試合前のコイントスで、大分トリニータが風上を選択。振り返ると、これが勝負の分かれ道だったのかもしれない。
横浜F・マリノスの浮き球パスは強風で押し戻されてしまい、思い通りの繋ぎがなかなかできない。逆に大分は、相手ボールが風で戻されるのを考慮して、ラインを高めに設定。それを見て横浜FMは、その裏を狙い「長いボールを多用した」(中町公祐)が、それではどうしてもボールが風で流され、意図した繋ぎができない。さらにクリアボール、ゴールキックも押し戻され、ラグビーでいう“陣地を稼ぐ”ことすらままならないジレンマ状態が続く。
一方、大分にとっては、この風がまさに追い風となり、味方になってくれた。その最たるシーンが31分のゴール。カウンターから為田大貴が上げたアーリークロスは風に乗って伸びて、逆サイドから猛烈なスピードで走り込んだ松田力がジャンプ一番、点で合わせて頭でズドン。GKが一歩も動けない電光石火のカウンターが炸裂した。
エンドチェンジした後半。今度は風上の横浜FMが、8〜9割方ボールを支配した。しかしながら、前半の弊害が2つあったように思われる。1つは「感覚」の部分。「前半、向かい風で受けてしまったので、その時の感覚で、みんな後半に入ったから、パスが若干、流れていた」(中澤佑二)。2つ目は「疲れ」。前半ロングボールを多用した影響から前線、特にマルキーニョスに疲れが見え始めていたこと。そのため、「マルキも(齋藤)学も、裏への走り出しが一歩ずつ遅かったと思う」と中村俊輔。また、「感覚」の部分で言えば、中村のプレースキックという精密機械も、前半からの風によって狂わされたのかもしれない。後半だけで11本ものCKを中村が蹴ったが、点に繋がったのは1得点のみ。51分、左CKのこぼれ球を兵藤慎剛が落ち着いたトラップ後、左足で振り抜いた一撃のみだった。しかし、それ以外で決定機を作り出せないまま、時間は経過する。
そして「大分の方が元気だった」と中村が言ったとおり、大分は最後まで足が止まらず、守るだけなく、攻めでも果敢にボールにチャレンジ。44分、左サイドから押し込んだ際、一度は止められるもセカンドボールに食らいつき、そのこぼれ球を途中出場の森島康仁がシュート。ボールは右ポストを叩き、勝点3には届かなかった。だが、守備時は5−4−1、攻撃時は3−4−3と大胆にトランスフォームするシステムと、それを支える田坂和昭監督が志向する“考える走り”を示せたのは確か。最下位脱出という最初のミッションに向け、手応えを得たに違いない。
横浜FMは負けこそしなかったが、4連戦の初戦で最下位相手につまずいた。これを引きずり悪循環に陥らないためにも、この日のスタメン平均年齢30.82歳の経験値の高さからくる“修正力”が試される。
以上
2013.07.07 Reported by 小林智明(インサイド)
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