻撃はより難しくなる」とその役割の難しさを語った。終盤はガス欠を起こしてしまい、迫力あるカウンターは徐々にその回数を減らした。

F東京は中断期間中に、守備の戦術を徹底してきた。選手たちの高い守備意識は十分に伝わってきたが、そこから先の具体的な勝利への道筋はカウンター以外のプランを見つけ出すことはできなかった。森重真人は首を傾けて言う。
「守備は良かったけど、ボールを奪う位置が低かった。速攻はベストだけど、この試合みたいなやり方も決して悪くはない。ただ、自分たちのスタイルからすれば、物足りなかった」

広島は、次の段階へと着実に歩を進めている。F東京がこの日、ピッチで見せたのはスタイルに反したサッカーだったかもしれない。ただし、それが次につながっていることを10日の浦和戦では見せなければいけない。F東京は、今季の大事な分かれ道に立たされている。

以上

2013.07.07 Reported by 馬場康平
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/07/29(月) 00:00 ハイライト:岐阜vs鳥取【明治安田J3 第23節】